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chapter3:Travel Emotions Bergamo

神託 その2

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「ああ...良かった、これでアンドラスに囚われた『彼』の心残りが無くなってくれた」

その代わりに背後から女性の声が聞こえる。

振り向くと16歳くらいの美少女が立っていた。

その姿は見覚えのある、白と青のローブを着た少女、肩くらいで切り揃えた髪は緑色で瞳もピンク...ややつり目がちでなんとなくだが姉が若かったらこんな感じなんだろうな?と思うその姿。

「姉上...な訳無いですよね」

「そりゃあそうだよ、それこそ君の祖先だしねぇ...」

なるほど...それこそハイラントに続く祖である彼女...『運命を打ち砕く者』である預言者...

「...では貴女があのステンドグラスの...」

「そ!まさか私の事描かれるとか聞いてなかったしねぇ...あはは」

なんとも無邪気に笑う彼女を見てると姉エステルを思い出し呆れ顔になる。

「しかし何故祖たる貴女が?」

それこそ神託なのか???

「...因果だよ、君に流れるもう一つの血...創造者にして忠節なる神(トラウゴット)はアンドラスとの因果を君の代で終わらせるそうだよ」

「...やはり」

「ぬ...簡単に納得しちゃうとか、やっぱりディビッドと同じだね」

「?」

ディビッドの名前は実の親がつけた名前では無く、育て親である司祭ナサニエルがつけた名前だ。

実の親に愛されなかった分、神に愛される子にとナサニエルが願いを込めてつけた名前である。

「それにしてもディビッドとはね...同じ名前とか偶然...いやそれも因果なんだね、髪や目の色も悪魔の呪いから解放された君だからその役目を与えられたのかな」

「役割ですか?」

「そう!ディビッドのお父さんを浄化してアンドラスをぶち倒す!」

「??」

どうやら先程のアンドラスの受肉の媒介になった人物と目の前の少女の言う『ディビッド』とディビッド本人は違う様だ。

「んー同じ名前だと紛らわしいねぇ、...じゃあ恭しく君を呼ぶね...私にとってのディビッドは君じゃ無いからさ...じゃあ『『白の射手』よ!因果の元にある者よ!神は貴方にアンドラスを滅ぼす役割を与え、貴方は必ずアンドラスを撃ち滅ぼす...そしてこの悲しみに囚われた地に安寧を与えよ』」

少女は真面目な顔に変え、神託を述べる...その手には見覚えのある杖...赤から青に揺めく宝石をあしらわれた『セプター オブ バーレ』...現在姉であるエステルが所有している隠されしバーレの真の王の証。

そのあしらわれた宝石には15の星が煌めく...それは歴代の預言者達の願いだと聞いている。

「『アンドラスを目覚めさせようと、邪悪なる悪魔リュシフェルは行動を起こした...もうそれは止める事は出来ない!』」

宝石から光が放たれるとディビッドの周囲を囲む。

「『白の射手』...君に必要な力を与えるよ、アンドラスを撃ち落とす力は必ず必要になるからね」

その光はディビッドに飛び込み身体に入っていく。

「わっ!なんですか?これは?」

「それこそ過去の預言者たる人々の思いだよ、君に引き継ぐ為にね」

「引き継ぐって」

「まぁその時が来たらわかるから!じゃあね、君とはまた会う事になるからさ!私の息子の1人ディビッド!」

そう手を振りながら少女に言われた瞬間、ディビッドはパッと目を覚ました。
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