289 / 841
chapter4:Older sister, invasion
邪悪なモノ その2
しおりを挟む
「エステル様!」
倒れかけるエステルを見守っていたマキシムが抱き抱える。
「マキシム...先に...ダンダリオンを...封じる離宮付近までディブを連れてピッピちゃんを回復させて...そしてそのまま...」
そう言いかけてぐったりとするエステル。
エステル自身は加護故に怪我をすることがまず無い、だからこそ『痛み』に弱い。
実体化などピッピちゃんと感覚を共有する事がある意味裏目に出た結果、自身は怪我をしてはいないがピッピちゃんが受けた怪我と同様の痛みを共有してしまい、それに耐えられずに気絶してしまったのだ。
「エステル様!エステル様!!!」
マキシムが青ざめて気を失うエステルを抱きかかえながら声をかけるも、反応が無い。
部屋のドアが開くと、ディビッド達が駆けつける。
「どうしたんですか...って姉上!」
ディビッドがエステルの元へ駆け寄り回復を施すも、目を覚ます様子が見られない。
「姉上自身が攻撃されたわけじゃないから効かないですね...」
ディビッドは自身の力ではどうにもならない事態に眉間に皺を寄せる。
「実体化を会得した時にピッピちゃんと感覚を共有出来る様になったって言ってたっすから、まさかこんな事になるなんて」
「そんな事に...なってたのか...」
青ざめながら話すサミュエルの言葉にマキシムは言葉を詰まらせる。
「マキシム!マキシムは姉上から何か聞かなかったんですか!」
ディビッドが声を荒げてマキシムに問う。
「エステル様はピッピちゃんを助けて欲しいって...離宮へと言っていた...」
マキシムはエステルの言ったことをディビッド達に伝える。
「離宮...離宮ってダンダリオンの封印がある場所か!」
「ああ...」
ジョナサンはマキシムに尋ねると、マキシムは力なく頷く。
「もしかしたらリュシフェルが...兎に角向かいましょう、マキシムはこのまま残って姉上を見ていて下さい、ジョナサンは私と一緒に気を読んでピッピちゃんを見つけ次第離宮に、サミュエルは異端審問官を招集後離宮付近で合流で!」
嫌な予感がするディビッドはそう指示する。
ディビッドは直ぐに自分に割り当てられていた部屋に戻ると夜会の服を脱ぎ捨て、着替え出す。
ガンベルトを腰に装着し、靴もいつものブーツに履き替え、皮のベストを着た後に儀礼用の司祭服を再度身につける。
見た目は儀礼用故にいつもより派手ではあるが、戦闘には支障の無い作りでもある。
着替えが済むと先程の王子様の様な表情は、悪魔を滅ぼす者へと変わっていく。
「早く向かわなければ...」
そう言ってディビッドは部屋を出るのだった。
倒れかけるエステルを見守っていたマキシムが抱き抱える。
「マキシム...先に...ダンダリオンを...封じる離宮付近までディブを連れてピッピちゃんを回復させて...そしてそのまま...」
そう言いかけてぐったりとするエステル。
エステル自身は加護故に怪我をすることがまず無い、だからこそ『痛み』に弱い。
実体化などピッピちゃんと感覚を共有する事がある意味裏目に出た結果、自身は怪我をしてはいないがピッピちゃんが受けた怪我と同様の痛みを共有してしまい、それに耐えられずに気絶してしまったのだ。
「エステル様!エステル様!!!」
マキシムが青ざめて気を失うエステルを抱きかかえながら声をかけるも、反応が無い。
部屋のドアが開くと、ディビッド達が駆けつける。
「どうしたんですか...って姉上!」
ディビッドがエステルの元へ駆け寄り回復を施すも、目を覚ます様子が見られない。
「姉上自身が攻撃されたわけじゃないから効かないですね...」
ディビッドは自身の力ではどうにもならない事態に眉間に皺を寄せる。
「実体化を会得した時にピッピちゃんと感覚を共有出来る様になったって言ってたっすから、まさかこんな事になるなんて」
「そんな事に...なってたのか...」
青ざめながら話すサミュエルの言葉にマキシムは言葉を詰まらせる。
「マキシム!マキシムは姉上から何か聞かなかったんですか!」
ディビッドが声を荒げてマキシムに問う。
「エステル様はピッピちゃんを助けて欲しいって...離宮へと言っていた...」
マキシムはエステルの言ったことをディビッド達に伝える。
「離宮...離宮ってダンダリオンの封印がある場所か!」
「ああ...」
ジョナサンはマキシムに尋ねると、マキシムは力なく頷く。
「もしかしたらリュシフェルが...兎に角向かいましょう、マキシムはこのまま残って姉上を見ていて下さい、ジョナサンは私と一緒に気を読んでピッピちゃんを見つけ次第離宮に、サミュエルは異端審問官を招集後離宮付近で合流で!」
嫌な予感がするディビッドはそう指示する。
ディビッドは直ぐに自分に割り当てられていた部屋に戻ると夜会の服を脱ぎ捨て、着替え出す。
ガンベルトを腰に装着し、靴もいつものブーツに履き替え、皮のベストを着た後に儀礼用の司祭服を再度身につける。
見た目は儀礼用故にいつもより派手ではあるが、戦闘には支障の無い作りでもある。
着替えが済むと先程の王子様の様な表情は、悪魔を滅ぼす者へと変わっていく。
「早く向かわなければ...」
そう言ってディビッドは部屋を出るのだった。
0
お気に入りに追加
342
あなたにおすすめの小説
婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます
天宮有
恋愛
婚約者のザオードは「婚約を破棄したい」と言うと、私マリーがどんなことでもすると考えている。
家族も命令に従えとしか言わないから、私は愛することをやめて自由に生きることにした。
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです
紫南
ファンタジー
魔法が衰退し、魔導具の補助なしに扱うことが出来なくなった世界。
公爵家の第二子として生まれたフィルズは、幼い頃から断片的に前世の記憶を夢で見ていた。
そのため、精神的にも早熟で、正妻とフィルズの母である第二夫人との折り合いの悪さに辟易する毎日。
ストレス解消のため、趣味だったパズル、プラモなどなど、細かい工作がしたいと、密かな不満が募っていく。
そこで、変身セットで身分を隠して活動開始。
自立心が高く、早々に冒険者の身分を手に入れ、コソコソと独自の魔導具を開発して、日々の暮らしに便利さを追加していく。
そんな中、この世界の神々から使命を与えられてーーー?
口は悪いが、見た目は母親似の美少女!?
ハイスペックな少年が世界を変えていく!
異世界改革ファンタジー!
息抜きに始めた作品です。
みなさんも息抜きにどうぞ◎
肩肘張らずに気楽に楽しんでほしい作品です!
自衛官、異世界に墜落する
フレカレディカ
ファンタジー
ある日、航空自衛隊特殊任務部隊所属の元陸上自衛隊特殊作戦部隊所属の『暁神楽(あかつきかぐら)』が、乗っていた輸送機にどこからか飛んできたミサイルが当たり墜落してしまった。だが、墜落した先は異世界だった!暁はそこから新しくできた仲間と共に生活していくこととなった・・・
現代軍隊×異世界ファンタジー!!!
※この作品は、長年デスクワークの私が現役の頃の記憶をひねり、思い出して趣味で制作しております。至らない点などがございましたら、教えて頂ければ嬉しいです。
私の愛する人は、私ではない人を愛しています
ハナミズキ
恋愛
代々王宮医師を輩出しているオルディアン伯爵家の双子の妹として生まれたヴィオラ。
物心ついた頃から病弱の双子の兄を溺愛する母に冷遇されていた。王族の専属侍医である父は王宮に常駐し、領地の邸には不在がちなため、誰も夫人によるヴィオラへの仕打ちを諫められる者はいなかった。
母に拒絶され続け、冷たい日々の中でヴィオラを支えたのは幼き頃の初恋の相手であり、婚約者であるフォルスター侯爵家嫡男ルカディオとの約束だった。
『俺が騎士になったらすぐにヴィオを迎えに行くから待っていて。ヴィオの事は俺が一生守るから』
だが、その約束は守られる事はなかった。
15歳の時、愛するルカディオと再会したヴィオラは残酷な現実を知り、心が壊れていく。
そんなヴィオラに、1人の青年が近づき、やがて国を巻き込む運命が廻り出す。
『約束する。お前の心も身体も、俺が守るから。だからもう頑張らなくていい』
それは誰の声だったか。
でもヴィオラの壊れた心にその声は届かない。
もうヴィオラは約束なんてしない。
信じたって最後には裏切られるのだ。
だってこれは既に決まっているシナリオだから。
そう。『悪役令嬢』の私は、破滅する為だけに生まれてきた、ただの当て馬なのだから。
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる