叶わぬ夢を見たけれど

こうやさい

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恐らく途中で放置されます

なんの保証もないけれど

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「わたしは絶対に認めないからな!!」
 翌日、学園に着くと今度は殿下に捕まりました。
 今度は普通に周りに人がいますし、場所を変えていただく暇もありませんでしたわ。
 もっとも婚約者でなくなった以上、迂闊に二人っきりになるわけにもいきませんけれど。
 婚約しててもそうですけど、まだ誤魔化しようがありましたし。
 ……なのに昨日殿下と彼女を二人っきりで置き去りにしましたわね。
 このところ至らないことばかりで反省しきりですわ。

「何をです?」
 今回は本当に何についてか分からない……というより絞り込めないので尋ねるしかありません。
「…………言えない」
「それは良かったです」
 わたくしが考え得る心当たりを一つでもここで喚くようなら陛下に廃嫡を進言しなければなりませんもの。
 恋愛感情はないですし、婚約破棄にも呆れましたけれど、それでも付き合いの長さ分くらいの情はあります。
「後で話すから覚えてろよ」
 返事を聞かず殿下は去って行きます。
 そうはいうけれど学園で話せる話題ではないでしょう。
 もし話す気なら違う問題が出てくるわけですし。

 一体殿下は何をどうお聞きになったのでしょう?
 でたらめや曖昧な情報を陛下以外から吹き込まれた可能性もありますし。
 陛下からきちんと聞いていてもきちんと解釈出来ているとは限りません。
 認めないとはいっていましたが、すべてなのか部分的なのかによって、問題は変わって来ます。
 どうして認めないかにもよりますし。
 ……例えばですけど、お、弟が出来たら国を継げる可能性が減るから反対してるのなら、子供を作らないならかまわない事になりますわね。
 以前も似たようなことを考えましたけど、将来的に殿下曰くのお相手の方以外と結婚するのなら王位が邪魔になるとは限らない訳ですし。
 ……あの後どうなったのかしら? あの子に聞いてみたいのですけど、やっぱり嫌がらせでしょうか?

 後で話すといった以上それを避けることは出来ないでしょうし、避けたほうがいい結果を生むものでもないのですけれど。
 出来れば準備くらいはしておきたいです。
 けれどそれには殿下が何を知りあの時と状況がどう変わったかの情報が不足しております。
 陛下に聞けば教えてくださるかしらと考えて、今は簡単に会える立場ではないことに気づきます。
 以前も簡単とは言えませんが殿下についての話があればあらかじめ約束はしなければなりませんが会うことが出来ました。
 口実じゃなくそれが理由でそれなりの頻度顔を合わせていたのですから、殿下がどれだけその辺の女性に声をかけたか分かろうというものです。
 今は求婚をされているわけですから、婚約者の父親よりもよほど距離が近いように思えますけれど、求婚はごくごく私的なものであり、お膳立てがすべてすんだ後お披露目を兼ねて大々的にやっている訳ではない以上、今のわたくしは表向き陛下にとっては息子の元婚約者でありただ臣下の娘にしか過ぎません。
 つまりよくて多少面識があっただけの小娘にすぎないので簡単にお会いできる立場ではないのです。
 間接的に連絡を取ろうにも、そんな人からの伝言を届けてくださるとは限りませんし、下手に殿下の関係者が挟まったら届かないより状況が悪くなる可能性もあります。
 自分の立場が如何に不安定か思い知ります。
 万一陛下がこの話をなかったことにしようとしたら、わたくしの方が嘘吐きにされてしまうでしょう。
 婚約破棄されて錯乱したなんてもっともな理由もつけやすいこととですし。
 幸せに続く未来よりもこのまま終わることを想像する方が簡単なんですから、状況的には。

 それでもわたくしはあの時聞いた言葉を信じ続けるのでしょう。
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 続きは例の如く未定で。
 体調があれなせいもあって予定たたないです。
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