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chapter5:Whereabouts of the curse

サミュエルとダリオ その1

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ダリオはシルヴィオからの電話を受けて直ぐに軍用車を借りてシルヴィオの母方の実家へ向かって数時間後。

シルヴィオから与えられた権限で自由に動けるダリオ。

グシオンの件もありながら態度も変わらないシルヴィオに強い恩を感じているし、プライベートの依頼なんて信用をしているからこそと思い、即行動したのだ。

深夜になってしまったが、廃墟になったシルヴィオの母方の実家に到着するダリオ。

近くに車を停めて、ライトの術式を組んで自身の周囲を明るくしながら廃墟の前に立つ。

「...ここが....」

余の廃墟っぷりに眉を顰めるダリオ。

ダリオは堂々と屋敷の敷地中に入り、鍵のかかった玄関の扉を術式で解除し開ける。

「...本当に廃墟だな...げほっ」

埃っぽい空気を吸ってしまい咳き込むも明かりの範囲を更に調整し部屋中を明るくし、周囲を見回す。

建物は確かに長く廃墟と化してぼろぼろとは言え、建てた年数は古くからとは言えない内装だな、と思いながらダリオは集中して周囲の状況を読み取る。

ダリオは稀代の天才であるジョナサンに劣るとは言え、瞳に赤の宿るアークメイジマスターの称号持ちであり気を読む事くらいは簡単だ。

その時に人の気配を感じ取る...どうも地下付近にだ。

「...泥棒か???しかし手だれている『気』だな」

ダリオは懐から白銀のロッドを取り出して、その気が感じられる場所へと向かうのだった。




「...なんか...侵入者がきたっぽいっすね」

「ギャ?」

それこそサミュエルは執務室の本棚から出て廊下に出た時にそれを感じる。

「こんな時間に...憲兵っすかねぇ...」

と自身の姿を認識阻害のスキルで消す、通常ならばこれでやり過ごせるからだ...余程の術者でないならばだ。

「ギャ?サミュエルもしかしてヘマをしたギャ?」

「んな訳無いっすよ...ボクの術はそんじょそこらの術士でも見抜けないっすからね」

催眠だって完璧だし、廃墟に来た際も誰にもつけられてなど無い筈だ。

ただ元々の好奇心と言うかどんな奴が来たのか気になってあえてそちらに向かう。

そう、認識阻害術は普通は見えない...赤の宿るアークメイジマスター級でなければ。


だんだんと進むと、部屋が明るくなってきている事に気がつくサミュエル。

『まぁまぁな術士...ってとこなんすかねぇ、でもこんな廃墟ここまで明るくするとか目立つ事するなんて馬鹿なんすかねぇ』

と心の中で術士を馬鹿にしながら遠目で術士本人の後ろ姿を見る...黒髪でウルムの術兵士の黒い制服を身につけた男の姿だ。
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