悪役令嬢が攻略対象の幸せを願っては駄目ですか？

シナリオを変えようと婚約をしてみたけれど

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「わたくしが婚約を？」
　お父様の言葉に軽く首をかしげます。
　あれから数年。ずいぶんとリーゼロッテでいることにも慣れましたわ。
　それでも違う誰かがいるような違和感がほとんどなくなって、言葉遣いもずいぶん改まりました。
　正直貴族的な振る舞いは苦手ですけれど、そこは乙女ゲームの世界、多少曖昧でも許されるのが有り難いです。恐らく制作陣がその辺りもある程度プレイヤーがなじみやすいよう雰囲気で片付けたのでしょう。
　お義兄さまも立派に成長いたしましたわ。仲も兄妹として良好だと思っております。上手くやれているはずです。
「どなたとですの？」
　ゲームではリーゼロッテに婚約者はいませんでしたわ。もしいたらこじれ方が違っていたでしょうし。
　わたくしはこの春、やっと学校には入れる年齢になったところですし、少し早いと思いますけれど、描かれていなかっただけで話くらいはそれでも来ていましたのね。
　考えるまでもなくこちらが婚姻で得るものは少なくとも、相手が何か得たいと思う可能性はだからこそありますし。
　リーゼロッテは恐らくお義兄さまへの気持ちをはっきりかどうかはとにかく分かっていて断ったのでしょう。
　ええ、結局わたくしもきっちり恋に落ちたままですわ。ゲームの知識りせいを感情が上回るのはそれでも肉体に引きずられているこどもですからしょうがないでしょう。
　要するに表に出さなければいいのです。