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復讐者・森本勝 Ⅳ
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森本の話は悲惨なものであったが、ここでは多くの人間が同じような経験もし、悲しみを抱いている者も多い。
「業」に大切な人間を殺されて、その復讐のために「虎」の軍に来た人間は幾らでもいる。
森本もその一人だったのだ。
森本は婚約者の真奈美の復讐のために、俺たちと一緒に戦おうとしているのだ。
ただ、森本の婚約者への愛が深かったからこそ、復讐心も強烈に燃え上がっている。
「業」の軍を殺すことだけに集中した分、周囲が見えなくなっているとも感じた。
だが俺たちは「愛」を否定しない。
歪に燃え上がったものであっても、それでいい。
森本も、俺と話が出来たことで一つ満足したようだった。
俺に特別な訓練を希望していたようだが、自分でやるしかないことも理解した。
そして森本はその後、本当に必死で訓練を受け、頭角を現わすようになっていった。
それが復讐であったとしても、人生が狭くなり更に点になった人間は凄まじい。
狂人にしか辿り着けない場所があることを、俺はよく知っている。
定期的に俺に送られる「虎の穴」の報告書に、森本の名前を見ることが度々あった。
成績の優秀者の項目で、様々な訓練での階級別の上位成績者の名前に森本が載っていた。
ただ、同時に問題も数多く起こしていた。
森本は規律を重んじることが無く、協調性に欠けるという評価があり、よくソルジャー同士での暴力事件を起こしていた。
まあ、はっきり言ってうちの連中はお上品ではない。
それにいろいろな場所から引き抜いたり希望して入って来るので、軋轢も多い。
生まれ育った文化背景が違うというのも、大きな問題だった。
例えば、様々な人種が集まったアメリカでは、常に明確に自分の意見を述べることが望まれる。
反対に島国であった日本では、語らずとも察する文化がある。
アメリカの、自分の意見や好悪を口に出す文化は、様々な文化背景を持った人間同士には必要なことなのだ。
「虎」の軍でも、似たような状態がある。
「業」の軍という強敵を前にして、俺たちは初めて仲間として分かり合えるのだ。
森本はそのことを、日本の文化としてではなく、個人の効率と合理性でもって拒んでいた。
自分が強くなるために、周囲のことに一切関知しない、協調しない奴というレッテルを貼られていた。
少なくとも、多くの周囲の人間がそう認識していた。
訓練、また与えられた仕事、雑用まで森本は人一倍やっていたようなのだが、肝心の対人関係で衝突し、時には上官に逆らって処罰も受けている。
軍の構成としては、米軍関係とそれに次いで千万組を中心とした日本のヤクザたちが多い。
千万組は滅多に問題を起こさないが、米軍は自分たちがマスであることを権威付けようとする奴らがいる。
だから米軍同士でグループを作り、他の人間を見下そうとする傾向があった。
他にも出身国や出身組織で集まることも多くもあり、時々それらがぶつかることもある。
大抵はささいな喧嘩だが、取り締まる軍警察は結構忙しい。
俺の意向で、規律違反も喧嘩沙汰もあまり厳しくは取り締まらないようにしている。
喧嘩の事情を把握して裁判などは面倒なので、大抵は即座に強制労働か独房に突っ込んで終わっている。
それらの罰は上官たちに任せることが多かった。
優秀な上官は、部下に適切な罰を与えるものだと、俺が命じて徹底させている。
それらの報告も軍警察に上げられ、処分が不適切な場合は軍警察の判断でやり直させる。
そういう慣例が敷かれていた。
森本は元海兵隊のストライカー少佐の率いる大隊に所属していた。
陸自で英語を身に着けており、会話に問題は無かったからだ。
ストライカー少佐は、指揮官として優秀であり、人間としても器の大きな男だった。
海兵隊時代にも幾つもの困難な任務をこなし、部下たちからの信頼も篤い。
多くの部下が今もストライカー少佐の下におり、大隊全体の戦闘力も大したものになっている。
幾度か南米の《ハイヴ》攻略戦にも出向いており、亜紀ちゃん、柳と一緒に作戦行動をした。
俺が報告書や亜紀ちゃんたちの言葉から知るストライカー少佐は、指揮官としても人間としても優秀な男だった。
しかし、森本はそこで幾度も問題を起こした。
ストライカー少佐の部下は元海兵隊員が多く、彼らがストライカー少佐の取り巻きともなっていた。
他の大隊のメンバーは、どうしても元海兵隊員の下の立場になって行きがちだった。
ストライカー少佐の統率力で意識してのいじめこそは無いが、無言の圧力が生まれていた。
それに確かに元海兵隊員たちは優秀であった。
森本はそうした中で努力して頭角を現わし、それがまた軋轢を生んでいた。
大抵は訓練中のやり過ぎで、仲間に怪我を負わせたことに起因する喧嘩だった。
怪我をした相手が元海兵隊員であると、その連中が集団となって森本を責めた。
責められると、森本は謝罪もせず相手がたるんでいるのだと言い返し、喧嘩になる。
ストライカー少佐は流石に中立で、元海兵隊員たちを諫めることが多かった。
しかし、ある時の森本の言い分が、ストライカー少佐の逆鱗に触れた。
いつもの如く森本と元海兵隊員たちの諍いを止めた後だ。
「森本、いい加減にしろ。どうしてお前は仲間と上手くやれないんだ」
「少佐殿、自分は強くなりたいでけです、仲間と仲良くするなど必要ありません」
「お前が努力して強くなるのはいい。だがな、軍隊は集団で作戦行動を展開するのだ。お前のような独りよがりは通用せんぞ」
「自分は仲間よりも、敵を殺すことを優先します」
「なんだと!」
「作戦が失敗した場合、自分は生還することを最優先します」
「お前、何を言っているのか分かってるのか!」
「はい! 自分は部隊の人間を見捨てて必ず生還しますから!」
「お前などいらない! ここから出て行け!」
ストライカー少佐の怒りは凄まじく、軍政局に即座に申告して森本を大隊から追い出した。
ストライカー少佐は、心底から仲間思いの人間であり、互いに助け合う強固な大隊を作ろうと尽力して来た人間だった。
だからこそ、森本の暴言が許せなかった。
流石に「虎」の軍を辞めさせられることは無かったが、森本の吐いた言葉は多くの人間の知る所となってしまった。
周囲で聞いていた元海兵隊員たちの口から噂が広まったのだ。
「虎」の軍は仲間を大切に思う者が多い。
だからこそ、森本の言葉は多くの者の反発を受け、それがまた噂の拡散となってしまった。
また、ストライカー少佐の森本の異動に関する申請書で軍政局が森本本人に確認し、その調査でも森本が同じ言葉を繰り返したからだ。
売り言葉に買い言葉で言ったものではなかったのだ。
森本が心底からそう考えていると理解された。
軍政局でも森本の発言は問題視され、滅多に開かれない軍事法廷で裁かれることとなった。
森本はそこでも仲間を見捨てる自分の行動を明言し、法廷でも森本の印象は最悪となった。
ストライカー少佐の言う通り、森本は「虎」の軍に相応しくないと判断された。
しかし、俺が森本を擁護した。
軍事法廷での裁判に、俺自身が乗り出したのは異例のことだった。
「森本が言っているのは、極論ではあっても間違ってはいない」
法廷で俺のその言葉は反発を受けた。
「問題は命令違反かどうかだ。退却を命じられた場合、仲間を救助せずに退却することは問題ない。そうだろう?」
「タイガー、その通りですが、森本の発言は命令にも従わずに自分だけが生還するという意味と思われます」
「本当にそうか?」
森本が証言台に立たされ、命令違反を犯してでも自分の生還を優先するのかを確認された。
「命令には従います」
森本はそう言い切った。
そのことで法廷は森本の罪を問わず、罪を問われることなく結審した。
ストライカー少佐は尚も森本の規律違反と協調性の無さを訴えたが、確たる証拠もなくそのまま法廷は閉じた。
ターナー大将もこの軍事法廷を重要視し、俺が介入することにも反対だった。
しかし、俺は森本という男の誠実を信じた。
仲間を軽視する男なのかもしれない。
でもそれは、本当にその極限状況になってからの話だ。
俺は森本を信ずる。
森本の裁判は「虎」の軍の多くの人間が注目していた。
ほとんどは、森本に対する憎悪に近い反発だった。
裁判の結果、森本が無罪となったことにも根強い反対意見があった。
俺が介入したことにも、気に入らない人間もいた。
だから俺は全軍に通達した。
「業」に大切な人間を殺されて、その復讐のために「虎」の軍に来た人間は幾らでもいる。
森本もその一人だったのだ。
森本は婚約者の真奈美の復讐のために、俺たちと一緒に戦おうとしているのだ。
ただ、森本の婚約者への愛が深かったからこそ、復讐心も強烈に燃え上がっている。
「業」の軍を殺すことだけに集中した分、周囲が見えなくなっているとも感じた。
だが俺たちは「愛」を否定しない。
歪に燃え上がったものであっても、それでいい。
森本も、俺と話が出来たことで一つ満足したようだった。
俺に特別な訓練を希望していたようだが、自分でやるしかないことも理解した。
そして森本はその後、本当に必死で訓練を受け、頭角を現わすようになっていった。
それが復讐であったとしても、人生が狭くなり更に点になった人間は凄まじい。
狂人にしか辿り着けない場所があることを、俺はよく知っている。
定期的に俺に送られる「虎の穴」の報告書に、森本の名前を見ることが度々あった。
成績の優秀者の項目で、様々な訓練での階級別の上位成績者の名前に森本が載っていた。
ただ、同時に問題も数多く起こしていた。
森本は規律を重んじることが無く、協調性に欠けるという評価があり、よくソルジャー同士での暴力事件を起こしていた。
まあ、はっきり言ってうちの連中はお上品ではない。
それにいろいろな場所から引き抜いたり希望して入って来るので、軋轢も多い。
生まれ育った文化背景が違うというのも、大きな問題だった。
例えば、様々な人種が集まったアメリカでは、常に明確に自分の意見を述べることが望まれる。
反対に島国であった日本では、語らずとも察する文化がある。
アメリカの、自分の意見や好悪を口に出す文化は、様々な文化背景を持った人間同士には必要なことなのだ。
「虎」の軍でも、似たような状態がある。
「業」の軍という強敵を前にして、俺たちは初めて仲間として分かり合えるのだ。
森本はそのことを、日本の文化としてではなく、個人の効率と合理性でもって拒んでいた。
自分が強くなるために、周囲のことに一切関知しない、協調しない奴というレッテルを貼られていた。
少なくとも、多くの周囲の人間がそう認識していた。
訓練、また与えられた仕事、雑用まで森本は人一倍やっていたようなのだが、肝心の対人関係で衝突し、時には上官に逆らって処罰も受けている。
軍の構成としては、米軍関係とそれに次いで千万組を中心とした日本のヤクザたちが多い。
千万組は滅多に問題を起こさないが、米軍は自分たちがマスであることを権威付けようとする奴らがいる。
だから米軍同士でグループを作り、他の人間を見下そうとする傾向があった。
他にも出身国や出身組織で集まることも多くもあり、時々それらがぶつかることもある。
大抵はささいな喧嘩だが、取り締まる軍警察は結構忙しい。
俺の意向で、規律違反も喧嘩沙汰もあまり厳しくは取り締まらないようにしている。
喧嘩の事情を把握して裁判などは面倒なので、大抵は即座に強制労働か独房に突っ込んで終わっている。
それらの罰は上官たちに任せることが多かった。
優秀な上官は、部下に適切な罰を与えるものだと、俺が命じて徹底させている。
それらの報告も軍警察に上げられ、処分が不適切な場合は軍警察の判断でやり直させる。
そういう慣例が敷かれていた。
森本は元海兵隊のストライカー少佐の率いる大隊に所属していた。
陸自で英語を身に着けており、会話に問題は無かったからだ。
ストライカー少佐は、指揮官として優秀であり、人間としても器の大きな男だった。
海兵隊時代にも幾つもの困難な任務をこなし、部下たちからの信頼も篤い。
多くの部下が今もストライカー少佐の下におり、大隊全体の戦闘力も大したものになっている。
幾度か南米の《ハイヴ》攻略戦にも出向いており、亜紀ちゃん、柳と一緒に作戦行動をした。
俺が報告書や亜紀ちゃんたちの言葉から知るストライカー少佐は、指揮官としても人間としても優秀な男だった。
しかし、森本はそこで幾度も問題を起こした。
ストライカー少佐の部下は元海兵隊員が多く、彼らがストライカー少佐の取り巻きともなっていた。
他の大隊のメンバーは、どうしても元海兵隊員の下の立場になって行きがちだった。
ストライカー少佐の統率力で意識してのいじめこそは無いが、無言の圧力が生まれていた。
それに確かに元海兵隊員たちは優秀であった。
森本はそうした中で努力して頭角を現わし、それがまた軋轢を生んでいた。
大抵は訓練中のやり過ぎで、仲間に怪我を負わせたことに起因する喧嘩だった。
怪我をした相手が元海兵隊員であると、その連中が集団となって森本を責めた。
責められると、森本は謝罪もせず相手がたるんでいるのだと言い返し、喧嘩になる。
ストライカー少佐は流石に中立で、元海兵隊員たちを諫めることが多かった。
しかし、ある時の森本の言い分が、ストライカー少佐の逆鱗に触れた。
いつもの如く森本と元海兵隊員たちの諍いを止めた後だ。
「森本、いい加減にしろ。どうしてお前は仲間と上手くやれないんだ」
「少佐殿、自分は強くなりたいでけです、仲間と仲良くするなど必要ありません」
「お前が努力して強くなるのはいい。だがな、軍隊は集団で作戦行動を展開するのだ。お前のような独りよがりは通用せんぞ」
「自分は仲間よりも、敵を殺すことを優先します」
「なんだと!」
「作戦が失敗した場合、自分は生還することを最優先します」
「お前、何を言っているのか分かってるのか!」
「はい! 自分は部隊の人間を見捨てて必ず生還しますから!」
「お前などいらない! ここから出て行け!」
ストライカー少佐の怒りは凄まじく、軍政局に即座に申告して森本を大隊から追い出した。
ストライカー少佐は、心底から仲間思いの人間であり、互いに助け合う強固な大隊を作ろうと尽力して来た人間だった。
だからこそ、森本の暴言が許せなかった。
流石に「虎」の軍を辞めさせられることは無かったが、森本の吐いた言葉は多くの人間の知る所となってしまった。
周囲で聞いていた元海兵隊員たちの口から噂が広まったのだ。
「虎」の軍は仲間を大切に思う者が多い。
だからこそ、森本の言葉は多くの者の反発を受け、それがまた噂の拡散となってしまった。
また、ストライカー少佐の森本の異動に関する申請書で軍政局が森本本人に確認し、その調査でも森本が同じ言葉を繰り返したからだ。
売り言葉に買い言葉で言ったものではなかったのだ。
森本が心底からそう考えていると理解された。
軍政局でも森本の発言は問題視され、滅多に開かれない軍事法廷で裁かれることとなった。
森本はそこでも仲間を見捨てる自分の行動を明言し、法廷でも森本の印象は最悪となった。
ストライカー少佐の言う通り、森本は「虎」の軍に相応しくないと判断された。
しかし、俺が森本を擁護した。
軍事法廷での裁判に、俺自身が乗り出したのは異例のことだった。
「森本が言っているのは、極論ではあっても間違ってはいない」
法廷で俺のその言葉は反発を受けた。
「問題は命令違反かどうかだ。退却を命じられた場合、仲間を救助せずに退却することは問題ない。そうだろう?」
「タイガー、その通りですが、森本の発言は命令にも従わずに自分だけが生還するという意味と思われます」
「本当にそうか?」
森本が証言台に立たされ、命令違反を犯してでも自分の生還を優先するのかを確認された。
「命令には従います」
森本はそう言い切った。
そのことで法廷は森本の罪を問わず、罪を問われることなく結審した。
ストライカー少佐は尚も森本の規律違反と協調性の無さを訴えたが、確たる証拠もなくそのまま法廷は閉じた。
ターナー大将もこの軍事法廷を重要視し、俺が介入することにも反対だった。
しかし、俺は森本という男の誠実を信じた。
仲間を軽視する男なのかもしれない。
でもそれは、本当にその極限状況になってからの話だ。
俺は森本を信ずる。
森本の裁判は「虎」の軍の多くの人間が注目していた。
ほとんどは、森本に対する憎悪に近い反発だった。
裁判の結果、森本が無罪となったことにも根強い反対意見があった。
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