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みんなで真夏の別荘! Ⅵ

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 昼食はショートパスタだ。
 バジルソースを基調に、アサリと小エビを入れている。
 アサリと小エビはガーリックオイルで炒めている。
 俺は久留守が好みでないだろうと思い、別途醤油ベースで作った。
 こちらの具材はガーリックではなくジンジャーだ。
 久留守が俺に礼を言いながら、喜んで食べた。

 「石神は久留守の好みが分かるんだな」
 「俺の子だからな」
 「石神!」

 早乙女が慌て、御堂が笑った。

 「ね、雪野さん!」
 「そうですね」
 「雪野さん!」

 みんなが笑った。
 久留守はニコニコして俺を見ていて、早乙女は苦い顔をしていた。
 昼食後は子どもたちは鍛錬をし、響子とロボは寝た。
 怜花と久留守と少し遊んで、二人も寝かせた。
 俺は大人たちでのんびりと話をした。

 御堂も早乙女も普段は大変な激務をこなしている。
 その愚痴でも聴いてやろうと思ったのだが、二人ともまったくそんなことは言わなかった。
 だから俺は亜紀ちゃんと柳の活躍や「グレイプニル」の凄まじい戦闘の話をした。
 暗くするつもりはなく、面白おかしく話した。

 「亜紀ちゃんが「悪人狩り」が好きなわけでさ。だからどこでもガンガンやっちまうのを柳が毎回止めてたんだよ」

 みんなが笑う。

 「だけどさ、アフリカ戦線で柳がホームシックになったらしくてさ」
 「え? 柳が?」
 
 御堂が驚いた。

 「ああ、それで亜紀ちゃんも焚きつけてよ。早く戦争を終わらせれば家に帰れますよって。そうしたら柳がガンガンやっちまってよぉ。もうアフリカ全土が「虎」の軍に総スカンよ。外務担当のウィルソンが倒れた」

 みんなが笑った。

 「ルイーサ、ああお前らは絶対に「レジーナ様」って呼べよな。あいつ、絶対に許さねぇからよ」
 「ああ、知ってるよ」
 「それでさ、「グレイプニル」に中央アフリカのレベル7の《ハイヴ》を任せたのな」
 「レベル7って! 大変なものじゃないか!」

 早乙女が叫んだ。
 「アドヴェロス」は《ハイヴ》攻略をしたことは無いが、当然どういうものかは知っている。

 「ああ、もちろん「グレイプニル」の実力を俺が自分で確認してからだよ。実際に実力は凄まじかった。《ハイヴ》はどんどん攻略が進んでさ」
 「そうなのか!」
 「俺もデュールゲリエの調査部隊を連れてってさ。途中までは今までにない成果を手に入れてたんだよ」
 「え? ダメだったのか?」
 「そうなんだよ! ルイーサがさ、途中で飽きちゃってよ! 自分がやるって言いやがって全部一瞬でぶっ壊した! あいつよ!」

 みんなが爆笑した。

 そのうちにお茶の時間になり、子どもたちも鍛錬を終え、お茶の準備を始めた。
 今日はアイスコーヒーと双子の作ったパンプキンプリンだ。
 響子や怜花と久留守を起こしてみんなで食べた。
 久留守は好みではないだろうが、ニコニコして食べていた。

 「これは思い出の味なんですね」
 「お前、分かるのか」
 「はい。美しい人でしたね」
 「……」

 子どもたちが久留守を見ていた。
 こいつにはレイの思い出が分かるのか。

 「久留守ちゃん、もっと食べる?」
 「はい!」

 ハーがニコニコして久留守にパンプキンプリンをもう一つ持って来た。
 頭を優しく撫でてやる。
 御堂が亜紀ちゃんや柳の活躍を労った。
 早乙女も褒め称え、先ほど「グレイプニル」の話も聞いたと言った。

 「タカさん、今もレジーナ様に何か調査を頼んでますよね?」

 亜紀ちゃんが俺に言った。

 「ああ……」
 「あ、話せないことでしたか!」
 「いや、そうじゃない。まあ、そのうちにな」
 「はい、すいませんでした……」

 亜紀ちゃんが暗い顔をしたので、悪いことをした。

 「ああ、悪かったな、ちょっとあってな。じゃあ、この話は今晩しようか」
 「え、いいんですか?」
 「聞いて楽しい話じゃないんだけどな。でも、そういうものも聞いておくのがいいのかもしれないな」
 「タカさん……」

 亜紀ちゃんは俺の感情に敏感だ。
 奈津江の思い出話も、毎回亜紀ちゃんが心配そうに俺を見ている。

 お茶の後はみんなでゲームをした。
 ボードゲームは俺が抜けたので響子の圧勝で、俺は怜花と久留守とでロボピンポンをして遊んだ。
 双子は早目に夕飯の準備を始める。
 そのうちに亜紀ちゃんと柳も手伝う。
 澪さんと雪野さんも手伝いたがったが、俺が断固として拒否してゆっくりさせた。
 逆に御堂と早乙女を手伝わせた。

 「お前らは普段澪さんと雪野さんに喰わせてもらってるんだから、たまにはやれ!」
 「「アハハハハハハハ!」」

 二人が笑って手伝い始めた。
 二人とも料理は出来る人間たちだ。
 御堂は学生時代に自炊していたし、早乙女も一人暮らしが長かった。
 柳が二人を引き受けて食材のカットをさせていた。
 
 「じゃあ、俺たちは風呂に入りますか!」
 「石神!」

 早乙女が慌てて叫び、みんなが笑った。
 俺たちは楽しく話しながら準備を待った。
 二人が楽し気に大笑いしているので、御堂と早乙女もニコニコしていた。
 響子と怜花、久留守はソファでテレビを観ていたが、覗くと三人でグーグー寝ていた。
 みんなで笑った。






 ウッドデッキに出て、ルーが鰻の準備を始める。
 ハーが蒸しを担当し、二人でどんどん鰻を仕上げていく。
 ロボが大騒ぎで、先に白焼きをやった。
 亜紀ちゃんと柳はハマグリの味噌汁を作り、山芋のサラダを作って行く。

 「そろそろですよー!」

 ハーが言い、みんなで食事を始めた。
 みんなで鰻をまず食べ始め、久留守が狂喜していた。
 響子が白焼きをわさび醤油で食べて、唸った。
 みんなが笑う。

 「響子もすっかりジャパニーズだな!」
 「そうだよ!」

 みんなが笑った。
 
 「もうこの一杯でやめたいんですけど」

 雪野さんが困った顔で言い、またみんなが笑った。

 「石神さんたちと一緒にいると、美味しくてつい食べ過ぎてしまって」

 「おかわりあるよー!」
 「美味しいですよー!」
 「うん」

 雪野さんも澪さんも笑ってお替りしていた。
 鰻は子どもたちが交代で仕上げて行ったので、途中で俺が替わった。
 子どもたちに声を掛けた。
 
 「お前らもどんどん喰えよ」
 「「「「!」」」」

 みんなでワイワイと食べた。
 ステーキは主に子どもたちが食べたが、御堂や早乙女たちも1枚は食べた。
 俺は特別に肉を柔らかくし、怜花と久留守にも食べさせた。
 亜紀ちゃんと柳がじっくりと丁寧に出汁をとって仕上げたハマグリの味噌汁が絶品で、みんなが喜んだ。

 楽しい食事を終え、交代で風呂に入って行く。
 雪野さんに頼まれて、響子と一緒に怜花と久留守と入った。
 俺が三人を洗ってやる。
 俺の身体を気持ち悪がらないかと少し心配したが、大丈夫そうだった。
 「虚チン花」「チーンハンマー」を見せて、みんなを喜ばせた。
 あまり長湯は出来ないのでみんなで上がって身体を拭いてやっていると、雪野さんが怜花たちを引き受けに入って来た。
 
 「あ! すいません!」
 「アハハハハハハ!」

 俺は素っ裸だった。
 怜花と久留守を先に出して雪野さんに預けた。
 みんなで風呂を終え、子どもたちがつまみを作って行く。
 
 山芋海苔巻き。
 甘エビのかき揚げ。
 雪野ナス。
 ナスの煮びたし。
 シラス大根。
 唐揚げ。
 ソーセージグリル(店長さんありがとう)。
 チーズ各種。
 酒はクロ・ダンボネを出した。

 しばらく他愛無い話をし、俺は語り出した。

 「悲しい話だ」

 亜紀ちゃんが手を組んで俺を見詰めていた。
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