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強制力はどこまでですか? 後編
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幾度かの手紙のやりとりの末、お嬢様の読んでいたのはオリジナルと呼ばれている改訂前の本だけだと判明いたしました。
あんなに面白いのになぜか売れずに絶版し、人気が出たのはその後Webに発表したものとそれを元にした書籍なのでオリジナルは数が少なく、オークションで高値をたたき出していました。お金持ちというのは前世でもお金に縁があるようで。
さすがにそこまでの予算は出せなかったのでわたしは読んでいません。これは詳しく内容を聞いてどこに差があるか研究しないと。
そんな風に小説に夢中になっていたせいといえばそうなのでしょう。
夫に、浮気相手と自分との間に子供が生まれたから離縁してくれと迫られました。
…………えーっと結婚してまだ一年過ぎたぐらいしか経ってませんよね?
確かに元々恋愛結婚ではありませんし、小説に気を取られていたから新婚特有の甘い雰囲気とかはなかったでしょうけど。
浮気していたことに欠片も気づかない程度しか夫に関心は持ってなかったですけど。
出来たならまだしも生まれたって……それ、結婚したすぐから浮気してません?
さすがに怒ってもいいですわよね?
そうしたら逆ギレしやがりまして。
言うに事欠いてわたしの方が先に浮気していたなどと。
手紙をもらって嬉しそうにしてただろといわれても、それお嬢様からでラブレターとかじゃないんですけど。
現物を見せてもお嬢様の部分はカモフラージュで読めない日本語の部分がそうなんだろと。秘密の恋人と独自暗号で文通ってどこの小学……中学? むしろオフィスラブとか? とにかく日常でする発想とは思えません。そもそも日本語の部分もお嬢様が書いたものですし……筆跡から判別しろとかは無茶な要求でしょうが。
まぁ、確かに今でも正直二次元の方が夫よりも好きですけど、あの小説別に好みの男いなかったような……。最終的にどこに向かったんでしょう?
そんな事をちらっとでも思ったのが伝わったんでしょう。
証拠不十分なのにわたしの方が先に浮気したと周りに思われ、向こうが既に子持ちというのも影響し……こういうのを針の筵というのでしょうね。
ざまぁされる直前の悪役令嬢にでもなった気分です。閉鎖的なのが悪い方向に向きましたわ。
とりあえず子供が出来ていないことを確認してから、少なくとも結婚してる最中に違う相手とガキこさえてるてめえよりはマシだとこっちから離婚を突きつけ……失礼、わたしは決して浮気しておりませんがあなたの子供の将来のために身を引きましょうともらうものはもらって離婚をいたしまして。
とはいえ周りの目は未だ厳しく生活しづらい事には違いなく、他に頼れる場所もないので実家に戻る事にしました。
そう、実家。
置いてはいったけれど消えてはいない、そして未だお嬢様には隠している死亡フラグがある場所の近くです。
こうなると離婚するにはもめる原因となったであろう子供がいないことが悔やまれます。
少なくともおさな子の母親を無理に追放のお供にはしないでしょう。
それにそもそも考えすぎでもうフラグは折れているのかもしれません。
元々親しくなかったわけですし、ここしばらくは離れていたのですから、お供を選ぶならもっと親しい人を……。
…………離れても文通していることを、親しいとか言い出しませんよね?
現状との生活に加えて、前世との生活の違いも分かるから便利とか思いませんよね?
小説がその辺りを否定できる内容だった記憶がありません。
もしやわたしは舞台から降りたつもりでフラグを強化していたのでしょうか?
お嬢様にどんな記憶があろうと放っておけばよかったのでしょうか?
こうなったら一緒に行けばわたしが死ぬ可能性の高い大けがをすると言うべきでしょうか?
けれど思い返すと小説の話は書いたものの、記憶が戻ったせいでお嬢様がどんな性格になったかはほとんど分からないままです。
もしわたしの怪我がお嬢様を庇っての結果だと知ったとき。
お嬢様は我が身を優先したりしないでしょうか?
あんなに面白いのになぜか売れずに絶版し、人気が出たのはその後Webに発表したものとそれを元にした書籍なのでオリジナルは数が少なく、オークションで高値をたたき出していました。お金持ちというのは前世でもお金に縁があるようで。
さすがにそこまでの予算は出せなかったのでわたしは読んでいません。これは詳しく内容を聞いてどこに差があるか研究しないと。
そんな風に小説に夢中になっていたせいといえばそうなのでしょう。
夫に、浮気相手と自分との間に子供が生まれたから離縁してくれと迫られました。
…………えーっと結婚してまだ一年過ぎたぐらいしか経ってませんよね?
確かに元々恋愛結婚ではありませんし、小説に気を取られていたから新婚特有の甘い雰囲気とかはなかったでしょうけど。
浮気していたことに欠片も気づかない程度しか夫に関心は持ってなかったですけど。
出来たならまだしも生まれたって……それ、結婚したすぐから浮気してません?
さすがに怒ってもいいですわよね?
そうしたら逆ギレしやがりまして。
言うに事欠いてわたしの方が先に浮気していたなどと。
手紙をもらって嬉しそうにしてただろといわれても、それお嬢様からでラブレターとかじゃないんですけど。
現物を見せてもお嬢様の部分はカモフラージュで読めない日本語の部分がそうなんだろと。秘密の恋人と独自暗号で文通ってどこの小学……中学? むしろオフィスラブとか? とにかく日常でする発想とは思えません。そもそも日本語の部分もお嬢様が書いたものですし……筆跡から判別しろとかは無茶な要求でしょうが。
まぁ、確かに今でも正直二次元の方が夫よりも好きですけど、あの小説別に好みの男いなかったような……。最終的にどこに向かったんでしょう?
そんな事をちらっとでも思ったのが伝わったんでしょう。
証拠不十分なのにわたしの方が先に浮気したと周りに思われ、向こうが既に子持ちというのも影響し……こういうのを針の筵というのでしょうね。
ざまぁされる直前の悪役令嬢にでもなった気分です。閉鎖的なのが悪い方向に向きましたわ。
とりあえず子供が出来ていないことを確認してから、少なくとも結婚してる最中に違う相手とガキこさえてるてめえよりはマシだとこっちから離婚を突きつけ……失礼、わたしは決して浮気しておりませんがあなたの子供の将来のために身を引きましょうともらうものはもらって離婚をいたしまして。
とはいえ周りの目は未だ厳しく生活しづらい事には違いなく、他に頼れる場所もないので実家に戻る事にしました。
そう、実家。
置いてはいったけれど消えてはいない、そして未だお嬢様には隠している死亡フラグがある場所の近くです。
こうなると離婚するにはもめる原因となったであろう子供がいないことが悔やまれます。
少なくともおさな子の母親を無理に追放のお供にはしないでしょう。
それにそもそも考えすぎでもうフラグは折れているのかもしれません。
元々親しくなかったわけですし、ここしばらくは離れていたのですから、お供を選ぶならもっと親しい人を……。
…………離れても文通していることを、親しいとか言い出しませんよね?
現状との生活に加えて、前世との生活の違いも分かるから便利とか思いませんよね?
小説がその辺りを否定できる内容だった記憶がありません。
もしやわたしは舞台から降りたつもりでフラグを強化していたのでしょうか?
お嬢様にどんな記憶があろうと放っておけばよかったのでしょうか?
こうなったら一緒に行けばわたしが死ぬ可能性の高い大けがをすると言うべきでしょうか?
けれど思い返すと小説の話は書いたものの、記憶が戻ったせいでお嬢様がどんな性格になったかはほとんど分からないままです。
もしわたしの怪我がお嬢様を庇っての結果だと知ったとき。
お嬢様は我が身を優先したりしないでしょうか?
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