悪役にすらなれない

こうやさい

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プロローグ

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「姉様」

 そう言いながら少年が無邪気な笑顔を浮かべ無造作に駆け寄ってくる。今にも転びそうな勢いだけれども、そんな失敗はしないだろう。
 彼はこの間まであたしの大切なかわいい弟だった。
 けれど、

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