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09 滅亡までのシナリオ①

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 二年生に進級してから常に一緒に行動していた取り巻きたちを従えず、今まで迫り続けて嫌われてしまったエルネストにもすっかり近寄らず、一人淡々と時を過ごすロゼッタにざわついた面々は多かったようだ。

 けど、二週間もしたら「ロゼッタ・ディリンジャーって、進級したタイミングで、キャラ変えたよね」と言われる程度で、特に注目もされなくなった。

 人の興味なんて、そんなものよね。

 けど、私の興味はゲームのキャラクターが全く無関係のまま、淡々進んで行く日々にどうしたものかと不安を募らせていた。

 ヒロインフローラは一年生の白クラスで、上手くやってはいるようだ。

 性格も良くて控え目でとても可愛くて、誰しも好きになる要素しか見当たらない。彼女を嫌いになる人なんて、どこかに居るのかしら?

 そして、エルネスト、オスカー、イエルクとは……フローラは、一切関わっていない。なんだか、びっくりするほど、無関係。

 そんなそんな……なんだかんだ言っても、なんかしらのきっかけで、乙女ゲームは進んで行くんでしょう?

 なんて……毛虫程度のことで、何も変わらないはず……と、内心上手くいくだろうと居た私は、内心一人焦っていた。

 いつものように寮に戻り食事とお風呂を済ませ、後は寝るだけにはなったんだけど、色々と考えていたら居てもたってもいられなくなり、女子寮屋上に一人座り込んで星空を見上げていた。

 この魔法界の月は、ふたつある。青い月と赤い月。

 今夜は青い月が満月だから、赤い月は新月で見えない。特別にふたつ同時に満月になる日もあるんけど……そんなことは、もう横に置いておいて……今の私の懸念事項は。

「え。これってまずいよね。どう考えても、まずいよね……」

 何がまずいって、エンディングの卒業式前の最終イベントとして、攻略対象者との恋の成就を決定づける大事件が、解決せぬままになりそうだからだ。

 魔法学園に居る全員の魔力を吸い取り、魔法界を牛耳ろうとしているアクィラ魔法学園の教師の一人、アレクサンドロ・リッチ先生の企みを、この段階で知っているのは、私一人だけだ。

 本来ならば、二年生で個別ルートに入ったフローラと攻略対象者はそれを阻止して、絶体絶命ともいう事態を解決し愛を確かめ合う。

 そして、卒業式では大団円で、学園も救われて恋も実って本当に良かったねなハッピーエンドとなるんだけど……今のところ、乙女ゲームは始まっていないし、フローラは三人とも話したこともなさそう。

 このままだと、ゲーム通り魔法界が救われる兆しなんて、見当たらない。

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