分岐ルート(仮)

人格を運ぶ

茹でた卵が孵らぬように(過去を＊＊者)

張華が意識を取り戻すと、少年はまだ寝ていた。同じく動けない自分のすぐそばで、
「...ッ！守れたのかな...私は？」
髪があのときの天城と同じく、色の変化があった。
「ゴメンね、禅」
一人の少女は、寝ている少年と同じ未来を辿ることができるのか、その可能性はないのかも知れない。
虹色に薄く染まった少女は、少年の手を握りその顔に絞り出した何滴かの雫を表して、また、眠りについた。

一つの芽が出たのはその直後だった。
優しく、先に手遅れになった者の無意識の加護は、少女を包み込みその危険性を、まるで、すべての責任が自分にあるように、吸い取り負に加算されていく。

少女の髪の虹色は、消え去った。
だが、脅威が無くなったわけではなく、ただ遅らせるだけの応急処置。














「ただいま。」
夜中の12時くらいだろう。
「おそいですよ...!どうしたんですか⁉︎そんな血だらけで⁉︎」
「俺は大丈夫だ。今は張華コイツのことを診てやってくれ。
禅はそう言うと、張華をベッドまで運んでいき、テリアを呼んだ。




「いま、どうなっている？」
「どう？」
「いまの周りの動きで知っていることはないか？テリア。」
テリアの顔が曇る。
「なんで、それを私に聴くの？」
「知ってそうだから、それだけだ。」
天城はただ、そう言っただけだった。
「わかったよ、ぜん、情報を言うよ。」
「言ってくれ。」
テリアは、淡々と別人のように喋る。
「まず、天城禅の覚醒および脅威を神海流との闘いで確認。」
(あの時のアイツか。)
「そのあと、天城禅の能力の飛躍的な向上を確認。」
「もういい、大体分かった。」
「わかった？」
天城はどこかを見ていた。
その先にあるものが、わかるかのように。
「すまねぇこんなこと聞いちまって。」
「いいんだよ！私はぜんの味方だから！」
「そういえば、母さんは？」
「寝てるよ？」
「そうか。」
気まずい空気はなんとかなくなった。
だが、
「ねぇ、ぜんってさ、私のほんとうのすがたは知らないでしょ？」
「あ？ほんとうのすがた？」
「うん！私は能力の維持のためにこの姿をしているの。だがら、本来の私は身長も体重も違うような姿なんだよ？」
「マジか？」
「本当だよ⁉︎」
よくわからないタイミングで新事実を打ち明けた現在ロリ体型の少女だった。
「なんで急にそんなことを言ったんだ？」
「え⁉︎いや、なんでって...」
急に赤面するテリア
「もしかして、この前のことまだ、根に持ってんのか？」
「む、そう言うわけじゃ...」
「なんだよ？」
「はい、話終わり！おやすみ！」
そう言ってテリアは張華の寝室から出て行った。
「なんだ？アイツ？」
天城は首を傾げながら部屋から出ようとドアノブに手を触れる。
「アレ？」
違和感が直後に走る。
(俺、何かを忘れているような..)
捻った手首に手を掛ける。
「アレ？」
曲がらない、簡単に本来なら曲がるのに..
「捻挫か？」
天城は、もう片方の手でドアを開けて、部屋から出た。
(...やっぱりですか)
能力の中にいる後輩的少女は気づかれないようにそう呟き、自分の作業を再開した。



「疲れた。」
天城はお風呂に入っていた。
「なんでこうなったかな...」
髪の白い部分が拡がっている。
「そんな髪で学校行ったら即坊主だね。」
笑いながら言った。
「は？」
それは決して天城ではない。
表すなら、巨乳、高身長、薄い褐色、酒か風呂のせいか(絶対酒)顔がほんの少し赤い。
なんかもういろいろと、凄い女性がいた。
「何してんだ！夏季姉！」
流石に叫ぶ。
「何ってお風呂に入ってるんですよ？」
天城と一緒にいるとき意外は敬語の夏季は酒酔いモードの一歩手前のほろ酔いモードだとちょっと敬語が残っていて、ちょっと色っぽい。
「私が先に入ってたら、急に入ってきたんですよ～？びっくりしました！」
疲れていて、風呂がデカくて湯気で先が余り見えないことが起こしたけしからんイベントが始まった！