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2章 「小川 真季」
12月21日
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【12/21
今日学校で涼香に会うのが楽しみだった。涼香が生きたいと思えるような一歩目が踏み出せた気がしていた。心を落ち着けるために学校を休んだのかもしれない。人が怖いとも漏らしていたから考えられることではあった。でも、前みたいに学校に行かなければならないと言った義務感に押しつぶされているわけではないようだ。】
昨日遥希が、涼香の糸が見えなくなるまで何か行動できていたらこの日涼香は学校に来ていたかもしれない。しかしそれはたらればの話。この日を境に彼らは運命と争うことを始める。
涼香が登校してないことを知ってがっかりしたのは朝の話。休んで気持ちを整理する時間も必要だろうと思い直し、授業をやり過ごす。休み時間に優太が話しかけてくる。
「遥希、何したんだ?夏目さん休んでるらしいじゃん?」
「まぁ、振ったのはあるんだけど…。」
「はぁーー?何考えてんの?まさか…他に好きな人が…。」
「悪いかよ。」
「もったいねぇーー!じゃあ俺が狙ってもいいかな。」
「好きにしろよ。」
軽い発言をするが、絶対に行動に移さないのが優太だ。
「それはそうと、聞いたか?昨日の事件。」
「なんの?」
「ファミレスの事件。」
「サラリーマンが毒飲んだやつか?」
「そりゃお前が関わったんだから知ってて当然だろ。それじゃなくて…」
「なんで知ってんだよ…。」
「そのファミレスでもうひと事件あってるらしいぜ。」
「は?どういうことだよ。」
「俺が知るかよ。遥希、事情聴取とかないのか?」
「その事件自体初耳だわ。」
何かざわざわした感覚が襲った。しかし、今回は首をつっこむ意味を持っていない。
モヤモヤした気持ちのまま家に着いた。迷ったが、涼香にメッセージを送ってみた。昨日一歩踏み出したとはいえ、生きている確信が持てなかったからだ。
しかし、返事が返ってくることはなかった。
【不安は募る。ただ、生きていると信じて明日話をするしかない。ただ、ファミレスの事件にしろ、涼香にしろ、何か嫌な予感が拭えない。】
今日学校で涼香に会うのが楽しみだった。涼香が生きたいと思えるような一歩目が踏み出せた気がしていた。心を落ち着けるために学校を休んだのかもしれない。人が怖いとも漏らしていたから考えられることではあった。でも、前みたいに学校に行かなければならないと言った義務感に押しつぶされているわけではないようだ。】
昨日遥希が、涼香の糸が見えなくなるまで何か行動できていたらこの日涼香は学校に来ていたかもしれない。しかしそれはたらればの話。この日を境に彼らは運命と争うことを始める。
涼香が登校してないことを知ってがっかりしたのは朝の話。休んで気持ちを整理する時間も必要だろうと思い直し、授業をやり過ごす。休み時間に優太が話しかけてくる。
「遥希、何したんだ?夏目さん休んでるらしいじゃん?」
「まぁ、振ったのはあるんだけど…。」
「はぁーー?何考えてんの?まさか…他に好きな人が…。」
「悪いかよ。」
「もったいねぇーー!じゃあ俺が狙ってもいいかな。」
「好きにしろよ。」
軽い発言をするが、絶対に行動に移さないのが優太だ。
「それはそうと、聞いたか?昨日の事件。」
「なんの?」
「ファミレスの事件。」
「サラリーマンが毒飲んだやつか?」
「そりゃお前が関わったんだから知ってて当然だろ。それじゃなくて…」
「なんで知ってんだよ…。」
「そのファミレスでもうひと事件あってるらしいぜ。」
「は?どういうことだよ。」
「俺が知るかよ。遥希、事情聴取とかないのか?」
「その事件自体初耳だわ。」
何かざわざわした感覚が襲った。しかし、今回は首をつっこむ意味を持っていない。
モヤモヤした気持ちのまま家に着いた。迷ったが、涼香にメッセージを送ってみた。昨日一歩踏み出したとはいえ、生きている確信が持てなかったからだ。
しかし、返事が返ってくることはなかった。
【不安は募る。ただ、生きていると信じて明日話をするしかない。ただ、ファミレスの事件にしろ、涼香にしろ、何か嫌な予感が拭えない。】
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