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再び「カタ研」サバイバルキャンプ Ⅱ

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 順調な飛行で、正午過ぎにクマ島に着いた。
 前回と同じように、ゴムボートを拡げ、荷物を運び出す。
 但し、今回ゴムボートは8艘だ。
 銃器関連が多いものでー。
 
 無事にクマ島に着いて、みんなで階段を上った。
 黒い不気味な海藻はないぞー!
 みんな「花岡」の基礎は出来ているので、簡単に昇って行く。
 銃器などの荷物は石神家で運ぶ。
 坂上さんが感動して言った。
 
 「この階段って、柳さんたちが作ったんですよね?」
 「そうですよ。今回はちゃんと調査してるんで、大丈夫ですからね!」

 高さ20メートルほどで、普通の人たちには結構きついはずだが、みんな余裕で上った。
 上は緑のあるいい感じの場所になっている。

 「いい場所だね!」
 「風が気持ちいいよ!」

 みんな喜んでいる。
 高さがあるので海が遠くまで見えるし。
 一休みして、早速行動した。
 ルーとハーを中心に坂上さん、壇之浦君、パレボレの食糧調達チーム。
 他の人間は野営地の設営だ。
 私と柳さんで地面を平らにし、陽菜と茜が刈って来た草を敷き詰めていく。
 真夜と真昼が手ごろな木を切って来て、屋根を作って行く。
 地上から1メートルほどの高さに木を組み、また草を結わいて編みこんで行く。
 手間の掛かる作業だが、大勢で取り組んだのでどんどん進んだ。
 雨は降らない予想だが、海の上は天候が変化しやすい。
 
 途中で食事にした。
 今回は最初の昼食は持ってきたものを食べる。
 パレボレがバイト先でケバブサンドを用意してくれた。
 みんなで前回の有難さを思い出しながら、楽しく食べた。

 「パレボレのお陰で本当に助かったよね」
 「いいえ、もうそのお話はいいですよ!」
 「ケバブサンド、美味しいよ!」
 「ありがとうございます」

 パレボレが恥ずかしがるのでみんなで笑った。
 ルーとハーが魚を獲って来た。
 それの一部を焼いた。
 
 「冷蔵庫がないからね。ちょっとずつ獲って食べて行くの」
 「なるほど!」

 昼食の後で、またそれぞれのチームで作業をした。
 一応2泊の予定だが、順調に進んでいる。
 出来るだけ自然のものを使ってのキャンプだけど、結構楽しい。
 ルーとハーたちが豊富に食糧を持って来てくれそうなので、それが楽しみだ。
 「ギェェェ」って鳴く不気味な魚じゃないぞー!

 夕飯までの間に、一通りの作業が終わった。
 竈が3つと調理用の台まで出来た。
 台は上が平らな石を見つけただけだけど。
 薪も一杯集めた。
 ここは森が深いので、枯れ枝が豊富にある。
 少し入った場所に、湧き水もあった。
 私が「飛行」で飛んでガロン容器に水を汲んできた。
 何往復かして、100リットルになった。
 水質検査でも安全なようだけど、一応煮沸してから使うことにする。
 もう十分な量だが、念のために真夜を連れて更に運ぼうとした。

 「あれ、亜紀さん、あそこ」
 「ん?」

 真夜が島の中央付近の山頂を指さしている。
 見ると、石の何かが見えた。
 二人で行ってみる。

 「あんだこりゃ?」

 長さ2メートルほどの長方形の石が放射状に埋められている。
 太さは20センチほどか。
 12本あって、真ん中には何もない。
 明らかに人工物だったが、この島って誰か来るのか?
 周囲が20メートル以上切り立った崖なのに。
 地元の人たちに聞いた時にも、島には誰も行かないと言ってた。

 「古代の遺跡ですかね?」
 「そうだねー、でも分かんないから放っておこう」
 「そうですね」

 真夜と水場へ行った。
 夕食を作り始め、暗くなる前にみんなで食べた。
 今日は海の幸をみんなで楽しんで、明日森の中の食べられそうなものを探すことにする。
 お風呂が無理なのはしょうがない。
 夕飯後、焚火を囲んでみんなで話した。
 10時頃に寝ることにし、石神家で交代で見張りに立つことにした。

 「亜紀さん、僕がしばらく起きてますよ」

 パレボレがそう言ったが、寝かせた。
 前回のお詫びというわけではないが、私たちの方が異常に気付きやすい。
 ここは大丈夫なはずだけど、油断はしない。
 ちゃんとがんばるぞー!





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 子どもたちが出掛け、俺もロボと一緒に京都へ向かった。
 道間家だ。

 「おい、今回のあいつらは大丈夫かな?」
 「にゃ」
 「そっか」

 分からん。
 でも、ロボも普通なので大丈夫だろうと思った。
 ロボはしばらく流れる景色を見ていたが、やがて寝た。

 シボレー・コルベットで行ったので、昼過ぎには道間家へ着いた。

 「あなたさまぁー!」

 麗星がまた駆け寄って来る。
 危なっかしいので、俺も走って抱き締めた。
 
 「危ないだろう」
 「だって、あなたさまが見えたんで!」

 麗星が嬉しそうに笑う。
 まあ、カワイイ。
 天狼も走って来て俺の足に抱き着いた。
 抱き上げてやる。

 「また大きくなったな!」
 「はい!」

 奈々は五平所に抱かれて来た。
 俺の方へ手を伸ばし、五平所が態勢を崩しそうだった。
 天狼を降ろし、奈々を抱き上げる。

 「お前はいつもカワイイな!」
 「うん!」

 みんなで屋敷に入った。
 俺だけ、遅い昼食をもらった。
 せいろの蕎麦と天ぷらだ。
 ロボはホタテとマグロの刺身だった。
 ロボの好物まで分かっている。
 唸りながら食べているので、質もいいのだろう。
 食べながら話した。

 「蓮花研究所のことは悪かったな」
 「いいえ、あなたさまのせいでもなく、それに、新たに強力な技が成ったとか」
 「まあそうなんだがな。でも、また手間を掛けることになる」
 「そんなものは! あなたさまのご予定に幾らでも合わせますので」
 「頼むな」

 ロボと少し横にならせてもらった。
 1時間ほどして気配で目を覚ました。
 障子を開けると、天狼が廊下に座っていた。

 「なんだよ、入って来いよ」
 「いいえ、お父様がお疲れだと思い」
 「お前がいれば疲れも吹っ飛ぶよ」
 「はい!」

 天狼が嬉しそうに俺に抱き着いて来た。
 一緒に庭に出る。

 「ここはいつ来ても気持ちがいいな」
 「そうですか!」
 「お前もいるしな!」
 
 天狼が笑って俺の手を握った。

 「お父様、こちらへ」
 「おう」

 天狼が俺の手を引いて行った。
 
 「おい!」
 「はい」

 竜胆が何本も咲いていた。

 「お母様が。お父様が一番お好きな花なのだと」
 「そうか」

 俺は天狼と一緒に竜胆を見ながら、思い出の話をした。
 子どもの頃に、山で迷って美しい場所に出た話だ。
 そこで石神家の守護者・虎星こと怒貪虎さんに会ったのだと。

 「それではお父様は仙界においでになったのですか?」
 「あそこがどこかは分からない。でも、確かに別な世界だったようだな」
 「凄いです!」
 
 俺は怒貪虎さんのことを話し、気を付けろと言った。

 「カエルなんだけどよ。絶対に「カエル」って言うなよな」
 「はい!」
 「きっとお前じゃなく俺が蹴られる」
 「アハハハハ!」

 なんでだろなー。
 麗星が奈々を抱いて来て、一緒に東屋で冷えた緑茶を飲んだ。
 お茶請けのきんつばが絶品だった。
 麗星と天狼、奈々の笑顔が更に絶品だった。
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