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みんなで御堂家!

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 無事に麗星、六花と栞の出産を終え、一段落した。
 俺はそれぞれの子どもを見に行き、結構忙しい毎日だった。
 まあ、「飛行」を使えば移動時間は何のこともないのだが、やはり行けば子どもがカワイイし、それぞれの女たちも愛おしい。
 特に京都では、普段以上に俺が訪れるので麗星が嬉しがっていた。
 天狼や奈々も喜んで俺を放さない。
 もちろん俺も大喜びだ。
 麗星や子どもたちに会える上に、なにしろここでは最高に美味い食事が出る。
 俺が行くたびにみんなが喜んで絶品の料理を用意してくれた。
 つい長居をしたくなる。
 夜羽はよく笑うようになり、天狼や奈々が四六時中傍にいて可愛がっている。
 夜羽が笑顔になるとみんなが喜んだ。
 五平所も時々奈々に殺されそうになりながら、夜羽の世話をしてくれている。
 恐らくは道間家の特別な儀式もあるのだろうが、別に悪いものは何も感じない。
 ハイファとも毎回会うが、いつも俺に頭を下げて感謝の言葉を口にする。
 道間家を護り、最高の家柄にするハイファの願いは叶いつつあるのだと言う。
 俺にはどうでも良いことで、ただ家族が愛おしいだけだ。

 「あなた様、また4人目を!」
 「お、おう!」

 麗星はまだまだ子どもが欲しいようだが。
 俺への愛はもちろんあるのだが、無意識の中で血筋の多くを喪った道間家のことを考えているのだろう。
 俺も当然麗星を愛しているので否は無い。

 六花は案の定愛情のシャワー以上の豪雨状態で、吹雪と共に銀世を存分に可愛がっている。

 「銀ちゃーん!」

 銀世が起きている間はひと時も離さずに、抱き締め撫でキスをし舐め回している。
 まあ、吹雪の時もそうだったから何の心配も無い。
 吹雪にもこれまで同様に抱き締めて撫でてキスをして可愛がっている。
 吹雪は客観的に自分がどのように愛情を注がれて来たのかを見て、ますます母親に親しんでいた。
 吹雪は子どもを生んだばかりの六花をいたわって、自分が注がれたままの愛情を六花と銀世に向けている。
 六花しか赤ん坊への愛情の示し方を知らないので、自然に吹雪も銀世を抱き締め撫でキスをし、舐め回す。

 「……」

 まあ、いいか。
 当然「紅六花」の連中もひっきりなしにやって来て、こっちは少々騒がしい。
 俺が母親と家族だけの時間が大事なのだと言っているのでやたらに銀世には近づかないし触れないが、俺が来るとちょっと不満そうな顔をしているので、見てない所ではもっと触っているのだろう。
 最愛の六花の子なので無理もないのだが。
 「紅六花」の連中も家族のようなものだから、まあいいか。

 栞も千歌を大事に可愛がっている。
 栞の本来持っている大きな母性が発揮されている。
 六花とは違う愛情表現で千歌が優しく抱かれている。
 温かな包容力で、千歌が包み込まれているのが分かる。
 特に授乳は千歌が喜んでいるのが一番現われる時間だ。

 「あなた、あなたもオッパイ飲む?」
 「う、うん」

 栞パイは最高だ。




 8月中旬の金曜日の晩。
 いつものようにみんなで『虎は孤高に』を観て、大騒ぎ(主に亜紀ちゃんとロボ)した。

 「今週も! さ・い・こ・う・っだぁーーーー!
 「ふっぎゃぁぁぁーーー!」

 『……』

 こいつら、毎回うるさくなっている気がする。
 もう他の誰の追随も許さない。

 ドラマ鑑賞のために大量に作ったつまみを運んで、「幻想空間」に集まる。
 明日は早朝からの出発だが、軽く酒を飲むつもりだった。
 珍しく斬も一緒にテレビを観て、ここまで付き合った。
 士王がいるので、決して仏頂面ではない。

 「斬、明日から俺らは別荘に行くけどよ。留守番を頼むな」
 「安心せい」

 俺と亜紀ちゃんたち、柳、響子で御堂の家に一泊し、別荘に行く。
 その間、栞は入院で、士王と桜花たち、そして護衛で斬が残る。
 食事は桜花たちがいるので、何の問題もない。
 冷蔵庫にも倉庫にも大量の食糧があるし。
 それに外にも食べに行くように言っている。
 特に新宿の「銀河宮殿」には士王を連れて行ってくれと頼んだ。
 俺の名前でいつでも予約が出来る。
 六花も今月一杯は故郷に残る。

 響子を連れて行くので茜と葵も誘ったのだが、病院で治療に専念すると言った。
 それに口には出さないが、栞の護衛もするつもりなのだろう。
 話し相手にもなりたいようだ。
 有難い。
 別荘には早乙女たちも誘った。
 あまり出掛けない連中なので、非常に喜んでいた。
 自分たちでもっとあちこち行けばいいのに、と思う。
 まあ、「アドヴェロス」の長としての責任感もあるのだが、第一に早乙女が雪野さんと子どもたちがいれば満足なのがいけない。
 雪野さんたちもそれほど旅行に出掛けたい人間でもないこともあるのだが。
 もちろん早乙女を誘うと有頂天になって喜んでついて来るし、雪野さんも同じだ。
 俺の家にも喜んで来るし楽しんで帰る。
 他の場所もそうだし、この別荘も本当に楽しみにしている。
 まあ、俺も楽しんで欲しい。

 翌朝、7時に出発した。
 斬や桜花と睡蓮、士王は一緒に鍛錬をしており、出掛ける俺たちを見送ってくれた。
 
 「士王、栞を頼むな」
 「はい! お父さん、行ってらっしゃい!」
 「おう!」

 子どもたちも士王や桜花たちに手を振って出発した。
 一度病院へ寄って響子をピックアップする。
 部屋にはやはり茜と葵がいて、葵が響子の荷物を持って待っていた。
 待ち構えていた響子が最高の笑顔で俺に抱き着く。
 エヘヘヘヘヘ。
 
 「タカトラー!」
 「おう、元気そうだな。よし、行くぞ!」
 「うん!」
 「茜と葵は栞のことを頼むな」
 「はい、楽しんで来て下さい」

 響子は可愛らしいトラ柄のパジャマのままだ。
 どうせすぐに寝る。 
 栞の部屋にも寄る。

 「あなた!」
 「おう、起きてたか」
 「うん、千歌も元気よ」
 
 俺はベビーベッドで眠っている千歌を見た。
 新生児特有の、何の不安も無い安らかな寝顔だ。
 起こさないように、俺はそっと額を優しく撫でた。
 そうやっている俺を微笑んで見ながら栞が言った。

 「これから出掛けるのね」
 「ああ、栞はまた今度な」
 「うん、仕方ないね」
 「ほんとは栞、麗星、六花も呼んで一緒に行きたかったんだけどな」
 「そうだよねー、でもやっぱり生まれたばかりの子どもは無理だから」

 当初は今年は栞、六花、麗星、鷹を招いて子どもたちもお互いに会わせたいと思っていた。
 無理をすれば出来ない話でも無かったのだが、俺は潔く諦めた。
 そして鷹は親友の栞の傍にいたいということで、やはり別荘には来ないことになった。
 まあ、実を言えばずっと中南米やアフリカで頑張ってくれた亜紀ちゃんと柳、それに双子を労わってやりたい気持ちが大きい。
 新たに生まれた子どもたちのことは、また別途考えることにする。
 もう少し落ち着いてからだ。

 「椿姫、栞と千歌を頼むな」
 「はい、お任せください」
 「ついでに斬もな」
 「アハハハハハハハ!」
 「お前たちも近いうちにゆっくりさせてやるからな」
 「いいえ! もう十分にしていただいてますから!」
 「ああ、栞がいない場所でもう一度言うな」
 「石神様!」

 栞が大笑いしていた。
 響子を乗せて、茜と葵に見送られてハマーで出発した。
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