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第二部 ロマンス小説のお姫様に婚約者の座を譲って破滅フラグを回避します! 第一章
51 エレナ隣国との茶会に誘われる
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「そういえば、お兄様は外交のお仕事を目指されていたのね」
「あれ? エレナに言ったことなかったっけ?」
やばい。
まだまだ終わらない殿下とコーデリア様の言い合いに待ちくたびれて、お兄様に暢気に声をかけてしまったけど、大切なことを覚えていないなんて、エレナの記憶が抜け落ちていることがバレてしまう。
エレナの記憶が朧げで前世の記憶を思い出したなんて知られたら何が起こるかわからない。
バレないようにしなくちゃ。
「あっ……あら? 伺ってましたっけ? もっもしかして本に夢中になってる時か編み物に夢中になってる時に伺ったのかしら?」
「そうだったっけ? まぁ、いいや」
お兄様の適当なところは、本当に都合がいい。
「だから、エレナ協力してね? エレナはイスファーン語、僕よりも得意でしょ?」
陸続きの隣国は言語体系が同じなので日本でいう方言くらいの違いでなんだかんだ言葉が通じる。
でも海を挟んだ隣国のイスファーン王国は言語体系が全く違う。
ヴァーデン王国内でも王室仕えの文官なら読み書きができる人材はいるだろうし、イスファーンと商取引をする様な商家や船乗り達は話せる人達もいるだろうけど、王女様滞在中のもてなしの案内役が出来るような貴族女性で話せる者は少ない。
エレナは王国内で数少ないイスファーン語が話せるご令嬢だ。
エレナはチートなんじゃないかと思うくらいすごく賢い。
でも、チートなわけじゃなくて、めちゃくちゃ勉強家だ。
毎年エレナの誕生日に殿下から贈られるのは、歴史や地理や政治などの専門書や論文ばかりだったみたい。
きっと妹の様に思ってくれていたはずなので、勉強するようにってことだったのかな?
時には何冊もまとめて送られてきた専門書や論文はエレナ一人では理解できないものばかりだった。
それでもエレナは殿下に感想の手紙を書きたい一心で、贈られた専門書を理解しようと関連する書物をお父様に手に入れてもらったり、家庭教師を雇って勉強したりを毎年繰り返していた。
イスファーン語に関しても、ヴァーデン王国と他国との関係性を知るために、イスファーン王国の歴史書にヴァーデン王国がどう書かれているかを現地の言葉で読むという論文が送られてきた時に、イスファーン人の家庭教師を雇って言葉を習い、日常会話はおろか論文の元になった原文の歴史書を読みこなせるレベルまで到達している。
その時にせっかくだからとお兄様も一緒にイスファーン語を習ったので、お兄様もそれなりにイスファーン語が話せる。
きっとお兄様がしゃしゃり出て「僕とエレナに王女様のお世話は任せてよ」なんて調子よく殿下やコーデリア様に言ったに違いない。
「お兄様は、私の為に社交の場につれだすフリして、自分の補佐のためにイスファーン語が話せる私を連れてこうとしていらっしゃるのね?」
お兄様のせいで私がお茶会に参加する羽目になったことに気がつく。
「やだなぁ、エレナに社交の場で活躍して欲しいだけだって」
白々しい弁明をするお兄様を私はキッと睨みつけた。
お兄様は基本的にエレナの事をめちゃくちゃ可愛がってくれるし、甘いし、エレナ贔屓だと思うけど、それ以上に自分のことが大好きだ。
油断してるとエレナを蔑ろにして自分の利益を優先する。
お兄様は流石にバツが悪いのか、睨んでる私を無視してダスティン様とお喋りをはじめた。
「ねぇ、ダスティンは殿下とコーデリア様が口論してるの見てなんとも思わないの?」
「何がですか?」
「僕は、このギスギスした雰囲気にいると居た堪れない気持ちになるんだけど、ダスティンもそう思わない?」
「そうですか?」
ダスティン様はそう言って人差し指を顎に当てて小首を傾げて考え込む。
「……確かに一国の王太子殿下がお相手でも臆することなく自分の意見をおっしゃるコーデリア様の崇高さと比べてしまうと、自分の卑小さに居た堪れない気持ちになりますね」
コーデリア様の婚約者でいらっしゃるダスティン様は、基本的にコーデリア様のされる事を肯定的に捉えている。
一種の才能だと思う。
「……そう。なんかダスティンと話していると、この場から逃げようと思ってる僕が卑小な人間に思えてくるよ……」
お兄様がため息混じりにそう呟いて、殿下とコーデリア様を見つめる。
「失礼します。殿下とコーデリア様の議論は終わりそうもございませんので、私から説明いたします」
諦め顔のランス様から説明が始まった。
「あれ? エレナに言ったことなかったっけ?」
やばい。
まだまだ終わらない殿下とコーデリア様の言い合いに待ちくたびれて、お兄様に暢気に声をかけてしまったけど、大切なことを覚えていないなんて、エレナの記憶が抜け落ちていることがバレてしまう。
エレナの記憶が朧げで前世の記憶を思い出したなんて知られたら何が起こるかわからない。
バレないようにしなくちゃ。
「あっ……あら? 伺ってましたっけ? もっもしかして本に夢中になってる時か編み物に夢中になってる時に伺ったのかしら?」
「そうだったっけ? まぁ、いいや」
お兄様の適当なところは、本当に都合がいい。
「だから、エレナ協力してね? エレナはイスファーン語、僕よりも得意でしょ?」
陸続きの隣国は言語体系が同じなので日本でいう方言くらいの違いでなんだかんだ言葉が通じる。
でも海を挟んだ隣国のイスファーン王国は言語体系が全く違う。
ヴァーデン王国内でも王室仕えの文官なら読み書きができる人材はいるだろうし、イスファーンと商取引をする様な商家や船乗り達は話せる人達もいるだろうけど、王女様滞在中のもてなしの案内役が出来るような貴族女性で話せる者は少ない。
エレナは王国内で数少ないイスファーン語が話せるご令嬢だ。
エレナはチートなんじゃないかと思うくらいすごく賢い。
でも、チートなわけじゃなくて、めちゃくちゃ勉強家だ。
毎年エレナの誕生日に殿下から贈られるのは、歴史や地理や政治などの専門書や論文ばかりだったみたい。
きっと妹の様に思ってくれていたはずなので、勉強するようにってことだったのかな?
時には何冊もまとめて送られてきた専門書や論文はエレナ一人では理解できないものばかりだった。
それでもエレナは殿下に感想の手紙を書きたい一心で、贈られた専門書を理解しようと関連する書物をお父様に手に入れてもらったり、家庭教師を雇って勉強したりを毎年繰り返していた。
イスファーン語に関しても、ヴァーデン王国と他国との関係性を知るために、イスファーン王国の歴史書にヴァーデン王国がどう書かれているかを現地の言葉で読むという論文が送られてきた時に、イスファーン人の家庭教師を雇って言葉を習い、日常会話はおろか論文の元になった原文の歴史書を読みこなせるレベルまで到達している。
その時にせっかくだからとお兄様も一緒にイスファーン語を習ったので、お兄様もそれなりにイスファーン語が話せる。
きっとお兄様がしゃしゃり出て「僕とエレナに王女様のお世話は任せてよ」なんて調子よく殿下やコーデリア様に言ったに違いない。
「お兄様は、私の為に社交の場につれだすフリして、自分の補佐のためにイスファーン語が話せる私を連れてこうとしていらっしゃるのね?」
お兄様のせいで私がお茶会に参加する羽目になったことに気がつく。
「やだなぁ、エレナに社交の場で活躍して欲しいだけだって」
白々しい弁明をするお兄様を私はキッと睨みつけた。
お兄様は基本的にエレナの事をめちゃくちゃ可愛がってくれるし、甘いし、エレナ贔屓だと思うけど、それ以上に自分のことが大好きだ。
油断してるとエレナを蔑ろにして自分の利益を優先する。
お兄様は流石にバツが悪いのか、睨んでる私を無視してダスティン様とお喋りをはじめた。
「ねぇ、ダスティンは殿下とコーデリア様が口論してるの見てなんとも思わないの?」
「何がですか?」
「僕は、このギスギスした雰囲気にいると居た堪れない気持ちになるんだけど、ダスティンもそう思わない?」
「そうですか?」
ダスティン様はそう言って人差し指を顎に当てて小首を傾げて考え込む。
「……確かに一国の王太子殿下がお相手でも臆することなく自分の意見をおっしゃるコーデリア様の崇高さと比べてしまうと、自分の卑小さに居た堪れない気持ちになりますね」
コーデリア様の婚約者でいらっしゃるダスティン様は、基本的にコーデリア様のされる事を肯定的に捉えている。
一種の才能だと思う。
「……そう。なんかダスティンと話していると、この場から逃げようと思ってる僕が卑小な人間に思えてくるよ……」
お兄様がため息混じりにそう呟いて、殿下とコーデリア様を見つめる。
「失礼します。殿下とコーデリア様の議論は終わりそうもございませんので、私から説明いたします」
諦め顔のランス様から説明が始まった。
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