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33 不安②
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◇◆◇
王家が開催する城の夜会は常に大々的に行われ、そこに参加する貴族たちも数多い。色とりどりの美しいドレスを纏った令嬢や夫人たちが、パートナーとなる紳士と共に入場する。
その相手は、大体が婚約者か、親族の誰か。
という訳で、私の隣には婚約者ラザール様が居た。
彼は黒髪を撫でつけて、いつもよりも落ち着いて見えた。近くに居る令嬢たちから熱い視線を向けられているけれど、気障っぽい仕草で私の手を取っていた。
そして、その隣に居る私は無表情で、ただ入場の時間が来るのを待っていた。
「君が夜会に行きたいと言い出すなんて……珍しいな。ミシェル」
夜会に行く時はラザール様の方から『仕事上どうしても外せない夜会なんだ』などど、私が誘われることが多かった。正直、お父様のエスコートの方が良かった。
けれど、ラザール様をここへ連れて来ることもジュストからの指示なので、それは飛ばせなかった。
「ええ。たまには、私も夜会で踊りを楽しみたいと思ったのですわ。両陛下が揃って出席されるなんて、とても珍しいですし」
これも、ジュスト情報。ローレシア王国の両陛下は、先王陛下が早くに身体を壊されて譲位も早かったものだから、とてもお若い。
国王陛下は当然、自分が開催した夜会にはご出席されるけど、王妃陛下については、何度か出産が続いたり体調を悪くされたこともあって、夜会へご出席されることは少なかった。
本来ならば、陛下が王太子である時に結婚して彼の継承権のある子ども達複数がある状態にしてから即位しているんだけど、そういった事情で時期が早まってしまったので、色々と不都合が生じてしまっているらしい。
「……まあ、良い。揃って入場出来て、嬉しいよ。美しいミシェル」
「ありがとうございます……あ。そろそろ入場のようですよ」
爵位の高い順から入場となるために、私は前を向いて用意をしていた。視界の隅に不満そうなラザール様の顔が見えたけれど、それはもう、私にはどうしようもない。
私が婚約解消したいと思っていることを知りつつ、ラザール様はそれを拒否しているのだから、こちらだって、それを拒否の態度で示す必要があった。
王家が開催する城の夜会は常に大々的に行われ、そこに参加する貴族たちも数多い。色とりどりの美しいドレスを纏った令嬢や夫人たちが、パートナーとなる紳士と共に入場する。
その相手は、大体が婚約者か、親族の誰か。
という訳で、私の隣には婚約者ラザール様が居た。
彼は黒髪を撫でつけて、いつもよりも落ち着いて見えた。近くに居る令嬢たちから熱い視線を向けられているけれど、気障っぽい仕草で私の手を取っていた。
そして、その隣に居る私は無表情で、ただ入場の時間が来るのを待っていた。
「君が夜会に行きたいと言い出すなんて……珍しいな。ミシェル」
夜会に行く時はラザール様の方から『仕事上どうしても外せない夜会なんだ』などど、私が誘われることが多かった。正直、お父様のエスコートの方が良かった。
けれど、ラザール様をここへ連れて来ることもジュストからの指示なので、それは飛ばせなかった。
「ええ。たまには、私も夜会で踊りを楽しみたいと思ったのですわ。両陛下が揃って出席されるなんて、とても珍しいですし」
これも、ジュスト情報。ローレシア王国の両陛下は、先王陛下が早くに身体を壊されて譲位も早かったものだから、とてもお若い。
国王陛下は当然、自分が開催した夜会にはご出席されるけど、王妃陛下については、何度か出産が続いたり体調を悪くされたこともあって、夜会へご出席されることは少なかった。
本来ならば、陛下が王太子である時に結婚して彼の継承権のある子ども達複数がある状態にしてから即位しているんだけど、そういった事情で時期が早まってしまったので、色々と不都合が生じてしまっているらしい。
「……まあ、良い。揃って入場出来て、嬉しいよ。美しいミシェル」
「ありがとうございます……あ。そろそろ入場のようですよ」
爵位の高い順から入場となるために、私は前を向いて用意をしていた。視界の隅に不満そうなラザール様の顔が見えたけれど、それはもう、私にはどうしようもない。
私が婚約解消したいと思っていることを知りつつ、ラザール様はそれを拒否しているのだから、こちらだって、それを拒否の態度で示す必要があった。
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