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chapter4:Older sister, invasion

数多なる悪霊レギオン その3

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「ジョナサン!」

「ディビッド!俺がここでしばらく囮になる!逃げろ!」

「駄目だ!ジョナサン!」

ディビッドもジョナサンを親友...いや弟の様に思っている為だ。

ディビッドは、それこそ子供時代になまじ能力がある為に、いろいろ苦労していたジョナサンに自分を重ねていた。

それに初めての弟分ともあって、面倒を見ると言いながら、しつこく構ってたりなどしてウザがられたりもしたが、二人は悪い関係にはならなかった。

「馬鹿野郎!お前が死んだら元も子もねぇんだよ!それに死んだって今ならエステル様が居るから心配は...」

そう言いかけた時、ディフェンシブが破られ、ジョナサンの背中をレギオンの産み出した刃物の様なモノで貫かれる。

「ぐはっ!」

沢山の尖った黒い刃物が何本も貫かれる。

「ジョナサン!」

ジョナサンはそのまま貫かれたまま、部屋の壁まで吹き飛ばされる。

ドン!という音と共に倒れて動かないジョナサンの下からおびただしい量の血が流れる。

それを見てディビッドは青ざめる。

「何て事を...」

『『『取り憑かせよ...』』』

レギオンは倒れたジョナサンの身体を刃物から形状を液体の様なモノに変え、飲み込もうとする。

「辞めろ!」

ディビッドはジョナサンに駆け寄ろうとするも、背後からレギオンは襲いかかる。

そんな時、刃物で跳ね返される音が響く。

「ディビッド!」

そこでレギオンの攻撃を、マキシムがブロックしていた。

「マキシム!」

駆けつけたマキシムはダマスクス鋼製の大剣を構え、レギオンの攻撃を跳ね除ける。

「お前はジョナサンを連れていけ!このまま取り憑かれたらたら大変な事になる!」

そう言ってレギオンの攻撃を次々大剣で跳ね返すマキシム。

ディビッドはジョナサンを肩に抱えてずるずると移動する、大柄故重さは兎も角簡単に運べない。

全く動かないジョナサン...息もしていない身体を背にディビッドはいつに無い不安を感じる。

「うぐぐっ!」

その不安も的中する...振り向くとマキシムが影に絡め取られ締め上げられた。

鎧から見える首が締め上げられ、もがき苦しむ姿が目に入る。

「マキシム!」

ディビッドはマキシムを助けようと、銃を構える。

「駄目だ...逃げ...」

そう言いかけてマキシムはぐたりとしてしまう。

手から剣が落ち、ガシャン!と音が響く。

「そんな...」

今まで悪魔と戦い、ここまでの敗北感をディビッドは味わった事は、自身が呪いを受け死にかけた件くらいだったが、仲間自身がこうもやられた経験が無い。

だからこそ、ショックが隠せない。

マキシムは黒い影に取り込まれてしばらくすると、影が割れる。

そこから真っ黒で不気味な鎧騎士の姿となってディビッドの前に現れる...

その手には影が創り上げた黒い剣を持って。

先程の王女や王子が操られたのと同じ様な状態なのだろう。

ただ先程の子供達と違ってマキシムは強い騎士であり、そうそう簡単に倒せる相手では無い。

そして肩を背負ったジョナサンも影に捕まり、ずるずる取り込まれていく。

同じ様に影が割れ、そこから現れた黒いマントで覆われたジョナサンと思わしき術士が現れる。

二人の悍ましく変貌した姿に固まってしまうディビッド。

レギオンに取り憑かれたマキシムはディビッドに向け剣を振り上げる。

『『『取り憑かせよ』』』

「ああ...」

終わった...とディビッドは思う。

死ぬ事自体は死にかけた時ある程度は覚悟していた...だが操られているとは言え、仲間に殺されるとは。

しかも信用し背中を預けていた相棒であるマキシムだ。

子供時代から教育係と称しいつも小言ばかりな割に姉エステルに告白すら出来ずウジウジしているヘタレな所があるし、人の3倍の食事量から買い置きしていた食材をすっからかんにする様な所もあったりと、人間臭くていつのまにかかなり気安く接する事の出来る仲間だ。
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