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再び「カタ研」サバイバルキャンプ Ⅳ

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 「ウラ! 何であいつらがいるんだ!」
 「そんなこと、私にも分からん!」
 「揚陸部隊は全滅だぞ!」
 「すぐに硬い連中を送る! まだ手を出すな!」
 「早くしろ!」

 ミハイルが慌てていた。
 日本の「悪魔島」で、今日途轍もなく強大な悪魔が出現することが分かっていた。
 「業」様がその悪魔を吸収するために、我々が動いたのだ。
 しかし、思わぬ石神亜紀たちの伏兵により、最初の回収部隊が全滅してしまった。
 何故、あいつらがあの島にいるのだ!
 あの悪魔は短時間しか地球上に存在出来ない。
 私は手元にいる強い妖魔たちを前線に派遣した。

 「ウェアウルフ・タイプを前に出す! どこかの《ハイヴ》を使って妖魔を送り込む!」
 「どのくらいの数だ!」
 「数億はいる。石神自身はいないようだから、数で押せるはずだ!」

 今、あの島は悪魔の結界で誰も入れないはずだ。
 ゲートを開いている我々以外には。
 《ハイヴ》を使うのは惜しいが、そうも言っていられない。
 あの悪魔は絶対に「業」様へお届けしなければ。

 「妖魔を送って、回収部隊に影響はないか?」
 「回収部隊は前に出すな! 石神家を滅ぼしてからだ!」

 石神はあの島のことまで知っていたのか。
 我々でさえ、「タイニータイド」の予言が無ければ決して辿り着くことは無かった島なのに。
 まさか数百年に一度しか降臨しない悪魔がいるとは。
 とにかく今はあの悪魔を捕獲しなければ。





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 「亜紀ちゃん、ライカンスロープが出て来る! スピードタイプだよ!」
 「分かった!」

 隣でハーが言う。
 
 「あ!」
 「どうしたの!」
 「あの光の奴、不味いよ!」
 「え、何!」

 霊的感応力の高いルーとハーが慌てている。

 「え、え、えぇー! あいつ、とんでもないよ!」
 「どうしたの!」
 「私たちじゃ無理! タカさんが必要だよ!」
 「え、そんなに強いの!」
 「桁が違う!」

 その時、上空で轟音が響いた。
 何かが無理矢理ここに来ようとしている。
 

 ギャリギャリギャリ ゴウンゴウンゴウン

 
 紫色の電光が走り、釣鐘のようなものが下に降りて来る。

 「「グランマザー!」」

 上空から降りて来たのは「大銀河連合」のグランマザーだった。

 「皆様、ご無事ですかぁ!」
 「グランマザー、どうしてここに!」
 「苦労いたしました! 非常に強力な結界が張られております!」
 「だからどうして!」
 「500年に一度なのでございます」
 「何が?」
 「あの山頂の光です。この地球の言葉にすれば《宇宙の悪魔》でございます」
 「《宇宙の悪魔》?」
 「はい! 普段は広大な宇宙空間で拡散していますので、それほどの影響は無いのですが、500年に一度この場所で物質化いたします。その折のエネルギーは尋常なものではございません」
 「そうか!」

 私にはよく分からないが、ハーは何か理解しているらしい。
 
 「グランマザー、それは分かるよ! あれはとんでもないよ!」
 「ハー様、落ち着き下さい。この地球上で物質化するのは30分ほどです。その時間であれば、《宇宙の悪魔》が動き出すことはございません」
 「そうなの!」
 「はい。もしもアレの意志で動き出すにはおよそ1000年は必要になります。物質化はそれほどに難しいのでございます」
 「分かった、じゃああと30分凌ぎ切ればいいんだね」
 「そうなのですが、問題はあの「業」の軍勢でございます。あれは恐らく《宇宙の悪魔》を回収しに参ったのでしょう」
 「なんですってぇ!」
 「「業」が《宇宙の悪魔》をその身に取り込めば、その力は計り知れないほどに拡大するでしょう。何としてもここで食い止めなければなりません」
 「そんな!」

 グランマザーが微笑んだ。

 「ご安心ください。そのためにわたくしが参りました!」
 「ありがとう!」
 「先ほど、結界の一部に穴を空けましたので。あそこから支援部隊が参ります!」
 「ほんとに!」

 みんなでグランマザーが来た上空を見上げた。
 
 「あ」
 「どうしたの?」
 「結界が今、塞がりました」
 「……」
 「すいません」
 『……』

 と、とにかく、頑張るしかないぞー!






 「業」の軍勢は、すぐに態勢を変更したようだった。
 最初はロシア軍の人間に作業させるつもりが、私たちの存在に気付いて、バイオノイドに作業させるつもりだ。
 敵ながら、鮮やかな方向転換だった。
 しかしながら、専門的な作業も必要なようで、一部に軍人が混じっている。
 何か大きな機械を島に持ち込もうとしているのが分かった。
 多分、アレが《宇宙の悪魔》を取り込む装置なのだろう。

 「亜紀ちゃん! 《デモノイド》がいるよ!」
 「あたしにまかせろー!」

 「妖魔反応! 数は2億!」
 「来るかぁー!」
 「柳ちゃん! 「オロチデストロイ」の出番だね!」
 「あたしたちも「神雷」を出すよ!」
 「みんながんばろー!」

 「パレボレ! あの機械を中心に破壊して!」
 「はい!」
 「坂上さんたちは「カサンドラ」で随時攻撃を!」
 「分かった!」
 「敵の攻撃は私たちで絶対に防ぐからね」
 「お願いします!」

 「真夜さん、真昼はみんなを守って! 妖魔の攻撃は「轟雷」で大体防げるから!」
 「分かりました!」

 ルーが次々と指示を出し、全員が全力で動く。
 こんな本格的な戦いは私たち以外は誰も経験していないが、みんな必死に頑張っている。
 やるぞー!

 今回助かっているのは、何と言ってもゲートが狭いことだ。
 半径100メートルほどの蒲鉾型のものなので、出て来る数も限られて攻撃を集中出来る。
 それでも、《デモノイド》などは攻撃を回避しながら飛び出して来る。
 それを私とハーが駆逐していく。
 大量の妖魔たちは柳さんとルーの攻撃で何とか凌いでいる。
 マザーは謎エネルギーで、バリアみたいなものを張ってくれている。

 光の柱が生じてから15分が経過した。





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 「ウラ! 全然ダメではないかぁ!」
 「うるさい! 今やっている!」
 「あと15分だぞ!」
 「分かってる!」

 ミハイルが焦り過ぎだ。
 私が止めても、作業員を送り込もうとし、その度に全員が死んでいく。
 私は神の一柱を呼び出そうとしていた。
 また別な《ハイヴ》の一つを犠牲にして、召喚するつもりだった。

 「《ハイヴ108》上空にUFOの大群!」
 「なんだと!」
 「いきなり出現しました! レーダーが埋め尽くされています! どれほどの数がいるのか!」
 
 《ハイヴ》の管制室から連絡が来た。
 UFOとはどうしたことだ!
 そして突然、連絡が途絶えた。

 「おい! 応答しろ!」

 無駄だった。
 何が起きたのかも分からない。
 もう時間が無い。
 私はここから打てる手を考えた。





 「業」様のお怒りの顔が思い浮かび、恐ろしかった。
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