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Chapter2:Jealous lover

エステル様が犯人かよ!

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『エステル様が犯人かよー!』

ジョナサンが叫び声を上げる。

『ははは、姉上微妙にそう言う所適当ですからねぇ、マキシムもジョナサンに再度確認すればいいものを...』

『笑うな!くっそう...あのババァ...』

頭を抱えながら怒りに打ち震えるジョナサン。

『おい...エステル様をババァって言ってなかったか』

聞かれては不味い男の前で言ってしまった事に気がつきジョナサンは青ざめる...マキシムはエステル様に最も忠誠を誓う男だからだ...

『はっ!いいや...そんな事は...』

『言ってましたねぇ...まぁ現実アルトマイヤー寺院の行かず後家...悪魔を秒でぶちのめす位には無駄に強すぎだし、破天荒過ぎて男が寄り付かないし、嫁の貰い手無しなのは間違いないですしー』

ディビッドが火に油を注ぐかの如くそんな事を言い出す。

『おーまーえーらー!』

2人にマキシムのゲンコツが炸裂するもまぁ仕方ない...

『ギャア!』

『痛!』

ちなみに神殿騎士で力だけは無駄にあるためゲンコツはびっくりするくらいに痛い。


『って今日はお前らに説教しに来たんじゃないんだ...』

そう言って紙袋をテーブルに置く。

『アスタルトの件で詮索していた司祭からの情報だ...近日中に闇オークションがあるがその出品されるモノに『禁呪の書き板』があるらしい...』

その話に2人は真顔になる。

『リュシフェルめ、古美術商のフリしてあちこちに書き板をばら撒きやがって...』

『で、マキシム...そのオークションはいつ?』

『ああ...6日後の夜8時でここに...』

そう言って紙袋から地図を取り出し指差す場所を見る、新興貴族の屋敷らしい。

『で、作戦としてはそのまま乗り込みますか?』

『毎回騒ぎを起こすのもあれだし、今回は俺が潜入して競り落とす』

『では別の人物に競り落とされた際の対応を私達が...』

『いや、ディビッドお前もオークションに参加しろ、人数は多い方がいいからな、まぁ悪魔自体を倒す訳じゃないし、今回はジョナサンに大規模な術式展開してもらえるから司祭達にも負担が無いだろうしな...で摘発自体はウルムの軍人共に任せておけば良い...との事だ』

『分かりました...参加する際のモーニングでも新調しないとですねぇ』

『持ってきてないのか?』

『あってもあれじゃエアヴァルド系だとバレますよ...そう言うものはウルムで用意しないと、マキシムもですよ!そのまま持ってるので参加なんかしたらエアヴァルド国の王弟マキシマム殿下って速攻バレますからね!』

神殿騎士とはいえ王族の癖に衣装に頓着が無いのもどうだか...とディビッドは思う。

ウルムの今の流行りは細身の作りなので、エアヴァルドで使用している服では野暮ったい印象を受けるのだ。

『そうか...対して変わらないと思うんだがなぁ』

面倒くさそうにマキシムはぼやく。

『あとジョナサンには変装用に幾つか作成して欲しい物がありますがいいですか?』

『ああいいぜ』

ディビッドはジョナサンに依頼する。

『じゃあ夕食にしましょうか...』

『ん?今からか?』

物欲しそうな顔のマキシムにディビッドは眉を顰める。

『マキシムの分は用意して無いですよ...』

マキシムは大柄だからもあるが、とんでもない位の大食いで成人男性の3倍以上は食べる。

本気で用意なんてしてたら食材がすっからかんになってしまうのは目に見えて分かるからだ。

『そう言うなよ、お前のメシ上手いし』

人気パティシエではあるが、料理の腕もなかなかでオムレツは絶品だと知っているマキシム。

『分かりましたよ、でも卵は2個分までしか焼きませんよ』

仕方ないとディビッドは思ってキッチンへ足を運んで卵を手に取ってボウルに割った卵を入れていく。

もしやこの時間を狙ってやって来たのか?と邪推するもあんな単純な男にはそんな事考えもしないかと椅子に座ってニコニコしているマキシムを見て思った。

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