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第二部 ロマンス小説のお姫様に婚約者の座を譲って破滅フラグを回避します! 第一章
52 エレナ隣国との茶会に誘われる
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ランス様の説明を聞き終わったわたしは、ウェードが入れてくれたハーブティーを飲みほして、再びお兄様を睨みつける。
シーワード公爵領で行われるお茶会にだけ参加すればいいと思っていたのに……
お兄様が王女様の案内係を買って出ていたせいで、五日間にわたるシーワード公爵領でのレセプションのみならず、王都内の観光だ何やらで、わたしとお兄様はひとまず二週間近く王女様の側に居なくてはいけない事になっていた。
ひとまず二週間で免除されるのだって、領地内で「恵みの女神様」に小麦の収穫を感謝して夏から秋にかけての作物の豊穣を願うお祭りがあるからで、そのお祭りが終わった後は、また王女様の案内係をしなくてはいけない。
だいたいイスファーンの使者達は貿易交渉のために来るはずなのに、王女様は観光気分なのか三ヶ月近く滞在する気らしい。
三ヶ月もお世話するなんて……憂鬱。
説明は聞き終わったのに、まだ殿下とコーデリア様はわたしが茶会に参加する理由が公務か招待客かで揉めている。
殿下がコーデリア様に好意を向けているなんて、どうしてわたしは勘違いしてしまったんだろう。
ギスギスとしたお二人を見ながらため息をつく。
「お茶会に参加しなくちゃいけない事実は変わらないなら、公務でも招待客でもどっちでもいいのに……」
わたしの呟きに、ランス様とダスティン様が顔を見合わせて苦笑する。
「シリル殿下は、エレナ様にも社交の場で役割があった方が気楽だと思われているだけですので、エレナ様のご希望で構いませんよ」
「コーデリア様は、エレナ様があまり社交の場が得意じゃないとお聞きになって、招待客としてご自身の席の近くでお世話されたいのです。それなのに、シリル殿下がエレナ様に公務を押し付けようとしてるとお思いになって、エレナ様をお守りしようと躍起になってらっしゃるのです。エレナ様のご選択に合わせてこちらも調整いたしますので、よくお考えください」
ダスティン様の発言を聞き、殿下と議論していたはずのコーデリア様が勢いよく振り返る。
「ダスティン! 貴方はそうやっていつも勝手にわたくしの考えてる事を決めてかかって、しかもそれを言いふらすなんて、どういうつもりなのかしら⁈ いつもそう! わたくしに確認もせずに、わたくしが考えてる事を広めまわって迷惑だわ! もし、貴方の予想がハズレたらどう責任取るつもりなのかしら⁈ 貴方のことだから、すぐ命をかけるなんて言うんでしょうけれど、そんな事で命をかけられて万が一のことがあったらどうすればいいの⁈ 私を置いて死ぬつもりなのね⁈ 結婚前に貴方に死なれるわけにはいかないわ! だいたい貴方は自分の置かれた立場を分かってるのかしら? 将来公爵になる男として……」
「コーデリア様。私の勇気をお試しですか? さすがに私もこのような場で貴女の唇を塞ぐ事は難しい。これは貴女から私への試練でしょうか? 勇気を出してこの試練に打ち勝たねばなりませんか⁈」
「なっ! 何を言ってますの? こっこんなところで、くっ口づけなんて期待しておりませんわっ‼︎」
真っ赤になったコーデリア様の絶叫が響き渡り、ギスギスして寒風が吹き荒んでいた執務室の空気が一気に甘くなる。
ほぼツンしかないコーデリア様を強制的にツンデレにしてしまうダスティン様に感動を覚える。
それにしても……
殿下とコーデリア様はマウントの取り合いしてたわけじゃなくて、私のために揉めていたのね。
事実に気がつくと、私は恥ずかしくて両手で顔を覆う。
「エレナよかったね、殿下もコーデリア様もエレナのためにいろいろ考えて下さってるみたいだよ」
「……お兄様が自分勝手な都合で私のこと連れていこうとするから殿下とコーデリア様が揉めてらっしゃったのよ?」
わたしは顔を覆う指の隙間からお兄様を睨んだけど、お兄様はヘラヘラと笑って誤魔化した。
シーワード公爵領で行われるお茶会にだけ参加すればいいと思っていたのに……
お兄様が王女様の案内係を買って出ていたせいで、五日間にわたるシーワード公爵領でのレセプションのみならず、王都内の観光だ何やらで、わたしとお兄様はひとまず二週間近く王女様の側に居なくてはいけない事になっていた。
ひとまず二週間で免除されるのだって、領地内で「恵みの女神様」に小麦の収穫を感謝して夏から秋にかけての作物の豊穣を願うお祭りがあるからで、そのお祭りが終わった後は、また王女様の案内係をしなくてはいけない。
だいたいイスファーンの使者達は貿易交渉のために来るはずなのに、王女様は観光気分なのか三ヶ月近く滞在する気らしい。
三ヶ月もお世話するなんて……憂鬱。
説明は聞き終わったのに、まだ殿下とコーデリア様はわたしが茶会に参加する理由が公務か招待客かで揉めている。
殿下がコーデリア様に好意を向けているなんて、どうしてわたしは勘違いしてしまったんだろう。
ギスギスとしたお二人を見ながらため息をつく。
「お茶会に参加しなくちゃいけない事実は変わらないなら、公務でも招待客でもどっちでもいいのに……」
わたしの呟きに、ランス様とダスティン様が顔を見合わせて苦笑する。
「シリル殿下は、エレナ様にも社交の場で役割があった方が気楽だと思われているだけですので、エレナ様のご希望で構いませんよ」
「コーデリア様は、エレナ様があまり社交の場が得意じゃないとお聞きになって、招待客としてご自身の席の近くでお世話されたいのです。それなのに、シリル殿下がエレナ様に公務を押し付けようとしてるとお思いになって、エレナ様をお守りしようと躍起になってらっしゃるのです。エレナ様のご選択に合わせてこちらも調整いたしますので、よくお考えください」
ダスティン様の発言を聞き、殿下と議論していたはずのコーデリア様が勢いよく振り返る。
「ダスティン! 貴方はそうやっていつも勝手にわたくしの考えてる事を決めてかかって、しかもそれを言いふらすなんて、どういうつもりなのかしら⁈ いつもそう! わたくしに確認もせずに、わたくしが考えてる事を広めまわって迷惑だわ! もし、貴方の予想がハズレたらどう責任取るつもりなのかしら⁈ 貴方のことだから、すぐ命をかけるなんて言うんでしょうけれど、そんな事で命をかけられて万が一のことがあったらどうすればいいの⁈ 私を置いて死ぬつもりなのね⁈ 結婚前に貴方に死なれるわけにはいかないわ! だいたい貴方は自分の置かれた立場を分かってるのかしら? 将来公爵になる男として……」
「コーデリア様。私の勇気をお試しですか? さすがに私もこのような場で貴女の唇を塞ぐ事は難しい。これは貴女から私への試練でしょうか? 勇気を出してこの試練に打ち勝たねばなりませんか⁈」
「なっ! 何を言ってますの? こっこんなところで、くっ口づけなんて期待しておりませんわっ‼︎」
真っ赤になったコーデリア様の絶叫が響き渡り、ギスギスして寒風が吹き荒んでいた執務室の空気が一気に甘くなる。
ほぼツンしかないコーデリア様を強制的にツンデレにしてしまうダスティン様に感動を覚える。
それにしても……
殿下とコーデリア様はマウントの取り合いしてたわけじゃなくて、私のために揉めていたのね。
事実に気がつくと、私は恥ずかしくて両手で顔を覆う。
「エレナよかったね、殿下もコーデリア様もエレナのためにいろいろ考えて下さってるみたいだよ」
「……お兄様が自分勝手な都合で私のこと連れていこうとするから殿下とコーデリア様が揉めてらっしゃったのよ?」
わたしは顔を覆う指の隙間からお兄様を睨んだけど、お兄様はヘラヘラと笑って誤魔化した。
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