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32 mushroom(1)
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食事の片付けを済ませて、明日は三人で森へ夜鳴草を採取しに行こうかという話に纏まるのは、アランが部屋にやって来てからすぐだった。
どうやらロミオの抱えている仕事に、出来れば数が多く欲しいと思うほどの役に立つ薬草のようだった。
「ミルドレッドさんは、守られるべき聖女だから、自分だけの意志ではこの神殿から出られないんでしょ? 俺たちと一緒で、何か理由があれば出られるんだから、良かったら行こうよ。森って、居るだけで癒されるしさ」
聖女と呼ばれている現在は、ミルドレッドは確かに神殿から足を踏み出すことは出来ない。サウスラーナでも希少価値のある聖魔法の使い手は他国の刺客からも狙われる事もあり、貴重な血筋を保護する観点からも、そういう決まりとなっている。
だが、今代の勇者と剣聖と行動を共にすると言うのなら、雇うのにも巨額が必要となるだろう世界最強の護衛が居る事と一緒だ。この二人と一緒ならと神殿長も今日アランと魔物討伐を見物に出た時と同様、許可を出すはずだった。
「あの……邪魔では、ないですか?」
森の中で身軽に移動する魔法を持たない自分と一緒では、各種最上位の魔法を使いこなすだろう彼らとは自由に行動する事が出来ないのではないかと、ミルドレッドは危惧した。頭に思い浮かんだのは、ロミオが大型魔物と戦っている時に青い光を放ち宙に浮いている姿だ。
あんな移動方法は、常人にはとても無理だ。
「全く邪魔では、ないよ。珍しい夜鳴草は繁殖地だとしても、木の根の間とか、とてもわかりにくいところに生えているから。あれを探すときはゆっくり歩きながら、地面を見て探して回るんだ。ミルドレッドも良かったら、散歩気分で付き合ってくれたら嬉しい」
ロミオは彼女が心配している理由を察して、安心させるように微笑んだ。
「そうそう。珍しい茸とかも、ついでに取れたりするよ。高く売れるやつの特徴を教えとくね」
テーブルに頬杖をついてアランは、距離感を計りかねているような二人の様子を見つつ、にやにやと笑った。
確かに厳しい冬の前にあるこの季節なら、森には茸も生えているだろう。
たとえ家族の誰からも愛されなかったとはいえ、生家の体面もある。カーライル男爵令嬢ミルドレッドは、常に供が居て森へ茸採りに行くなど考えられなかった。
初めての森の散歩の誘いに、顔を輝かせて喜んだ。
「明日は、動きやすい格好をして来て。俺たちは、慣れているから心配ないよ。冒険中って、ほぼ野営だったから」
「そうそう。なんか間違えて、思ったのと違う茸を拾わないように、肌が見えないきっちりした服着た方が良いよー」
「アラン。口を縫い付けられたいのか」
「茸の話題が出たら、これは礼儀だろ。俺は絶対悪くない」
育ちの良いミルドレッドには意味不明な会話を続けている二人に彼女は首を傾げつつ軽くおやすみの挨拶をして、自室へと戻った。
どうやらロミオの抱えている仕事に、出来れば数が多く欲しいと思うほどの役に立つ薬草のようだった。
「ミルドレッドさんは、守られるべき聖女だから、自分だけの意志ではこの神殿から出られないんでしょ? 俺たちと一緒で、何か理由があれば出られるんだから、良かったら行こうよ。森って、居るだけで癒されるしさ」
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だが、今代の勇者と剣聖と行動を共にすると言うのなら、雇うのにも巨額が必要となるだろう世界最強の護衛が居る事と一緒だ。この二人と一緒ならと神殿長も今日アランと魔物討伐を見物に出た時と同様、許可を出すはずだった。
「あの……邪魔では、ないですか?」
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あんな移動方法は、常人にはとても無理だ。
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ロミオは彼女が心配している理由を察して、安心させるように微笑んだ。
「そうそう。珍しい茸とかも、ついでに取れたりするよ。高く売れるやつの特徴を教えとくね」
テーブルに頬杖をついてアランは、距離感を計りかねているような二人の様子を見つつ、にやにやと笑った。
確かに厳しい冬の前にあるこの季節なら、森には茸も生えているだろう。
たとえ家族の誰からも愛されなかったとはいえ、生家の体面もある。カーライル男爵令嬢ミルドレッドは、常に供が居て森へ茸採りに行くなど考えられなかった。
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「アラン。口を縫い付けられたいのか」
「茸の話題が出たら、これは礼儀だろ。俺は絶対悪くない」
育ちの良いミルドレッドには意味不明な会話を続けている二人に彼女は首を傾げつつ軽くおやすみの挨拶をして、自室へと戻った。
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