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12 本当の気持ち③
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「やっ……止めないで」
「かしこまりました」
ジュストの唇は首の辺りにいくつも赤い跡を残しながら、下へ下へと降りていった。
「っ……ジュストっ……」
「申し訳ありません。痛かったです? これでは、痕に残ってしまいますね……」
私の鎖骨に付いた赤い痕は、確かに他のものと比べて色が濃い。そして、ジュストはそこで呆気なく身体を離した。
「……どうして?」
まだまだこの行為は続くだろうと思っていた私が驚いて見上げれば、ジュストは苦笑して上着を着るところだった。
「もう少し……我慢強いと思っていたんですが……すみません。ここまでにしておきます」
「どうして? 私たち結婚するんだし……良いでしょう?」
私たち貴族令嬢は初夜まで純潔を守らねばと口では言いつつ、結婚の決まった婚約者と楽しんでいる子も居る。実際のところ、私とラザール様のようにキスも交わしていない方が珍しい。私たちはある程度、情報交換をしていたのだ。
ジュストは両手で耳をパッと塞ぎ、目を閉じて、しばし無言だった。
「はー。危ない……サラクラン伯爵邸のシェフのジョンが夏祭りで女装して踊っているところを思い出して乗り切りました。まあ、まだ婚約している訳でもないですし、ここまでにしておきます。よしよしして頭を撫でてくれても良いですよ」
「ジョンの女装姿ですって? 私も見たかったわ」
夏祭りは使用人たちは羽目を外すと聞いていたけれど、ジュストもそんな中で女装していたのかもしれない。
「ええ。彼のおかげで乗り切れて感謝しています。自慢の鋼の理性が終わってしまうところでした。危なかったです」
てきぱきと私の服を直して、なんならドレスも元通りに着付けてくれた。
「……どうして、あれ以上しなかったの?」
うずうずと高まりゆく行為に期待していたのは私だけだったのかと問えば、ジュストは微笑んで答えた。
「僕は三手先を読むを身上にしているんですが、快感に悶えるお嬢様の可愛さを完全に計算違いしておりました。ですが、ミシェルお嬢様への愛ゆえにギリギリで我慢することが出来たので、今はほっと一安心しております」
「それなら、別に我慢しなくても良かったのに……」
途中で寸止めされてしまった私は、なんだか不完全燃焼だった。
「いえ。それは無理でした……けど、あそこまでいって、途中で止めようと踏みとどまった僕に拍手して欲しいです。お嬢様」
これは揶揄っているのか大真面目なのか、判断のつかない私はベッドに座ったままで大きく息を吐いた。
「かしこまりました」
ジュストの唇は首の辺りにいくつも赤い跡を残しながら、下へ下へと降りていった。
「っ……ジュストっ……」
「申し訳ありません。痛かったです? これでは、痕に残ってしまいますね……」
私の鎖骨に付いた赤い痕は、確かに他のものと比べて色が濃い。そして、ジュストはそこで呆気なく身体を離した。
「……どうして?」
まだまだこの行為は続くだろうと思っていた私が驚いて見上げれば、ジュストは苦笑して上着を着るところだった。
「もう少し……我慢強いと思っていたんですが……すみません。ここまでにしておきます」
「どうして? 私たち結婚するんだし……良いでしょう?」
私たち貴族令嬢は初夜まで純潔を守らねばと口では言いつつ、結婚の決まった婚約者と楽しんでいる子も居る。実際のところ、私とラザール様のようにキスも交わしていない方が珍しい。私たちはある程度、情報交換をしていたのだ。
ジュストは両手で耳をパッと塞ぎ、目を閉じて、しばし無言だった。
「はー。危ない……サラクラン伯爵邸のシェフのジョンが夏祭りで女装して踊っているところを思い出して乗り切りました。まあ、まだ婚約している訳でもないですし、ここまでにしておきます。よしよしして頭を撫でてくれても良いですよ」
「ジョンの女装姿ですって? 私も見たかったわ」
夏祭りは使用人たちは羽目を外すと聞いていたけれど、ジュストもそんな中で女装していたのかもしれない。
「ええ。彼のおかげで乗り切れて感謝しています。自慢の鋼の理性が終わってしまうところでした。危なかったです」
てきぱきと私の服を直して、なんならドレスも元通りに着付けてくれた。
「……どうして、あれ以上しなかったの?」
うずうずと高まりゆく行為に期待していたのは私だけだったのかと問えば、ジュストは微笑んで答えた。
「僕は三手先を読むを身上にしているんですが、快感に悶えるお嬢様の可愛さを完全に計算違いしておりました。ですが、ミシェルお嬢様への愛ゆえにギリギリで我慢することが出来たので、今はほっと一安心しております」
「それなら、別に我慢しなくても良かったのに……」
途中で寸止めされてしまった私は、なんだか不完全燃焼だった。
「いえ。それは無理でした……けど、あそこまでいって、途中で止めようと踏みとどまった僕に拍手して欲しいです。お嬢様」
これは揶揄っているのか大真面目なのか、判断のつかない私はベッドに座ったままで大きく息を吐いた。
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