幼なじみに婚約を申し込んだら『貴方の好きな人を見つけてきます』という手紙を残して逃げられたんだが

分かっているつもりなので気づけない

シナリオさん、きちんと補正されてますか？

　というわけで一応婚約者同士せっていどおりのじょうたいとなりゲーム本編が始まるに当たっての準備が整った。
　……はずなんだけど。

「えっと、近すぎません？」
　今や婚約者となった幼なじみに言う。抱きしめはされていないがその寸前という感じだ。話すための立ち位置じゃない。
　ゲームではここまでの距離感じゃなかったような？
「はっきりきちんと示さないと理解されないと分かったからな」
　……確かに先日の件は私が悪かった。
　けど。
「言葉で言ってくだされば分かりますのに」
　と言ったら切れられた。
「言っただろ何度も。その度によくて友情か幼なじみとしての好意、下手すりゃやってた行動とか食べた物に関する感想だと解釈してたじゃないか」
　いや、後者はさすがにない……ような気がするけど。
「だからこれなら分かるだろうと婚約申し込んだら逃げたし」
　……婚約申し込むって考えたら妙な表現よね、結婚する約束をするのが婚約なんだから、約束するのを申し込むって何？
「……今も思考逃げただろ」
　うう、幼なじみって侮れない。
　けどずっと他に好きな人がいると思い込んでたわけだし、その辺は大目に見て欲しい。
　あと逃避するなも無理。
　好きな人がこんな近くにいるのに落ち着くとか無理。
　三次元の破壊力って凄い。
　これ、死亡フラグとか立ってない？