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「あたしは貴族の血を引いていないんじゃなかったんですか!?」
学園長の言葉に思わず叫ぶ。
「誰かそう言ったのか?」
「いって、ませんけど……」
卒業した特待生の先輩に、そういうの調べられるって聞いて、特に何も言われなかったって聞いて、あたしも言われてないから……。
「だからってそんなこと……」
「不幸なことにあった」
だとしたら……。
「あたし、両親の実の子じゃなかったとかですか!?」
けどあんなぽやぽやしてるのが誘拐とかは出来ないと思うけど!?
「そこは恐らく間違いはない」
……恐らくってのが恐いけど、断言されたらされたで怖いからまぁいいけど。
「君の母親の母親、つまり祖母が貴族だった」
「初耳です」
てか、貴族が関係者にいるしてはあまりにも庶民だと思うんだけどうち。学園に行くとなってもそういう意味で何か言ってくる人いなかったし。
没落通り越してない?
「ところで先王陛下についてはどれくらいの事を知っているかね?」
いきなり話が変わって面食らう。
「賢王と呼ばれていて今の陛下が大変尊敬してらっしゃるらしいと」
あと殿下も尊敬してらっしゃるとちらっと聞いたような……。
「それだけかね?」
「……もうしわけありません」
先王なんてその日の暮らしに必要な知識に入んない。ついでに学園でも貴族には今更だから習わない。
「孫にその程度の認識しか持たれていないとは不憫だな」
「ま、ご」
……えーっと、そしたら殿下とは従兄弟……じゃなくて。
「あり得ないでしょう!?」
王家の血って簡単に流出していいものじゃないよね!? したら回収するよね!? 誰かがそう言ってた。
「確かにあまりあってはいけないことだがね」
そこは含み持たせないで下さい。
えと、つまり女中にお手つきしたとかそーゆー……。
「先々代国王については?」
「……もうしわけありません」
だから暮らすのに必要ないんだってば。
「先王陛下の兄君でね」
正直言うならだから何? なんだけど。
「本来先王陛下は側妃に引き上げられた人から生まれたので継承順位は低かったのだが……」
「引き上げられた人?」
あ、今呆れられた、あるいは見下された気配がした。
「陛下が即位されたので母親の身分が低すぎるのもどうかと後から側妃ということになった人だ」
……え、女中をお手つきそっち?
「継承順位は低かったのだが、先々代の陛下が急に身罷られ、王子達はまだ幼くてね、急遽呼び戻された」
……考えすぎだと思うけど、それ毒殺合戦とかやってない? 弟が他にいないなら低くしないよね?
「その前に先王陛下は結婚なさって、奥方は身籠もっていたのだが、身を引いてね」
一瞬、別れさせたんじゃと思ったものの、だったら子孫も探さないだろうから言葉通りの意味なんだろう。
「それから行方不明だった」
……王妃の立場から逃げたんじゃないよね?
「つまり殿下は……母親が違う兄弟の子ってなんて言うんでしょう?」
やっぱり従兄弟?
「いや、先王陛下は奥方以外娶らないと在位期間中独身を貫き、後継者には甥を据えた。それ以上の権力争いを避ける意図があったのかもしれないが明言はされていない」
やっぱり何かあったんじゃそれ。貴族なら知ってるの?
「自分たちを排除しないどころか継承権をそのまま残してくれたことに兄は深く感謝し、尊敬している」
いまさらっと新たな情報が差し込まれたんだけど、今つっこんじゃ駄目だよね!? あと絶対殺し合いあったでしょ!?
「それで先王陛下が終生気にかけていた奥方と子供、いるならば孫を探し出してその恩に報いたいと」
「……ずっと、探していたんですか?」
「ああ。ここに魔力のある平民を特待生として迎えることにした理由はそれだ」
確かにいきなり魔力に目覚めるより親の素質を受け継いだ方が可能性は高いかもしれないけど。
「けど、母に魔力はなかったと思うんですけど?」
「だから結論か出るのに長引いた」
「どうやって――」
「習っただろう!? 魔力を打ち消す道具がある。そうとは知らせずずっと身につけるよう言われたらしい」
確かに習った。
……あれだ、護符とか言って持ってたキラキラした首飾り。あれだけは絶対貸してくれなかったし。
「とにかくほぼ間違いはない。恐らく兄は便宜を図ろうとするが、身の程をわきまえておけ」
言いたかったのはそれか。
学園長の言葉に思わず叫ぶ。
「誰かそう言ったのか?」
「いって、ませんけど……」
卒業した特待生の先輩に、そういうの調べられるって聞いて、特に何も言われなかったって聞いて、あたしも言われてないから……。
「だからってそんなこと……」
「不幸なことにあった」
だとしたら……。
「あたし、両親の実の子じゃなかったとかですか!?」
けどあんなぽやぽやしてるのが誘拐とかは出来ないと思うけど!?
「そこは恐らく間違いはない」
……恐らくってのが恐いけど、断言されたらされたで怖いからまぁいいけど。
「君の母親の母親、つまり祖母が貴族だった」
「初耳です」
てか、貴族が関係者にいるしてはあまりにも庶民だと思うんだけどうち。学園に行くとなってもそういう意味で何か言ってくる人いなかったし。
没落通り越してない?
「ところで先王陛下についてはどれくらいの事を知っているかね?」
いきなり話が変わって面食らう。
「賢王と呼ばれていて今の陛下が大変尊敬してらっしゃるらしいと」
あと殿下も尊敬してらっしゃるとちらっと聞いたような……。
「それだけかね?」
「……もうしわけありません」
先王なんてその日の暮らしに必要な知識に入んない。ついでに学園でも貴族には今更だから習わない。
「孫にその程度の認識しか持たれていないとは不憫だな」
「ま、ご」
……えーっと、そしたら殿下とは従兄弟……じゃなくて。
「あり得ないでしょう!?」
王家の血って簡単に流出していいものじゃないよね!? したら回収するよね!? 誰かがそう言ってた。
「確かにあまりあってはいけないことだがね」
そこは含み持たせないで下さい。
えと、つまり女中にお手つきしたとかそーゆー……。
「先々代国王については?」
「……もうしわけありません」
だから暮らすのに必要ないんだってば。
「先王陛下の兄君でね」
正直言うならだから何? なんだけど。
「本来先王陛下は側妃に引き上げられた人から生まれたので継承順位は低かったのだが……」
「引き上げられた人?」
あ、今呆れられた、あるいは見下された気配がした。
「陛下が即位されたので母親の身分が低すぎるのもどうかと後から側妃ということになった人だ」
……え、女中をお手つきそっち?
「継承順位は低かったのだが、先々代の陛下が急に身罷られ、王子達はまだ幼くてね、急遽呼び戻された」
……考えすぎだと思うけど、それ毒殺合戦とかやってない? 弟が他にいないなら低くしないよね?
「その前に先王陛下は結婚なさって、奥方は身籠もっていたのだが、身を引いてね」
一瞬、別れさせたんじゃと思ったものの、だったら子孫も探さないだろうから言葉通りの意味なんだろう。
「それから行方不明だった」
……王妃の立場から逃げたんじゃないよね?
「つまり殿下は……母親が違う兄弟の子ってなんて言うんでしょう?」
やっぱり従兄弟?
「いや、先王陛下は奥方以外娶らないと在位期間中独身を貫き、後継者には甥を据えた。それ以上の権力争いを避ける意図があったのかもしれないが明言はされていない」
やっぱり何かあったんじゃそれ。貴族なら知ってるの?
「自分たちを排除しないどころか継承権をそのまま残してくれたことに兄は深く感謝し、尊敬している」
いまさらっと新たな情報が差し込まれたんだけど、今つっこんじゃ駄目だよね!? あと絶対殺し合いあったでしょ!?
「それで先王陛下が終生気にかけていた奥方と子供、いるならば孫を探し出してその恩に報いたいと」
「……ずっと、探していたんですか?」
「ああ。ここに魔力のある平民を特待生として迎えることにした理由はそれだ」
確かにいきなり魔力に目覚めるより親の素質を受け継いだ方が可能性は高いかもしれないけど。
「けど、母に魔力はなかったと思うんですけど?」
「だから結論か出るのに長引いた」
「どうやって――」
「習っただろう!? 魔力を打ち消す道具がある。そうとは知らせずずっと身につけるよう言われたらしい」
確かに習った。
……あれだ、護符とか言って持ってたキラキラした首飾り。あれだけは絶対貸してくれなかったし。
「とにかくほぼ間違いはない。恐らく兄は便宜を図ろうとするが、身の程をわきまえておけ」
言いたかったのはそれか。
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