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4章 「RU⭐︎KA」
1月2日
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【1/2
朝から優太とルカの事件の解決に向けて動き出した。】
朝から部屋に優太が訪ねてくる。
「ごめんな、正月の朝から。」
「いいさ。優太にこんな可愛い幼馴染がいたとはな。好きな人がいながらあんな軽口叩いてたのか。」
「いいだろ、そのことは。それより、何かわかったか?」
「俺頼みかよ…。何か調べたのか?」
「あぁ、最初は色々調べ始めたんだが、キツくなってな。」
「と言うと?」
「栞凪の悪口が…出てくるんだ。ネットに好き勝手書き込んだ奴らの言葉が…見るに堪えなくて…。」
「なるほど。確かに、酷いものだったな。」
「それで、検索かけきれなくなってしまって。頼む!教えてくれ。」
「とりあえず分かったのは、被害者はルカの熱狂的なファン。ライブの写真の最前列にいる写真が複数枚出ている。熱狂的といえど、ファンとしてのマナーはストーカーのようではなく、他のファンからも支持される善人ぶりだったらしい。他のファンから見ると、ルカが迷惑するような事はなかったと思われている。つまり、ルカが刺した動機がない。ここにネットのゲスな推測の動機を混ぜると、男女の関係のねじれ、と言う動機が出てくる。」
「それはない。」
「そう言うと思ったよ。多分、俺もそれはないと思う。そう思った理由は、ルカが変装もせずに初詣に居たこと。ファンの第一線の人と初詣に来て、変装しない訳がない。最初から刺し殺すことを目的としていたなら変装しないで来るだろうが、それなら無実の主張をする訳がない。」
「やっぱり栞凪は無実だ。」
「多分、警察も凶器の刃物の出どころを探れば、ルカじゃないことがわかるだろう。刺した瞬間の証拠もない。証拠は不十分だから殺人罪で起訴されることはないだろう。」
「そんな曖昧な結末じゃ困るんだ。このイメージで、栞凪はアイドルを続けられない。真犯人がいたことを証明しないといけない。それでも復帰するのは大変だろうけど、無実の証明をしないと栞凪は復帰のスタートラインにも立てない。」
「俺も真犯人を探してるんだ。1人、目星がついてる。現場はアイドルの殺人現場の衝撃に硬直していたが、1人だけその場を逃げるように去っていく奴がいた。」
「人が死んでるんだから、怖くて逃げたんじゃないか?」
「それもなくはない。でも調べていくうちに、その男の顔を、ルカのライブ写真で見つけたんだ。ルカのライブに行くくらいにはファンで、その殺人現場を見て逃げ出すか?少し不自然だろ?」
「まぁ、確かに…。でも、そいつどうやって探すんだ?」
「それを考えるための会議だろ。」
「んなるほど。あ、テレビつけていいか?」
「あぁ。」
テレビをつけるとニュース番組を放送していた。正月からニュースをするような局にチャンネルが合っているのは、昨日齧り付いていたからである。そして、これから読み上げるニュースの題目が画面の右に並んでいる。
「『RU⭐︎KA、無実を主張』だって。」
「そりゃそうだよな。栞凪は何もしてないし。」
「刃物を持ってた現場なだけで、殺人の証拠が揃わないんだろう。動機もない、凶器の購入者でも持ち主でもなかった、っていう流れになるだろう。男が被害者を刺し、その凶器をすぐにルカに持たせて逃走した、が考えられるシナリオだな。」
「持てと言われたものを握るか?しかも刃物だぞ。」
「そうだな。その方法も考えないといけない、か。」
「これ面会行けないかなぁ。」
「どうなんだろうな。そもそも、ルカは面会してくれるのか?」
「……怪しいな。」
「どんな奴なんだよ。ルカは。」
「元気で活発なやつだよ。ただ、プライドも高いから多分、会ってくれないんじゃないか。」
「本人から何か聞ければ、どうにかしようがあるのにな。」
【その日は昼くらいに解散した。午後は再び情報集めを繰り返した。しかし、素人にできることは少ない。俺が集められた情報は昨日とそんなに変わらなかった。葵や涼香たちにも協力してもらっているが、集められた情報は多くはない。ただ唯一の朗報は、深夜に見たニュースでルカが釈放されたという内容だけだった。】
朝から優太とルカの事件の解決に向けて動き出した。】
朝から部屋に優太が訪ねてくる。
「ごめんな、正月の朝から。」
「いいさ。優太にこんな可愛い幼馴染がいたとはな。好きな人がいながらあんな軽口叩いてたのか。」
「いいだろ、そのことは。それより、何かわかったか?」
「俺頼みかよ…。何か調べたのか?」
「あぁ、最初は色々調べ始めたんだが、キツくなってな。」
「と言うと?」
「栞凪の悪口が…出てくるんだ。ネットに好き勝手書き込んだ奴らの言葉が…見るに堪えなくて…。」
「なるほど。確かに、酷いものだったな。」
「それで、検索かけきれなくなってしまって。頼む!教えてくれ。」
「とりあえず分かったのは、被害者はルカの熱狂的なファン。ライブの写真の最前列にいる写真が複数枚出ている。熱狂的といえど、ファンとしてのマナーはストーカーのようではなく、他のファンからも支持される善人ぶりだったらしい。他のファンから見ると、ルカが迷惑するような事はなかったと思われている。つまり、ルカが刺した動機がない。ここにネットのゲスな推測の動機を混ぜると、男女の関係のねじれ、と言う動機が出てくる。」
「それはない。」
「そう言うと思ったよ。多分、俺もそれはないと思う。そう思った理由は、ルカが変装もせずに初詣に居たこと。ファンの第一線の人と初詣に来て、変装しない訳がない。最初から刺し殺すことを目的としていたなら変装しないで来るだろうが、それなら無実の主張をする訳がない。」
「やっぱり栞凪は無実だ。」
「多分、警察も凶器の刃物の出どころを探れば、ルカじゃないことがわかるだろう。刺した瞬間の証拠もない。証拠は不十分だから殺人罪で起訴されることはないだろう。」
「そんな曖昧な結末じゃ困るんだ。このイメージで、栞凪はアイドルを続けられない。真犯人がいたことを証明しないといけない。それでも復帰するのは大変だろうけど、無実の証明をしないと栞凪は復帰のスタートラインにも立てない。」
「俺も真犯人を探してるんだ。1人、目星がついてる。現場はアイドルの殺人現場の衝撃に硬直していたが、1人だけその場を逃げるように去っていく奴がいた。」
「人が死んでるんだから、怖くて逃げたんじゃないか?」
「それもなくはない。でも調べていくうちに、その男の顔を、ルカのライブ写真で見つけたんだ。ルカのライブに行くくらいにはファンで、その殺人現場を見て逃げ出すか?少し不自然だろ?」
「まぁ、確かに…。でも、そいつどうやって探すんだ?」
「それを考えるための会議だろ。」
「んなるほど。あ、テレビつけていいか?」
「あぁ。」
テレビをつけるとニュース番組を放送していた。正月からニュースをするような局にチャンネルが合っているのは、昨日齧り付いていたからである。そして、これから読み上げるニュースの題目が画面の右に並んでいる。
「『RU⭐︎KA、無実を主張』だって。」
「そりゃそうだよな。栞凪は何もしてないし。」
「刃物を持ってた現場なだけで、殺人の証拠が揃わないんだろう。動機もない、凶器の購入者でも持ち主でもなかった、っていう流れになるだろう。男が被害者を刺し、その凶器をすぐにルカに持たせて逃走した、が考えられるシナリオだな。」
「持てと言われたものを握るか?しかも刃物だぞ。」
「そうだな。その方法も考えないといけない、か。」
「これ面会行けないかなぁ。」
「どうなんだろうな。そもそも、ルカは面会してくれるのか?」
「……怪しいな。」
「どんな奴なんだよ。ルカは。」
「元気で活発なやつだよ。ただ、プライドも高いから多分、会ってくれないんじゃないか。」
「本人から何か聞ければ、どうにかしようがあるのにな。」
【その日は昼くらいに解散した。午後は再び情報集めを繰り返した。しかし、素人にできることは少ない。俺が集められた情報は昨日とそんなに変わらなかった。葵や涼香たちにも協力してもらっているが、集められた情報は多くはない。ただ唯一の朗報は、深夜に見たニュースでルカが釈放されたという内容だけだった。】
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