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7章 「森下 葵」
1月8日
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【新城先生の準備が周到で、簡単にSCCに潜入できそうだ。研修室を見つけられないまでも、なにか手がかりを見つけてきたい。】
「研修室か。行ったことないな。」
俺は電話で、新城先生に昨日の出来事を話した。
新城先生でも研修室を訪れたことは無いらしい。それだけ極秘にされているのだろう。
「悪い知らせの代わりに、いい知らせもあるぞ。」
「なんですか?」
「職場見学の手続きをとっておいた。明日、SCCを見学できる。」
「え?!」
驚きすぎて変な声が出た。スピーカーで話していたが、周囲で聞いていた皆が寄ってくる。
「ちょうど、要項が出来上がったから送るぞ。それから、偽装の生徒証も郵送しておいた。」
「は?」
午後には、新城先生の言うとおり、俺と葵のぶんの生徒証が来た。学校名も名前も大嘘。
新城先生から送られてきた要項には、集合場所と時間があった。本当にSCCに入れるようだ。
「罠の可能性はないか?」
「新城先生が俺らを呼び出して捕まえようってこと?そんなことするくらいなら、このアジトごとなにか仕掛けてきてるんじゃない?」
「それもそうだが…。君たちが捕まるなんてことがないよう、こちらも準備しておこう。」
「遥希、いよいよだね。」
「そんなに張り切るなよ。社内見学なんて、上辺しか見せないはずだ。なにか見つかると期待してるとガッカリするぞ。」
「そうだけどさ。早くSCCの悪事を暴きたいじゃん?」
「…そうだな。」
葵の興奮に少しの違和感を覚えながら、俺たちはそれぞれ明日の準備に入った。
【罠だったとしても、クリムゾンのみんなが万全を期して準備してくれている。その苦労に見合うだけのものを持って帰りたい。それに、俺も準備しておく必要があるな】
「研修室か。行ったことないな。」
俺は電話で、新城先生に昨日の出来事を話した。
新城先生でも研修室を訪れたことは無いらしい。それだけ極秘にされているのだろう。
「悪い知らせの代わりに、いい知らせもあるぞ。」
「なんですか?」
「職場見学の手続きをとっておいた。明日、SCCを見学できる。」
「え?!」
驚きすぎて変な声が出た。スピーカーで話していたが、周囲で聞いていた皆が寄ってくる。
「ちょうど、要項が出来上がったから送るぞ。それから、偽装の生徒証も郵送しておいた。」
「は?」
午後には、新城先生の言うとおり、俺と葵のぶんの生徒証が来た。学校名も名前も大嘘。
新城先生から送られてきた要項には、集合場所と時間があった。本当にSCCに入れるようだ。
「罠の可能性はないか?」
「新城先生が俺らを呼び出して捕まえようってこと?そんなことするくらいなら、このアジトごとなにか仕掛けてきてるんじゃない?」
「それもそうだが…。君たちが捕まるなんてことがないよう、こちらも準備しておこう。」
「遥希、いよいよだね。」
「そんなに張り切るなよ。社内見学なんて、上辺しか見せないはずだ。なにか見つかると期待してるとガッカリするぞ。」
「そうだけどさ。早くSCCの悪事を暴きたいじゃん?」
「…そうだな。」
葵の興奮に少しの違和感を覚えながら、俺たちはそれぞれ明日の準備に入った。
【罠だったとしても、クリムゾンのみんなが万全を期して準備してくれている。その苦労に見合うだけのものを持って帰りたい。それに、俺も準備しておく必要があるな】
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