上 下
85 / 91

85 oath★(1)

しおりを挟む
 深く奥まで硬いものが突き当たり、ミルドレッドの放った短い悲鳴のような声を置き去りして、ロミオは先ほど彼自身が出したもので滑らかに動いた。先ほどまでとは違い最初から暴れるように腰を揺らした。

 彼の力強い両手に腰を持たれてはいるものの、その勢いに抗えずにミルドレッドはシーツを握り締めた。それでも、強い力に抗い身体を留めることは難しい。常にミルドレッドに対し底抜けとも言える優しさを見せるロミオが、こんな風に獣のような剥き出しの行為をすることは今までなかった。

 先ほどよりも格段に荒っぽい行為の始まりに、周囲から口笛が鳴りざわざわとした囁きも聞こえる。

 多くの気配や視線は、ロミオから与えられる快感が強過ぎてそこまで気にはならないものの、この乱れている今の姿を数え切れない程の目が見つめていると思うと、自然と内部の締め付けがきつくなった。後ろから覆い被さるように大きな手で胸にも刺激を与えていた彼は、呻き声を発して熱を放つ。

「これが……愛し合う行為なのか。僕から見れば、動物の交尾にしか見えないな。次は、彼女が上になる体勢が見たい」

 次なる要求を受けて、ロミオは許しがたいという視線を強くしながらも、ゆっくりと横になった。促すように手を伸ばしていた彼に誘導されるままに、勃ち上がっているものに蜜口を添わせながら、ミルドレッドは戸惑ってはいた。

(やったことがないから……わからない。このまま挿れれば良いのかしら……)

「ミルドレッド……大丈夫だ。座って……座ってくれたら、俺が動くから」

 ロミオは不安そうな様子のミルドレッドを見てとって、自分の身の内に激しく燻っている怒りの炎を抑えながらも、安心させるように低い声を出した。ほっと息をついたミルドレッドの頬に手を当てて、視線を合わせて言った。

「愛している。ミルドレッド、俺だけを見て俺だけを感じてくれ」

 頷いたミルドレッドの頬に一粒涙が滑り、ロミオは悔しそうに顔を歪めた。それを見たミルドレッドは首を振って、彼の右手に自分の両手を重ねた。

「私も愛している……これからも、一緒に生きて。お願い……ロミオ」

 ロミオはその言葉を聞いて目を見張り、そうしてゆっくりと頷いた。先ほどミルドレッドの落とした涙の理由を、彼はようやく悟る事が出来たのかもしれない。

 このまま全員で生きて帰るためには、力ある魔物エレクゼイドの無理難題をこなすしかない。だが、ロミオの怒りを止められなければ、それもすべて無駄になる。ミルドレッドを不安にさせていたのは、他でもない自分の中にある彼女を大切にしたいと望む自分の暴走だった。

 重ねられた手をしっかりと握り、そうして彼は言った。

「悪かった。ごめん。俺が状況を見て、ここに来ていればこんな風にはならなかった。誰よりも強いという、みっともない奢りがあった。そんな俺が君を不安にさせていたことは、もう理解出来た。大丈夫だ……一緒に帰ろう」

 ミルドレッドは頷いて、ゆっくりと腰を落とした。硬い筋肉で覆われたお腹に手を置くと、彼は細い腰を持って振るように自分の腰を反動もつけずに跳ねさせた。自重で奥の奥にまで当たった先端を感じて、ミルドレッドは背を逸らした。

 ずちゅずちゅっとした水音はひっきりなしに響いて、闇の中に溶ける。

 我慢し切れずにあがるミルドレッドの途切れ途切れの声を、追いかけるように彼は腰を動かして腰を持った手を使い、彼女の身体を自分に押し付けるようにして熱い液体を奥に放つ。

 そうして、ロミオは身体を起こして立て続けの行為に疲れ果てて焦点の合わなくなっていたミルドレッドの身体をぎゅうっと抱きしめた。

 軽い手を叩く音がして、荒い息のままで二人が目を向けるとエレクゼイドは満足そうな顔で微笑んでいた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

義兄様に弄ばれる私は溺愛され、その愛に堕ちる

一ノ瀬 彩音
恋愛
国王である義兄様に弄ばれる悪役令嬢の私は彼に溺れていく。 そして彼から与えられる快楽と愛情で心も身体も満たされていく……。 ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

本日をもって、魔術師団長の射精係を退職するになりました。ここでの経験や学んだことを大切にしながら、今後も頑張っていきたいと考えております。

シェルビビ
恋愛
 膨大な魔力の引き換えに、自慰をしてはいけない制約がある宮廷魔術師。他人の手で射精をして貰わないといけないが、彼らの精液を受け入れられる人間は限られていた。  平民であるユニスは、偶然の出来事で射精師として才能が目覚めてしまう。ある日、襲われそうになった同僚を助けるために、制限魔法を解除して右手を酷使した結果、気絶してしまい前世を思い出してしまう。ユニスが触れた性器は、尋常じゃない快楽とおびただしい量の射精をする事が出来る。  前世の記憶を思い出した事で、冷静さを取り戻し、射精させる事が出来なくなった。徐々に射精に対する情熱を失っていくユニス。  突然仕事を辞める事を責める魔術師団長のイースは、普通の恋愛をしたいと話すユニスを説得するために行動をする。 「ユニス、本気で射精師辞めるのか? 心の髄まで射精が好きだっただろう。俺を射精させるまで辞めさせない」  射精させる情熱を思い出し愛を知った時、ユニスが選ぶ運命は――。

腹黒王子は、食べ頃を待っている

月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。

【R18】国王陛下に婚活を命じられたら、宰相閣下の様子がおかしくなった

ほづみ
恋愛
国王から「平和になったので婚活しておいで」と言われた月の女神シアに仕える女神官ロイシュネリア。彼女の持つ未来を視る力は、処女喪失とともに失われる。先視の力をほかの人間に利用されることを恐れた国王からの命令だった。好きな人がいるけどその人には好かれていないし、命令だからしかたがないね、と婚活を始めるロイシュネリアと、彼女のことをひそかに想っていた宰相リフェウスとのあれこれ。両片思いがこじらせています。 あいかわらずゆるふわです。雰囲気重視。 細かいことは気にしないでください! 他サイトにも掲載しています。 注意 ヒロインが腕を切る描写が出てきます。苦手な方はご自衛をお願いします。

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

処理中です...