分岐ルート(仮)

魂の暇つぶし

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暗黒のない未来へと継ぐ。

無駄で儚く

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「おはよー天城くん!」
禅が朝起きると、目の前に艶美がいた。
(?)
寝ぼけている頭で必死に記憶を整理する。
夜、あの公園での会話の後、艶美が帰るからと、天城の家まで、荷物を取りに帰った。
すると、張華と莉子がすごい形相で、待ち構えていて...
ない、記憶がない。
「いやぁ、まさか泊まるとは思っていなかったよ!」
「暗かったし、女の子一人で帰らすわけにもいかなったからね?」
「それなら、俺が送って行ったの...」
「「「ソレはだめ!!!」」」
張華、莉子、夏季の声が見事に一致する。
「そ、そんなきつく言わなくても。」
「天城はダメよ、いつ狼になるか分からないからね!」
「そうです天城さんはだめです!」
「禅は、危ないわね。」
三人は動揺し、理由を口々に喋った。
「ひどくない⁉︎」
そういえば、夏季が敬語ではなく、昔のような口調になっている。
「とにかく、無事で良かったわ。」
「天城さんがついているなら、大丈夫だと思っていましたけどね。」 
莉子のその一言で、張華はある疑問を天城に問いた。
「天城って何か格闘技でも学んでいたの?」
そう聞くのも無理はなかった。
天城の運動神経は特に高い訳ではないのだが、なぜか反射神経が、ずば抜けている。前に天城は、体育で野球をしていたときに、野球部のエースの球を見事にバットに命中させていたのだ、ホームランにはならなかったが、誰にも当たらないと有名だったエースの球を当てたのだ、その話題でクラス中が盛り上がっていたほどだ。そのほかにも、50m走でのスタートの合図から、スタートまでの間が速いのだ。タイムも6.2となかなかの好タイムである。
そして、その反射神経は今までの奇々怪々な出来事にも対応していた。
「夏季姉さんに習ったんだよ。」
天城は夏季の方を見て答えた。
「...そうですね。私が教えました。」
夏季は少し嬉しそうに答えた。
「へぇ、強いんですね?」
「いえいえそれほどでも。」
夏季は、笑いながら天城の太腿をつねる。
(あまり言わないでください、バレますよ?)
あまりバレても支障は無い気がするが、張華の必死目を見て言葉にするのはやめた。
しかし、なぜ夏季は天城の姉という設定にしたのか、禅には分からなかった。
メイドと言ってもこの家のデカさなら、違和感はないのだが...














今日は学校が休みだ。勤労感謝の日らしい。
まぁ、スーツを着たサラリーマンが、眠そうに、家の前を通ったが...(あの人10日連続で見てる気がする。)あぁ、ブラックの匂いがする。
「じゃあ、送ってくるよ。」
「またね、艶美ちゃん。」
「ありがとうございました!麻也さん!」
昼頃になって天城は艶美を駅まで送ることになった。
最初は一人で帰ると言っていたが、麻也の最近不審者が多いということを聞いて、天城がついていくことになったのだ。
「天城に襲われないようにね、艶美」
「はは、気をつけるよ。」
「お前なぁ...」
そんなこんなで、駅に着いた。
「おっと、まだ電車来ないみたい。」
艶美は、腕時計を見ながら言った。
「来るまで待っておくよ。」
天城は、駅にあるベンチに座りながら言う。
そんな姿を見た艶美は
「ちょっと待っててね?何か買ってくるよ」
「俺もいく」
「いいって、話を聞いてくれたお礼だよ?」
そう言って、コンビニに入って行った。
「天城君は何が良いかな?これかな?」
艶美は、いろんな商品を見ていた。
すると、ふと目につくものがあった。
「これかな?」
それは、ただのアイス。
珍しい味でも、期間限定品などでも無い。
艶美の幸福の味。覚えているのは、艶美だけかもしれない、記憶の中の最上級品。
(...なんてね。)
艶美は違うアイスを取りレジへと向かった。
「ねぇ、艶美」
勝手に口が開く。
「何?」
隣にも後ろにも、もちろん上にも下にもいない。
「このままで良いの?」
だが、近くにいることは確かだ。
「もうすこしだけ、幸せでいたいわ。」
艶美の口は二重に動いていた。
「そう、判断は早くにね。」
艶美は、セルフレジで勘定を済ますと、店を出て早歩きで泣きそうな顔をグッと堪えて、天城のもとへ向かった。















「バイバーイ天城君!」
艶美は改札口の向こうから手を振りながら、天城に向けて、さよならの挨拶をした。
「おーまたな」
天城も手を振り笑いながら、それに応えた。
「うん!あはは!」
艶美の顔は明るい。
ホームの方に振り向くとその瞬間、笑顔は消え無の表情になり
休日の雑踏に飲まれていった。
天城は、それに気付かないまま、帰路につく。














一人歩く如月町とは違う町。
「なつかしいなぁ、って言うほどここに思い出ねぇなぁ。」そんな独り言さえ、耳を傾ける人はいない。それほどに静かになった町。
「っておかしいよな」
天城は独り言を続ける。
あの駅から。」
視線は感じる。だが、感じる場所がおかしい。
電柱や信号機の上や、マンホール、普通の人間ならばまずいない。そんな奇妙な場所から...
「こいよ、俺はにげねぇよ‼︎」
眉間にシワが寄る。
恐怖を勢いで押しつぶしながら、手を横に出し、槍を生成する
「ふふ、かわいい。」
やわらかい声が天城の耳を刺激する。


「何処がだ?何が可愛いんだ?」
天城は臆せず、口を開き会話をする。
「そうねぇ、
天城は額に汗を一滴流しながら、
「虚勢か...」
少しニヤけた。
「そう、そこがかわいいの。」
天城の背中に手が回る。
これもまた、目に見える実態はない。
体や手、腕の感触だけが、背中に伝わっている。正面から抱きしめられる感触。
恋人や、家族なら落ち着くであろう感触が、得体の知れない恐怖に置換する
「やめろ」
必死な抵抗は意味のない運動になってしまう。
「うるさいなぁ、黙ろっか?」
天城の両頬に手の感触が伝わる。
「おい、まさか...」
吐息が伝わる。
顔がないのに、近くに顔があるかのように錯覚する。
「あら、初めて?」
いくら顔を動かしてもその感触は、着いてくる。
「じゃあ、いただき...」
唇と唇が重なる、その瞬間。
今度は、があり、接吻キスをしようとした物を弾く。
「飛び出ましたよ、天城さん。」
姿は見えないが、感じるものがある。
「アヲイか?」
天城はすぐに言い当てた。
「えぇ、このような出方もできるんですよ?」
アヲイの感触は、ヤツと同じ、なら
「じゃあ、あいつも能力に憑いているってことか?」



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