上 下
22 / 155
本編

参謀

しおりを挟む
その人は団長室にお茶とお菓子を持ち込んでリプリ団長と談笑していた私の前に突然現れた。

「すまない。邪魔したか」
この世界に眼鏡かけたクール系の銀髪青目なんて生息してたんだ。私は大きく目を見開いて魅入ってしまった。
「いや、大丈夫だ。ガードルート、彼はこの騎士団の参謀のヴィンセントだ」
私は頭を下げた。
「ガードルートです。よろしくお願いします」
「ヴィンセントだ」
短く挨拶をするとヴィンセントさんはリプリ団長に書類を手渡してすぐに居なくなってしまった。なんだか残念。

「ヴィンセントが気になるかい?」
リプリ団長は苦笑した。私が名残惜しげに扉の方を見ていたからだ。
「参謀って何ですか?」
「戦いなどの作戦を立てたり用兵の計画を立てる人のことだよ」
リプリ団長は容姿にコンプレックスはあるのだろうが、おおらかで卑屈さが全くなくとっても話しやすい。それに物知り。私は好き。
「とっても頭が良いんですね」
団長は頷きながら笑った。
「あの容姿でさえなければ宰相も目指せたかもしれないね」
「宰相って容姿も問われるんですか?」
「いや、だが公式の場には出なければならない立場だから…暗黙の了解というか…」
実力以外で判断されるのは辛いと思う。努力を重ねていたなら尚更。

「ガードルート」
「フィース、あれ?イアンは?」
いつものセットのイアンがいない。
「ミッキーさんと買い出し行ってる」
「あ、ミッキー君ってやっぱりフィース達と年近いの?見た目幼いもんね」
「いや?」
「え?何歳?」
「あの人23くらいだと思うよ。詳しくは知らないけど」
え?思ったよりすごい年上なんだけど、ミッキー君。君つけて良いのかな。
「ちなみにフィース達っていくつ?」
「18」
「あ、そこは見た目通りなんだ」
「騎士団に入団できるのが18からだからな」
「その前は騎士学校?」
フィースは頷いた。
「三年間勉強と訓練してからだな」
「ふーん、やっぱり大変なんだね」

「…それよりガードルート、ノアさんとのキスってその…」
言いにくそうにフィースが尋ねてきた。
「したよ?」
「えっ、そうなのか。どうだった?」
どうっていうか。
「なんでそんなの聞きたいの?」
「…気になるだろ」
私はニヤニヤして言った。
「フィースもキスしたいの?」
「したいよ」
「…したくないって言うと思った」
皮肉屋フィースだし?あんなにしたのにまだしたりないのかな。
「したい。なんであの時イアンにだけキスしたんだよ」
「ほっぺにでしょ」
「それでもだ」
「して欲しい?」
「うん」
「嫌」
フィースはしょんぼりしてた。ちょっと可愛かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

異世界転移した心細さで買ったワンコインの奴隷が信じられない程好みドストライクって、恵まれすぎじゃないですか?

sorato
恋愛
休日出勤に向かう途中であった筈の高橋 菫は、気付けば草原のど真ん中に放置されていた。 わけも分からないまま、偶々出会った奴隷商人から一人の男を購入する。 ※タイトル通りのお話。ご都合主義で細かいことはあまり考えていません。 あっさり日本人顔が最も美しいとされる美醜逆転っぽい世界観です。 ストーリー上、人を安値で売り買いする場面等がありますのでご不快に感じる方は読まないことをお勧めします。 小説家になろうさんでも投稿しています。ゆっくり更新です。

異世界転生先で溺愛されてます!

目玉焼きはソース
恋愛
異世界転生した18歳のエマが転生先で色々なタイプのイケメンたちから溺愛される話。 ・男性のみ美醜逆転した世界 ・一妻多夫制 ・一応R指定にしてます ⚠️一部、差別的表現・暴力的表現が入るかもしれません タグは追加していきます。

異世界の美醜と私の認識について

佐藤 ちな
恋愛
 ある日気づくと、美玲は異世界に落ちた。  そこまでならラノベなら良くある話だが、更にその世界は女性が少ない上に、美醜感覚が美玲とは激しく異なるという不思議な世界だった。  そんな世界で稀人として特別扱いされる醜女(この世界では超美人)の美玲と、咎人として忌み嫌われる醜男(美玲がいた世界では超美青年)のルークが出会う。  不遇の扱いを受けるルークを、幸せにしてあげたい!そして出来ることなら、私も幸せに!  美醜逆転・一妻多夫の異世界で、美玲の迷走が始まる。 * 話の展開に伴い、あらすじを変更させて頂きました。

気付いたら異世界の娼館に売られていたけど、なんだかんだ美男子に救われる話。

sorato
恋愛
20歳女、東京出身。親も彼氏もおらずブラック企業で働く日和は、ある日突然異世界へと転移していた。それも、気を失っている内に。 気付いたときには既に娼館に売られた後。娼館の店主にお薦め客候補の姿絵を見せられるが、どの客も生理的に受け付けない男ばかり。そんな中、日和が目をつけたのは絶世の美男子であるヨルクという男で――……。 ※男は太っていて脂ぎっている方がより素晴らしいとされ、女は細く印象の薄い方がより美しいとされる美醜逆転的な概念の異世界でのお話です。 !直接的な行為の描写はありませんが、そういうことを匂わす言葉はたくさん出てきますのでR15指定しています。苦手な方はバックしてください。 ※小説家になろうさんでも投稿しています。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける

朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。 お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン 絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。 「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」 「えっ!? ええぇぇえええ!!!」 この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

異世界転生〜色いろあって世界最強!?〜

野の木
恋愛
気付いたら、見知らぬ場所に。 生まれ変わった?ここって異世界!? しかも家族全員美男美女…なのになんで私だけ黒髪黒眼平凡顔の前世の姿のままなの!? えっ、絶世の美女?黒は美人の証? いやいや、この世界の人って目悪いの? 前世の記憶を持ったまま異世界転生した主人公。 しかもそこは、色により全てが決まる世界だった!?

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

処理中です...