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chapter4:Older sister, invasion

人の噂

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※ティナさんと奴が他の貴族にどう見られているかって話。
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「なんであの傷モノの銭ゲバに???」

「まぁ頭は良かったからエアヴァルド語は堪能の筈よ、言葉が通じるからとかあるんじゃない?」

「ああ、嫌ね...兄妹共に貧乏だったのに汚い手を使ってお金稼ぎをしてた癖に」

と何人かの令嬢達がディビッドとバレンティナがダンスをする姿を見て悔しがる。

「しかもあの素敵な方の姉は陛下と婚姻を結ぶって事は王家と繋がりが持てるって事だもの...そんな方とは不釣り合いだわ!」

「でもあの方バレンティナの悪評を知らないんじゃない?隣国の貴族の子息っぽいもの」

「まぁ見た目だけなら綺麗だものね...あの女」

とにかくひどい言われ様ではあるが、シルヴィオの借金を洗いざらい無くさせた挙句2倍にして請求した件に等に関して傍目から見ればそう捉えられても仕方が無かったのかもしれない。

羨む目がバレンティナに向けられる。

それとは別に上位貴族の子息達も見つめる。

「エスタバンの件で折角上位貴族の娘を下賤出来ると思ったのに...」

「兄の悪名を天秤にかけても術士の血統...子を産ませれば強い術士が産まれるだろうに、エアヴァルドの胡散臭い貴族に掠め盗られるとは」

バレンティナの瞳には『赤が宿る』為に術士の子供を産む可能性が高い為、爵位の劣る貴族や術士の家系としては喉から手が出る程欲しい。

バレンティナ本人はエステル等を見ている為に自身が劣っていると思ってはいるが、元々成人した『生贄の娘』の血は悪魔だけでなく男を惑わす魅力がある...それはバレンティナもエステルも同様でバレンティナ自身が思っているよりも狙われている事に自覚が無い。

ただし上位貴族達の見方は違う。

「あんな恐ろしい力の持ち主に随分と執着されているなんて、可哀想に」

とあるサヴェリオの側近でもある年配の貴族の一人はそう呟く。

ドレスの色や装飾品に至るまで高級品、しかも全てディビッドの瞳を意図したものだと直ぐに解るが、実際それだけでは無い。

上位貴族であれば多かれ少なかれ術士の力を持つ者が多い、そのためジョナサンのように『気』を読む事が出来る者もいるのだ。

そう、バレンティナに纏わりつく『気』は今ダンスの相手である男のモノディビッドで間違いない。

正直気持ちの悪いくらいに絡んでいるのが解る。

まだバレンティナの...アルカンタル家の婚約の話を聞いても居ないが、間違いなく男女の交わりをもって縛る契約印を施されていると理解する。

しかも確かグラノジェルスの廃嫡された息子と婚約破棄されてまだ半年くらいしか経っていないのにだ。

それ程の執着をもって縛るなんて普通の人間がする事では無い。

そう、王の側近や上位貴族、軍上層部の幾人かはディビッドの正体を

それに勘の鋭い者であれば先程あの悪魔サロスを滅ぼした一人が彼である事は明白であるが、その場に居なかった伯爵以下の貴族はディビッドの表向きの地位やその見た目だけで判断しており、愚かしい噂を立てている事に眉を顰める。

そもそも悪魔を滅ぼすなんて事は通常の人間が出来る代物ではない...10年前王宮で起こった事件が頭をよぎる。

当時国内で最強と謳われた賢者であるサヴェリオ他悪魔対策での実績を持つ術士総がかりで倒し封じた悪魔共をいとも容易く被害を出す事なく倒すのだ。

そんなの花嫁なんて普通の幸せなど得られないだろう。

そう、サヴェリオはあの美しい預言者を手に入れる為の生贄にバレンティナを差し出した、 と見られている。

話だとアルカンタル家は公爵に爵位を上がるのは王に近い上位貴族の数人は知っているのもバレンティナを生贄にした報酬なのだと思うのだ。

「流石にあの腹黒領主、爵位の為に妹を差し出したか」

と別の貴族がその男に話しかける。

「そうかもしれないな...」

見た目は誰もが羨む輝かしい二人かもしれないが、実際はもっとドロドロとしたモノを感じながら、遠い目でその男は自分の子供と同じ位のバレンティナを哀れな瞳で見つめるのだった。
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