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始まったはずの何かと現実の

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 婚約を解消して数年。また春が巡って参りました。
 言い換えればゲーム本編が始まってしまいました。
 母親と二人暮らしだったヒロインは、病で母親を亡くし、その直前に自らの父親が男爵だったことを知らされます。
 それで父親を頼ったヒロインはその美貌を見込まれ男爵の野望のために半年家庭での詰め込み教育の後、お義兄さまの通う学園に入学し、ここがオープニングとなります。お義兄さまの一年後輩となりますわ。
 もっともヒロイン自体は何も知らないわけですけれど。男爵の野望は……誰ルートだったかしら? 最近細かく思い出せない部分が増えてきましたわね。ルーク様ルートさえ忘れなければ大丈夫でしょうけど。
 とにかく、誰かのルートで明かされますが、そうでなければ闇の中です。
 そんなよくあるパターンでしたわね。

 この時点ではわたくしは学校が違うので、本来はヒロインの存在を知りません。
 もちろん状況もなのですが、シナリオ通りに進んでいるのは恐らく間違いないでしょう。
 殿下と陛下の決めた婚約を破棄してまで欲した婚約者サーファエストじょうの仲が冷めてきたという噂を聞きました。
 さすがにそのままのではありませんわよ? 落ち着きが出てきたとか、そんな表現です。
 殿下に落ち着きとか信じられるわけないでしょう!?
 こうしてキャラクター紹介にあった「決められた将来に疑問を持ち始めた」殿下のできあがりですわね。婚約は決められたけど相手は自分で選んだくせに。
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