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12 悪役令嬢①
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「マリアローゼ……?」
そこに居たのはジョヴァンニの婚約者、悪役令嬢マリアローゼだー!!
初めて見た……すごい。外見だって私と同じ制服を着ているはずなのに、金髪巻き毛も派手派手しくて、きつめの美貌も何か鬼気迫るような気分にさせるど迫力。
取り巻きの貴族令嬢たちを、数人引き連れて……これが、有名なあの悪役令嬢の取り巻きたち……。
創作物で良く読んで居たものを、直接目にすることが出来たと意味のわからない感動を抱いてしまった。
「そちらの平民……アシュトンさんでしたっけ。王族であられるジョヴァンニ殿下に馴れ馴れし過ぎではなくって?」
私は慌てて立ち上がって、その通り過ぎる事を口にしている悪役令嬢マリアローゼに詫びることにした。それは確かにその通りで、私が言い訳出来ないくらい悪いです。
先手を打って、大人しく謝罪しよう。
「申し訳ありません……ジョヴァンニ殿下のお言葉に、甘え過ぎてしまいました」
「マリアローゼ。彼女は、そういう人ではないんだ……ただ、彼女の相談に乗っていただけだ」
ジョヴァンニも立ち上がり、私の隣に立った。
これは、本当なのだ。ジョヴァンニは私の恋愛相談に乗ってくれているだけだ。
しかし、こんな公衆の面前で何を相談しているかを明かす訳にもいかず、マリアローゼには納得し難い理由になってしまっていることに気がつき、私はこくりと喉を鳴らした。
え……これって、『ここたた』の中で、覚えのあるシーンなんだけど!?
あの時は、ヒロインリンゼイはジョヴァンニ個別ルートにあって、二人は親密度を増し、婚約者であるマリアローゼが、こんな風に怒っても仕方ない状況にあった。
関係が疑われて文句を言われてしまっても、それは仕方ないだろうと諦められるような状況だけど……今回は、本当に本当にっ……単に恋愛相談をしているだけなのだ。
私はレオナルドが好きになっているので、ジョヴァンニには、くもりなく何の気持ちもない。
「そちらの貴女はわからない事かもしれないので、私が特別に教えて差し上げますけど……婚約者の居る男性には、本来ならそちらが先んじて遠慮して近づかないことが常識なのです! いくら殿下がお優しいからと、そちらが遠慮するのが当然のことですのよ!」
「マリアローゼ。やめてくれないか。本当に彼女には、そういった気持ちはないんだ。迷惑になる」
ジョヴァンニは困ったように、周囲を見回していた。
食堂に居る学生たちは興味津々でこちらを見ているし、私たち三人は完全に注目の的になっていたからだ。
「いいえ。私には調べがついております……なんでも、そちらのアシュトンさんは、入学式直後から、二年生の教室のある廊下を理由なくうろうろしたり!」
そっ……その通りですぅ!
「殿下に挨拶しようとしては、失敗していたり!」
レオナルドの指導の元ですが、良くご存知で!
「挙げ句の果てに、昼食を共にするようになり……そういう気持ちがお互いにないですって!? そんな言い訳、通用するはずもございません!」
キッパリと言い切ったマリアローゼに対し、私自身も『これはそういう風に誤解されても、仕方ないかもしれない』と、何度か頷き納得してしまった。
私の動き的に『ここたた』のヒロイン、リンゼイと同じようにしているし、それならば悪役令嬢として登場するマリアローゼに、こうして糾弾されてしまっても仕方ないと思ってしまう。
しかし、私が好きなのはジョヴァンニではなく、レオナルドなのだ。彼女は完全に誤解している。
それをレオナルド本人にも伝えていないと言うのに、こんな公衆の面前で伝える訳にもいかない。
どう言って良いものかわからず、私は隣のジョヴァンニを見上げた。
彼もすっかり困り顔で、マリアローゼをどう説得したものかと考えているようだ。
「……おい。マリアローゼ。一体、何処で騒いでいると思っている」
そこに聞こえた低い声に、私は思わず名前を呼びそうになって口を押さえた。
そこに居たのはジョヴァンニの婚約者、悪役令嬢マリアローゼだー!!
初めて見た……すごい。外見だって私と同じ制服を着ているはずなのに、金髪巻き毛も派手派手しくて、きつめの美貌も何か鬼気迫るような気分にさせるど迫力。
取り巻きの貴族令嬢たちを、数人引き連れて……これが、有名なあの悪役令嬢の取り巻きたち……。
創作物で良く読んで居たものを、直接目にすることが出来たと意味のわからない感動を抱いてしまった。
「そちらの平民……アシュトンさんでしたっけ。王族であられるジョヴァンニ殿下に馴れ馴れし過ぎではなくって?」
私は慌てて立ち上がって、その通り過ぎる事を口にしている悪役令嬢マリアローゼに詫びることにした。それは確かにその通りで、私が言い訳出来ないくらい悪いです。
先手を打って、大人しく謝罪しよう。
「申し訳ありません……ジョヴァンニ殿下のお言葉に、甘え過ぎてしまいました」
「マリアローゼ。彼女は、そういう人ではないんだ……ただ、彼女の相談に乗っていただけだ」
ジョヴァンニも立ち上がり、私の隣に立った。
これは、本当なのだ。ジョヴァンニは私の恋愛相談に乗ってくれているだけだ。
しかし、こんな公衆の面前で何を相談しているかを明かす訳にもいかず、マリアローゼには納得し難い理由になってしまっていることに気がつき、私はこくりと喉を鳴らした。
え……これって、『ここたた』の中で、覚えのあるシーンなんだけど!?
あの時は、ヒロインリンゼイはジョヴァンニ個別ルートにあって、二人は親密度を増し、婚約者であるマリアローゼが、こんな風に怒っても仕方ない状況にあった。
関係が疑われて文句を言われてしまっても、それは仕方ないだろうと諦められるような状況だけど……今回は、本当に本当にっ……単に恋愛相談をしているだけなのだ。
私はレオナルドが好きになっているので、ジョヴァンニには、くもりなく何の気持ちもない。
「そちらの貴女はわからない事かもしれないので、私が特別に教えて差し上げますけど……婚約者の居る男性には、本来ならそちらが先んじて遠慮して近づかないことが常識なのです! いくら殿下がお優しいからと、そちらが遠慮するのが当然のことですのよ!」
「マリアローゼ。やめてくれないか。本当に彼女には、そういった気持ちはないんだ。迷惑になる」
ジョヴァンニは困ったように、周囲を見回していた。
食堂に居る学生たちは興味津々でこちらを見ているし、私たち三人は完全に注目の的になっていたからだ。
「いいえ。私には調べがついております……なんでも、そちらのアシュトンさんは、入学式直後から、二年生の教室のある廊下を理由なくうろうろしたり!」
そっ……その通りですぅ!
「殿下に挨拶しようとしては、失敗していたり!」
レオナルドの指導の元ですが、良くご存知で!
「挙げ句の果てに、昼食を共にするようになり……そういう気持ちがお互いにないですって!? そんな言い訳、通用するはずもございません!」
キッパリと言い切ったマリアローゼに対し、私自身も『これはそういう風に誤解されても、仕方ないかもしれない』と、何度か頷き納得してしまった。
私の動き的に『ここたた』のヒロイン、リンゼイと同じようにしているし、それならば悪役令嬢として登場するマリアローゼに、こうして糾弾されてしまっても仕方ないと思ってしまう。
しかし、私が好きなのはジョヴァンニではなく、レオナルドなのだ。彼女は完全に誤解している。
それをレオナルド本人にも伝えていないと言うのに、こんな公衆の面前で伝える訳にもいかない。
どう言って良いものかわからず、私は隣のジョヴァンニを見上げた。
彼もすっかり困り顔で、マリアローゼをどう説得したものかと考えているようだ。
「……おい。マリアローゼ。一体、何処で騒いでいると思っている」
そこに聞こえた低い声に、私は思わず名前を呼びそうになって口を押さえた。
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