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69 never getting back together(2)
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(予想した通りだわ……テオフィルスとコーデリアの二人は、性格が良く似ている。どちらも甘やかされて我慢をする事を知らないから、そうやってぶつかり合うのは当たり前のことよね……)
他でもない彼らの癇癪の犠牲にいつもなっていたミルドレッドは、冷静にそう思った。
ロミオに守って貰えた時まで自分を虐げていた彼らに対して、何の同情も湧かなかった。ただただ、憐憫の思いだけが浮かんでは、消えた。
(きっと、これからも二人の周囲には。私のように生きていくために、どうしようもないと我慢する人間か。お金のためと割り切れる人間しか、近くにいなくなるのね……だって、何の理由もなく、自分の思い通りになる人なんて居る訳ないもの。それでもとお互いわかり合うためには、双方我慢し合って擦り合わせするしかないのに……我慢が出来ないテオフィルスとコーデリアには、もうそれが出来ないのね)
もう彼らは自分にとって全くの他人だと割り切れている今、ミルドレッドは冷静にそう思った。
ロミオはミルドレッドを誰よりも愛し、尊重してくれている。けれど、完璧に見えるような勇者の彼にだって、一緒に暮らしていればここは直して欲しいと思う事はどうしても目についたりする。
けれど、ミルドレッドが勇気を出して、それを伝えて次からはこうして欲しいと言えば、彼は出来るだけ希望に沿ってくれる。そうして相談し合えるのは、二人の間に揺るぎない信頼があるからだ。
(ロミオは、私を愛しているという安心感を惜しみなくくれたから。私も彼の事を、信じることが出来た。だから、きっと彼とならどんな喧嘩でも、言い合いも成立する。その後で、必ず許し合えると知っているから)
けれど、幼い頃からテオフィルスがいつものようにしていた事は、自分が感じた不満を文句の言えない立場にあったミルドレッドに対し無遠慮に押し付けていることだけだった。
誰からも認められずに自信が持てないミルドレッドが「自分の事をわかって欲しい」と懸命に伝えた言葉も、彼にとってはどうでも良い事だったので一蹴して終わった。
だから、ミルドレッドは何もかもを諦めて、彼の言う通りにするしかなかった。何を言われても、心を動かす事を止めた。彼に対しての努力のすべては、無駄な事だと気がついたから。
「テオフィルス。私はもう、貴方の元に戻らないわ。コーデリアが嫌なら、他の子を探して。きっと、お金のある貴方ならすぐに見つかるわ」
冷たい口調でミルドレッドに言い放たれて、今まで逆らうことなど出来なかった女だったのにと、自分はもう何も言える立場にないということも理解出来ないテオフィルスは顔を真っ赤にした。
ロミオを知る前のミルドレッドであれば、それを見て瞳を潤ませて恐れを抱いて身を竦ませていた事だろう。甘やかされた彼が、いつも癇癪を起こす前触れだから。
(もう、この人には絶対に負けたくない。テオフィルスなんか。ロミオが私のために倒してくれた魔王に比べたら。全然、怖くないんだから)
毅然として自分を見返すミルドレッドの前とは違う様子に、おかしいと気がついたのか、テオフィルスは不思議そうに眉を寄せた。
とことん何かを言って傷つければ、すぐに自分に従うと思っていたのだ。実家の借金を傘に着た歪な主従関係のようなものは、ロミオが清算した事によって大分前になくなってしまっていると言うのに。
「なんだよ。その生意気な目は……」
他でもない彼らの癇癪の犠牲にいつもなっていたミルドレッドは、冷静にそう思った。
ロミオに守って貰えた時まで自分を虐げていた彼らに対して、何の同情も湧かなかった。ただただ、憐憫の思いだけが浮かんでは、消えた。
(きっと、これからも二人の周囲には。私のように生きていくために、どうしようもないと我慢する人間か。お金のためと割り切れる人間しか、近くにいなくなるのね……だって、何の理由もなく、自分の思い通りになる人なんて居る訳ないもの。それでもとお互いわかり合うためには、双方我慢し合って擦り合わせするしかないのに……我慢が出来ないテオフィルスとコーデリアには、もうそれが出来ないのね)
もう彼らは自分にとって全くの他人だと割り切れている今、ミルドレッドは冷静にそう思った。
ロミオはミルドレッドを誰よりも愛し、尊重してくれている。けれど、完璧に見えるような勇者の彼にだって、一緒に暮らしていればここは直して欲しいと思う事はどうしても目についたりする。
けれど、ミルドレッドが勇気を出して、それを伝えて次からはこうして欲しいと言えば、彼は出来るだけ希望に沿ってくれる。そうして相談し合えるのは、二人の間に揺るぎない信頼があるからだ。
(ロミオは、私を愛しているという安心感を惜しみなくくれたから。私も彼の事を、信じることが出来た。だから、きっと彼とならどんな喧嘩でも、言い合いも成立する。その後で、必ず許し合えると知っているから)
けれど、幼い頃からテオフィルスがいつものようにしていた事は、自分が感じた不満を文句の言えない立場にあったミルドレッドに対し無遠慮に押し付けていることだけだった。
誰からも認められずに自信が持てないミルドレッドが「自分の事をわかって欲しい」と懸命に伝えた言葉も、彼にとってはどうでも良い事だったので一蹴して終わった。
だから、ミルドレッドは何もかもを諦めて、彼の言う通りにするしかなかった。何を言われても、心を動かす事を止めた。彼に対しての努力のすべては、無駄な事だと気がついたから。
「テオフィルス。私はもう、貴方の元に戻らないわ。コーデリアが嫌なら、他の子を探して。きっと、お金のある貴方ならすぐに見つかるわ」
冷たい口調でミルドレッドに言い放たれて、今まで逆らうことなど出来なかった女だったのにと、自分はもう何も言える立場にないということも理解出来ないテオフィルスは顔を真っ赤にした。
ロミオを知る前のミルドレッドであれば、それを見て瞳を潤ませて恐れを抱いて身を竦ませていた事だろう。甘やかされた彼が、いつも癇癪を起こす前触れだから。
(もう、この人には絶対に負けたくない。テオフィルスなんか。ロミオが私のために倒してくれた魔王に比べたら。全然、怖くないんだから)
毅然として自分を見返すミルドレッドの前とは違う様子に、おかしいと気がついたのか、テオフィルスは不思議そうに眉を寄せた。
とことん何かを言って傷つければ、すぐに自分に従うと思っていたのだ。実家の借金を傘に着た歪な主従関係のようなものは、ロミオが清算した事によって大分前になくなってしまっていると言うのに。
「なんだよ。その生意気な目は……」
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