幸せの日記

Yuki

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4章 「RU⭐︎KA」

1月3日

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【1/3
 今日はルカに直接話を聞くことができた。少しは真相に近づけたと思う。しかし、今回の事件の深刻なところは違うところにある気がしてきた。】

「で、ここはどこなんだ?」
「私の事務所です。優太の親友の遥希さん、ですね。話は聞いてます。」
「いや、俺は聞いてない。優太、説明しろ。」
「栞凪が釈放されたのを聞いて、会えないか連絡してみたんだ。ここなら、警官は入って来ないし話が落ち着いてできる、って栞凪が入れてくれたんだ。」
「にしても、よく釈放されたな。」
「証拠がない、って。刃物所持の現行犯だったけど、持たされた現場の映像もあったらしくて。」
「なるほど、無罪の証拠だけが集まっていったのか。刃物なんかどうして持ってしまったんです?」
「私は男性に、傘を少し持っててくれって頼まれて、受け取ったの。人の悲鳴が聞こえるまでそれが傘と思ってたんだけど…。」
「そんなことがあるのか?」
「優太、誰の味方だよ。」
「その人に傘を渡される前に一瞬、何か匂いがした。そんな催眠術を聞いたことがある。」
「なるほど。RU⭐︎KAのファンで催眠術師のやつに絞れば犯人が見つかりそうだな。」
「優太、そんなに信用していいの?今の私は、人を刺したアイドルだよ?」
「俺にとっては夢を追う友達だよ。刺してないんだろ?」
「でも、もう夢は追えないよ。事務所の電話、よく鳴るでしょ。嫌がらせは比べものにならないくらい増えた…。付き合ってた彼氏を刺したとか、体を売ってたのがバレたとか、整形前の顔を知ってるから刺したとか、ストーカーだったとか、振られたから刺したとか、動機は無限に作られてる。私の戻る場所はないわ。真犯人が見つかっても誰も信じない。だって、私が刺したっていうストーリーの方が面白いから。真実は人の興味で決められる。ただの高校生になるいいチャンスかもね。でも、高校にももう居場所はないか…。」
「そんな弱気になるのは栞凪らしくないぞ。」
 突然包丁を握らされ、目の前で人が亡くなり、殺人犯として取り調べを受け、現実に帰ってくると悪い噂に晒される身分。活気のあるテレビでのアイドルの姿はそこにはなかった。遥希から見ると、キャラが定まらなくて困る。
「明日は課外だよね。明日、学校行くから。家は嫌がらせの標的にされるから。」
「…。来れるのか?」
「え?学校でも嫌がらせはされるだろうけど、外よりマシでしょ。それに私、まだアイドル続けるから。少しづつ何か前向いてないと、復帰なんて無理でしょ。今、アイドル活動するのは無理だから、学校生活頑張って、少しづつ活動を始める。マネージャーもこの会社も、私のことを信じてくれてる。まだやり直せる。」
(月摘 栞凪、か。すごいな。エネルギーで溢れてる。苦しさを全然感じさせない…。アイドルの強さか。)

【ルカはアイドルとして立ち直ろうともう前を向いていた。この2日、ルカについて調べたが、出てきた悪口、噂の数は計り知れない。苦しさは部外者の俺が理解できる範疇を超えているだろう。真犯人らしき催眠術師はまだ見つからないが、学校でも協力できることはしていこう。】
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