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皇紀&風花 結婚式 Ⅱ
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11月の中旬。
僕はトルコのパムッカレ基地の建設現場にいた。
フィリピンの基地は一からの建設になり、あまり僕の出番はなくなったためだ。
パムッカレの方は区画分けと基礎工事が進んでおり、上物も幾つか出来つつある。
まだ僕が必要なことは少ないが、この時点で綿密に検討したいこともあり、建設現場に泊まり込んでいた。
またデュールゲリエのルーとハーが一緒に来てくれ、何かと僕の面倒を見てくれる。
「この辺は歓楽街がありませんね」
「必要ないよー」
二人にからかわれたりする。
そういうユーモアも二人にはある。
まあ、僕は風花さんと結婚するんだ。
風俗など、もう行かないぞー!
パムッカレは「業」の攻撃で美しい市街が壊滅したけど、「虎」の群によって以前よりも美しい街造りが行なわれた。
タカさんが、命懸けで街の人々を守ろうとしたジャンダルマの人たちに感動して、基地の建設よりも優先して手掛けたのだ。
もちろん防備の体制も整え、街には常に100体のデュールゲリエを配備した。
皇紀通信も置いて、緊急事態にはアラスカからすぐに駆け付けるようになっている。
トルコ政府ともそのような条約を結んでいた。
僕に、タカさんから連絡が来た。
12月14日に、アラスカで、僕と風花さんとの結婚式の日程が決まったと。
「今、全体のスケジュールなんかを調整中だけど、もうほぼ決定だ」
「分かりました。いろいろとすみません」
「いやいや。風花には野薔薇から伝えてもらってるからな」
御堂さんも出席してくれるらしく、御堂さんのスケジュール調整が一番難航したそうだ。
ありがたい。
他にも、僕たちに親しい方々が来て下さるに違いない。
大掛かりな結婚式をタカさんが考えていることは分かっている。
その時点で、僕の想像を遙かに超えていたのだが……
「じゃあ、僕も一度戻って準備しますね」
結婚式は、早乙女さんの時にしか出ていないが、いろいろと式典の作法や立ち位置などの打ち合わせがあることは分かっている。
着る服なども衣装合わせが必要だろう。
出席して下さった人たちへの引き出物の検討も、ああ、仲人の人も頼むことになるのだろうか。
とにかく、打ち合わせなければならないことは沢山ありそうだ。
それに、風花さんともそろそろ会いたい。
一緒に結婚式や披露宴の打ち合わせをするのは、大変だけど楽しそうだ。
「ああ、こっちで全部整えてるから。お前や風花は何もしなくていいぞ」
「え、そうなんですか? でも式場の人と打ち合わせとか」
「あ? ああ! 式場は今もまだ作ってる途中だから」
「はい?」
「場所はアラスカの《アヴァロン》だ」
「ああ、あそこですか」
幻想都市《アヴァロン》は、タカさんが作ったアラスカの都市だ。
美しい街並みだし、今後僕たちの主要な場所になるアラスカでの結婚式というのは分かる。
でも、「作ってる」ってどういうことだろう?
もう結構時間が差し迫っているはずなんだけど?
それに、あそこには結婚式場が無かったのかな?
まあ、今後使うことも多いだろうから作ったということか。
タカさんは、いつも本当にいろんなことを考えている人だ。
その時は、僕もそんなことを考えていましたー!
12月13日。
僕と風花さんはタカさんの手配した「タイガーファング」でアラスカへ向かった。
なんか、僕と風花さんの顔が「タイガーファング」にペイントされていて、恥ずかしかった。
なんでも、ルーとハーが一生懸命に描いてくれたらしい。
一応風花さんと一緒にお礼を言った。
乗り込むのは、タカさんや兄弟たちも一緒だ。
ロボが風花さんに会えて喜んでいた。
まずは基地内の発着場に降りて、その後で《アヴァロン》にみんなで向かった。
特別な電動移動車だ。
それにも僕と風花さんの顔がペイントされていた。
随分と走って、《アヴァロン》の北の端まで移動した。
タカさんが、新たに区画を拡張したのだと説明してくれた。
「おお、見えて来たぞ」
「「……」」
僕と風花さんは言葉を喪っていた。
アラスカの幻想都市《アヴァロン》の一角に、「トラ大聖堂」が建てられましたとさ。
途轍もない大きさで、一体何千人が参列できるのだろう。
建坪20000平米に、更に広大な庭園が拡がっている。
庭園には高い針葉樹が膨大に立っており、大きな庭石なども多い。
一部は誰がやったか、枯山水がこしらえられている。
広大なテラスもある。
大聖堂はゴシック建築の様式で、一番高い尖塔の高さは400メートルになるそうだ。
中央には巨大な大伽藍まであった。
全体に大きなステンドグラスの窓が多く、重厚な黒みがかった巨大な石材も特殊なものに見える。
タカさんは、一番大きな式場は3000人が収容できると言ってた。
なにそれ……
えーと、一体誰が来るの?
頭の中で参列者の想像をしてみたけど、3000人ってあり得ないよ?
そっちも物凄いんだけど、なんと隣には巨大なドーム競技場が併設されていた。
競技場は10万人を収容出来るそうだ。
競技場の壁の高さは100メートルもありそうだ。
どちらも、忙しそうに大勢の人が出入りしていた。
「タカさん、こ、ここって……」
「「トラ大聖堂」な! お前たちが最初の結婚式だかんな!」
「いえ、あの……」
「中も案内してやりたいんだけどよ。今、いろいろと式典の調整とか練習とかしてっから。邪魔になると悪いからな」
「いや、そういうことじゃなくて……」
「こないだ、ローマ教皇たちが来てさ、びっくりしてた!」
「はぁ……」
「楽しみだな!」
「「い、いえ……はい……」」
「あ、あっちは「トラ・スタジアム・ドーム」な!」
「「はい……」」
何かとんでもないことになりそうな……
僕はトルコのパムッカレ基地の建設現場にいた。
フィリピンの基地は一からの建設になり、あまり僕の出番はなくなったためだ。
パムッカレの方は区画分けと基礎工事が進んでおり、上物も幾つか出来つつある。
まだ僕が必要なことは少ないが、この時点で綿密に検討したいこともあり、建設現場に泊まり込んでいた。
またデュールゲリエのルーとハーが一緒に来てくれ、何かと僕の面倒を見てくれる。
「この辺は歓楽街がありませんね」
「必要ないよー」
二人にからかわれたりする。
そういうユーモアも二人にはある。
まあ、僕は風花さんと結婚するんだ。
風俗など、もう行かないぞー!
パムッカレは「業」の攻撃で美しい市街が壊滅したけど、「虎」の群によって以前よりも美しい街造りが行なわれた。
タカさんが、命懸けで街の人々を守ろうとしたジャンダルマの人たちに感動して、基地の建設よりも優先して手掛けたのだ。
もちろん防備の体制も整え、街には常に100体のデュールゲリエを配備した。
皇紀通信も置いて、緊急事態にはアラスカからすぐに駆け付けるようになっている。
トルコ政府ともそのような条約を結んでいた。
僕に、タカさんから連絡が来た。
12月14日に、アラスカで、僕と風花さんとの結婚式の日程が決まったと。
「今、全体のスケジュールなんかを調整中だけど、もうほぼ決定だ」
「分かりました。いろいろとすみません」
「いやいや。風花には野薔薇から伝えてもらってるからな」
御堂さんも出席してくれるらしく、御堂さんのスケジュール調整が一番難航したそうだ。
ありがたい。
他にも、僕たちに親しい方々が来て下さるに違いない。
大掛かりな結婚式をタカさんが考えていることは分かっている。
その時点で、僕の想像を遙かに超えていたのだが……
「じゃあ、僕も一度戻って準備しますね」
結婚式は、早乙女さんの時にしか出ていないが、いろいろと式典の作法や立ち位置などの打ち合わせがあることは分かっている。
着る服なども衣装合わせが必要だろう。
出席して下さった人たちへの引き出物の検討も、ああ、仲人の人も頼むことになるのだろうか。
とにかく、打ち合わせなければならないことは沢山ありそうだ。
それに、風花さんともそろそろ会いたい。
一緒に結婚式や披露宴の打ち合わせをするのは、大変だけど楽しそうだ。
「ああ、こっちで全部整えてるから。お前や風花は何もしなくていいぞ」
「え、そうなんですか? でも式場の人と打ち合わせとか」
「あ? ああ! 式場は今もまだ作ってる途中だから」
「はい?」
「場所はアラスカの《アヴァロン》だ」
「ああ、あそこですか」
幻想都市《アヴァロン》は、タカさんが作ったアラスカの都市だ。
美しい街並みだし、今後僕たちの主要な場所になるアラスカでの結婚式というのは分かる。
でも、「作ってる」ってどういうことだろう?
もう結構時間が差し迫っているはずなんだけど?
それに、あそこには結婚式場が無かったのかな?
まあ、今後使うことも多いだろうから作ったということか。
タカさんは、いつも本当にいろんなことを考えている人だ。
その時は、僕もそんなことを考えていましたー!
12月13日。
僕と風花さんはタカさんの手配した「タイガーファング」でアラスカへ向かった。
なんか、僕と風花さんの顔が「タイガーファング」にペイントされていて、恥ずかしかった。
なんでも、ルーとハーが一生懸命に描いてくれたらしい。
一応風花さんと一緒にお礼を言った。
乗り込むのは、タカさんや兄弟たちも一緒だ。
ロボが風花さんに会えて喜んでいた。
まずは基地内の発着場に降りて、その後で《アヴァロン》にみんなで向かった。
特別な電動移動車だ。
それにも僕と風花さんの顔がペイントされていた。
随分と走って、《アヴァロン》の北の端まで移動した。
タカさんが、新たに区画を拡張したのだと説明してくれた。
「おお、見えて来たぞ」
「「……」」
僕と風花さんは言葉を喪っていた。
アラスカの幻想都市《アヴァロン》の一角に、「トラ大聖堂」が建てられましたとさ。
途轍もない大きさで、一体何千人が参列できるのだろう。
建坪20000平米に、更に広大な庭園が拡がっている。
庭園には高い針葉樹が膨大に立っており、大きな庭石なども多い。
一部は誰がやったか、枯山水がこしらえられている。
広大なテラスもある。
大聖堂はゴシック建築の様式で、一番高い尖塔の高さは400メートルになるそうだ。
中央には巨大な大伽藍まであった。
全体に大きなステンドグラスの窓が多く、重厚な黒みがかった巨大な石材も特殊なものに見える。
タカさんは、一番大きな式場は3000人が収容できると言ってた。
なにそれ……
えーと、一体誰が来るの?
頭の中で参列者の想像をしてみたけど、3000人ってあり得ないよ?
そっちも物凄いんだけど、なんと隣には巨大なドーム競技場が併設されていた。
競技場は10万人を収容出来るそうだ。
競技場の壁の高さは100メートルもありそうだ。
どちらも、忙しそうに大勢の人が出入りしていた。
「タカさん、こ、ここって……」
「「トラ大聖堂」な! お前たちが最初の結婚式だかんな!」
「いえ、あの……」
「中も案内してやりたいんだけどよ。今、いろいろと式典の調整とか練習とかしてっから。邪魔になると悪いからな」
「いや、そういうことじゃなくて……」
「こないだ、ローマ教皇たちが来てさ、びっくりしてた!」
「はぁ……」
「楽しみだな!」
「「い、いえ……はい……」」
「あ、あっちは「トラ・スタジアム・ドーム」な!」
「「はい……」」
何かとんでもないことになりそうな……
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