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11 四回目
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◇◆◇
そんなこんなで順調な旅も一週間が経ち、若返ったジュリアスは完全に騎士団に溶け込んでしまった。
あの団長が居なくても、この息子が居れば大丈夫だろうと、のんびりムードを完全に取り戻してしまっている。うん……いや別に本人なんだから、何の問題もないけどね。
ジュリアスは現在責任ある団長職ではないので、私と共に居ることが多くなった。今までのように距離を取った関係性ではなく、気軽に話せる同世代みたいに。
馬車に揺られて、楽な行程は進む。今は予定通りの進行で、魔物が完全復活を遂げるまでには無理なく間に合いそうだ。
「……ジュリアスは、私のことを聖女様と呼びますよね?」
「ええ……そうですね」
世間話の合間にふと気になって聞いてみれば、彼は馬車の向かいの席で困った顔をしていた。
「それって、どうしてですか?」
「……聖女様は元の世界に帰られます。僕はこれが、四回目になります。あまり親しくし過ぎると、後で別れが辛いので」
「……もしかして、これまでの聖女と恋に落ちたことが?」
「ないです」
ドキドキしつつ聞けばジュリアスが即答したので、ほっと安心した。いえ。彼だって良い年齢なのだから、なんかしらの恋愛経験はあるだろうけど……詳しく聞きたい訳でもない。
「ですが、親しくなった人がこの世界のどこかに居ると思うのと、別世界でもう二度と会えないのとでは……だいぶ、気持ちが違いますから……」
これまでにそれなりに親しくしていた聖女を三人も見送ったせいか寂しそうな様子を見せるジュリアスに、やっぱり彼は自分勝手な理由で人を殺したりするような人には思えない。
絶対に、あれには何か事情があるんだろ思う。
「あの……私はジュリアスと恋に落ちて結婚出来るなら、この世界に残ります。だから、その覚悟が出来たら名前で……由真って呼んでください」
ジュリアスは私がこんなことを言い出すと思っていなかったのか、初めて見る呆けた表情で固まって居た。私は自分なりには勇気を出して言ったので、顔が熱くなってしまった。
これって彼に告白したのも同然なんだけど、私が彼のことを「良いな」って思ってるのって本当にダダ漏れだと思うし、向こうだって絶対わかってるし特に問題ないと思うんだよね!
「ご冗談を。私はそろそろ五十ですよ。聖女様」
「私とキスすれば若返るので、問題ないです。それ以外に何か問題ありますか?」
ついさっきまで窓の方を向いていた彼は私に向き直り、顎に手を当てて足を組んで息をついた。
そんなこんなで順調な旅も一週間が経ち、若返ったジュリアスは完全に騎士団に溶け込んでしまった。
あの団長が居なくても、この息子が居れば大丈夫だろうと、のんびりムードを完全に取り戻してしまっている。うん……いや別に本人なんだから、何の問題もないけどね。
ジュリアスは現在責任ある団長職ではないので、私と共に居ることが多くなった。今までのように距離を取った関係性ではなく、気軽に話せる同世代みたいに。
馬車に揺られて、楽な行程は進む。今は予定通りの進行で、魔物が完全復活を遂げるまでには無理なく間に合いそうだ。
「……ジュリアスは、私のことを聖女様と呼びますよね?」
「ええ……そうですね」
世間話の合間にふと気になって聞いてみれば、彼は馬車の向かいの席で困った顔をしていた。
「それって、どうしてですか?」
「……聖女様は元の世界に帰られます。僕はこれが、四回目になります。あまり親しくし過ぎると、後で別れが辛いので」
「……もしかして、これまでの聖女と恋に落ちたことが?」
「ないです」
ドキドキしつつ聞けばジュリアスが即答したので、ほっと安心した。いえ。彼だって良い年齢なのだから、なんかしらの恋愛経験はあるだろうけど……詳しく聞きたい訳でもない。
「ですが、親しくなった人がこの世界のどこかに居ると思うのと、別世界でもう二度と会えないのとでは……だいぶ、気持ちが違いますから……」
これまでにそれなりに親しくしていた聖女を三人も見送ったせいか寂しそうな様子を見せるジュリアスに、やっぱり彼は自分勝手な理由で人を殺したりするような人には思えない。
絶対に、あれには何か事情があるんだろ思う。
「あの……私はジュリアスと恋に落ちて結婚出来るなら、この世界に残ります。だから、その覚悟が出来たら名前で……由真って呼んでください」
ジュリアスは私がこんなことを言い出すと思っていなかったのか、初めて見る呆けた表情で固まって居た。私は自分なりには勇気を出して言ったので、顔が熱くなってしまった。
これって彼に告白したのも同然なんだけど、私が彼のことを「良いな」って思ってるのって本当にダダ漏れだと思うし、向こうだって絶対わかってるし特に問題ないと思うんだよね!
「ご冗談を。私はそろそろ五十ですよ。聖女様」
「私とキスすれば若返るので、問題ないです。それ以外に何か問題ありますか?」
ついさっきまで窓の方を向いていた彼は私に向き直り、顎に手を当てて足を組んで息をついた。
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