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真夏の別荘 愛する者たちと Ⅵ 茜の定食屋3
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本当はとんでもない大金を払わなきゃいけないところを、真岡さんの恩情でここで働くことで許してもらえた。
だから私は一生懸命に働いた。
それ以外、何も考えて無かった。
朝に掃除をし、朝ご飯を頂く。
ちゃんとしたもので、ご飯と味噌汁の他、焼き魚と焼き海苔と卵にサラダ。
女将さんは自分で作って食べるらしい。
お昼も夕飯も、お店のメニューの何でも頂ける。
時々厨房の鉄さんがもっと豪華なものを作ってくれる。
何しろ鉄さんの料理はどれも美味しい。
11時の開店では、もう外で並んで待ってる人がいる。
「お前、俺が先に並んでたろうがぁ、殺すぞ!」
「さっきどっかへ行ったろうがぁ、殺すぞ!」
「タバコ買いに行ったんじゃ! このアホ!」
「やんのか、殺すぞ!」
そんな遣り取りが聞こえるが、喧嘩にはならない。
不思議な場所だった。
みんな口は物凄く悪いが、結構店の中では大人しく食べる。
田舎の定食屋なのだが、ひっきりなしに客が来る。
全員ガラが悪いが。
そのうちに、二つ気付いたことがある。
一つは、ここの食事が本当に美味しいということだ。
材料からいいものを使っているし、鉄さんの腕もいい。
後から知ったのは、鉄さんは料亭で板前をしていたそうだ。
だから材料の吟味から、料理の腕もいいわけだ。
もう一つはもっと後からだったが、みんな多くのお金を支払っていく。
大体1000円以下の定食が多いのだが、1万円かそれ以上を置いて行く。
女将さんも何も言わずに受け取る。
夜にお酒を飲む人たち(ほとんどだが)は、もっと多く置いて行く。
しかも「釣りはいらねぇ」じゃない。
「きょうはこれでお納めください。美味かったです」
なんて言って行く。
葵さんと仲良くなって、その理由を教えてもらった。
「あのね、このお店は先代の親分さんがやってたお店なの」
「そうなんですか!」
「結構気風のいい人でね。それでお世話になったとか憧れてる人たちが来るのよ。このお店が大好きな人たちなの」
「ああ、だから一杯お金を置いてくんですね!」
「そういうこと。今の親分の真岡はその息子」
「なるほどー!」
なんか分かった。
「あのね、これは絶対口にしちゃダメだよ?」
「はぁ?」
「あの女将さんはね、今の親分の真岡の愛人なの」
「そうなんですかぁ!」
「しっ! 絶対に言っちゃダメよ?」
「分かりました!」
「鉄さんは先代に恩義があるって来たの。ワカくんはちょっとしくじったことがあって、しばらくここで働いてるの」
「はい!」
「茜ちゃんは?」
「私もしくじりです!」
「どんな?」
「真岡さんの足を滅茶苦茶に車で轢きました!」
「!」
葵さんは一瞬顔を引き攣らせて、次いで大笑いした。
「茜ちゃん、最高ね!」
「そうですかぁ!」
葵さんとはすぐに、そして一番仲良くなった。
お客さんのこともよく分かっていて、あの人は優しいとか、あの人はこういうのが危ないとか教えてくれる。
「葵さんのネックレス、素敵ですよね!」
いつも青い絵のカメオを首から提げていた。
少女が犬と一緒にいる絵柄だ。
「ありがとう。お母さんからもらったの」
「そうなんですか!」
葵さんは私に話し掛け、時々厨房に入り、また暇な時は女将さんの傍にいる。
ワカさんとも仲良くなり、鉄さんは無口だけど、段々可愛がってもらうようになった。
女将さんは厳しいけど、たまに褒めてくれる。
「茜、よく来たね」
「え?」
照れたように笑って、どこかへ行ってしまう。
葵さんとはよく話すが、あまり働いているのを見たことはない。
ワカさんも話し掛けることはない。
時々厨房に入るので、料理を手伝っているんだろう。
たまにお客さんのテーブルに行ってニコニコしていることがある。
あとは女将さんの傍に立っている。
私もすっかりお店の生活に馴れて、近所の人たちとも親しくなっていった。
日曜日はお店も休みなので、外に食事に行く。
最初はコンビニで弁当を買っていたが、鉄さんの味に慣れると物足りなくなった。
だから他の食事のお店に行くことが増えた。
なぜだか、私が定食屋で働いていると分かると、みんな優しくしてくれた。
うちのお店は路地のどん詰まりにあり、右が銭湯で左が保育所になっていた。
保育所では主にホステスさんたちの子どもたちを預かっていると聞いた。
ホステスさんたちも、時々お店に来る。
ヤクザ以外に唯一のまともな人たちだ。
店内のヤクザたちはみんなホステスさんたちを見るが、何もしない。
一度ヤジを飛ばした人がいたが、みんなに店の外へ連れられボコられていた。
そういう約束みたいなものもあるらしい。
ヤクザのお客たちは口が悪くサイテーな人間たちだが、約束事は絶対に守る人たちだった。
それに優しい人が多いのが段々分かって来た。
口はサイテーだが。
私はこのお店が好きになってきた。
給料は安いのかもしれないが、お母ちゃんに仕送りが出来て、住む場所もあって、美味しいご飯を食べさせてくれる。
私は別に欲しい物も無いから、全然不満はない。
頂いたお給料は休日の食事代とちょっとの日用品の他は全部貯金した。
いつか大型免許を取って、でかいダンプかトラックを買う。
いつになるのかは分からないけど。
ある休日の日。
女将さんが夕飯に誘ってくれた。
割烹のいいお店だった。
「女将さん」
「なんだい」
「真岡さんに挨拶に行きたいんですけど」
「あ?」
「あの、お怪我の具合とか知りたいし」
「いいんだよ、そんなことは」
「でも」
「じゃあ伝えとくよ、あんたが心配してたって」
「はい、お願いします!」
女将さんが私を見て言った。
「あんた、ここを辞めたらどうすんだい?」
「え? ああ、真岡さんのお詫びが終わったら、大型免許を取ってでかいトラックを転がしたいですね」
「そうなのかい? あんたみたいなちっちゃいのが?」
私は高校時代についにバイクの中免を取れなかった話をした。
そして保奈美さんやトラさんたちの話をした。
女将さんは大笑いでトラさんの話を聞いてくれた。
「ああ、面白かったぁ!」
「まだまだありますよ!」
「そうかい。でも今日はお腹一杯だよ。また是非聴かせておくれ」
「はい! トラさんがね、私の身体がちっちゃいことは気にするなって」
「へぇ」
「大型免許を取って、いつかでかいトラックを転がしてみんなを驚かせろって」
「ああ、そういうわけかい」
「私の夢になったんですよ! トラさん、スゴイですよね!」
「まったくだ。いつか会ってみたいもんだ」
「はい!」
その後で、いきなり給料が上がった。
月に20万円ももらえることになって、びっくりした。
「女将さん! これ、貰い過ぎですよ!」
「なに言ってんだい。今時、どこに勤めたって、これじゃ少ないだろうよ」
「でも、あたし、真岡さんへのお詫びに」
「いいんだよ。あんたはよく働いてる。だからもらっときな」
「でも!」
「うるさいよ! そのかわり、どっかで安い給料でこき使われてるなんて言うんじゃないよ!」
「絶対に言いません!」
もっと一生懸命に働くようになった。
そういうことでしか、バカな私は恩を返せない。
女将さんが時々私の部屋へ来るようになった。
また保奈美さんとかトラさんの話を聞かせて欲しいと。
私は喜んで話した。
「あんた、随分と綺麗に部屋を使ってるね」
「はい! こんな素敵な場所を頂いたんですから!」
「こんな部屋がねぇ。まあいいや」
女将さんが嬉しそうに笑う。
食事に誘われることが多くなり、外のお店も連れてってくれたが、女将さんの部屋で手料理も頂いた。
私は幸せだった。
お母ちゃんに毎月10万円も送れるようになった。
それが一番嬉しかった。
だから私は一生懸命に働いた。
それ以外、何も考えて無かった。
朝に掃除をし、朝ご飯を頂く。
ちゃんとしたもので、ご飯と味噌汁の他、焼き魚と焼き海苔と卵にサラダ。
女将さんは自分で作って食べるらしい。
お昼も夕飯も、お店のメニューの何でも頂ける。
時々厨房の鉄さんがもっと豪華なものを作ってくれる。
何しろ鉄さんの料理はどれも美味しい。
11時の開店では、もう外で並んで待ってる人がいる。
「お前、俺が先に並んでたろうがぁ、殺すぞ!」
「さっきどっかへ行ったろうがぁ、殺すぞ!」
「タバコ買いに行ったんじゃ! このアホ!」
「やんのか、殺すぞ!」
そんな遣り取りが聞こえるが、喧嘩にはならない。
不思議な場所だった。
みんな口は物凄く悪いが、結構店の中では大人しく食べる。
田舎の定食屋なのだが、ひっきりなしに客が来る。
全員ガラが悪いが。
そのうちに、二つ気付いたことがある。
一つは、ここの食事が本当に美味しいということだ。
材料からいいものを使っているし、鉄さんの腕もいい。
後から知ったのは、鉄さんは料亭で板前をしていたそうだ。
だから材料の吟味から、料理の腕もいいわけだ。
もう一つはもっと後からだったが、みんな多くのお金を支払っていく。
大体1000円以下の定食が多いのだが、1万円かそれ以上を置いて行く。
女将さんも何も言わずに受け取る。
夜にお酒を飲む人たち(ほとんどだが)は、もっと多く置いて行く。
しかも「釣りはいらねぇ」じゃない。
「きょうはこれでお納めください。美味かったです」
なんて言って行く。
葵さんと仲良くなって、その理由を教えてもらった。
「あのね、このお店は先代の親分さんがやってたお店なの」
「そうなんですか!」
「結構気風のいい人でね。それでお世話になったとか憧れてる人たちが来るのよ。このお店が大好きな人たちなの」
「ああ、だから一杯お金を置いてくんですね!」
「そういうこと。今の親分の真岡はその息子」
「なるほどー!」
なんか分かった。
「あのね、これは絶対口にしちゃダメだよ?」
「はぁ?」
「あの女将さんはね、今の親分の真岡の愛人なの」
「そうなんですかぁ!」
「しっ! 絶対に言っちゃダメよ?」
「分かりました!」
「鉄さんは先代に恩義があるって来たの。ワカくんはちょっとしくじったことがあって、しばらくここで働いてるの」
「はい!」
「茜ちゃんは?」
「私もしくじりです!」
「どんな?」
「真岡さんの足を滅茶苦茶に車で轢きました!」
「!」
葵さんは一瞬顔を引き攣らせて、次いで大笑いした。
「茜ちゃん、最高ね!」
「そうですかぁ!」
葵さんとはすぐに、そして一番仲良くなった。
お客さんのこともよく分かっていて、あの人は優しいとか、あの人はこういうのが危ないとか教えてくれる。
「葵さんのネックレス、素敵ですよね!」
いつも青い絵のカメオを首から提げていた。
少女が犬と一緒にいる絵柄だ。
「ありがとう。お母さんからもらったの」
「そうなんですか!」
葵さんは私に話し掛け、時々厨房に入り、また暇な時は女将さんの傍にいる。
ワカさんとも仲良くなり、鉄さんは無口だけど、段々可愛がってもらうようになった。
女将さんは厳しいけど、たまに褒めてくれる。
「茜、よく来たね」
「え?」
照れたように笑って、どこかへ行ってしまう。
葵さんとはよく話すが、あまり働いているのを見たことはない。
ワカさんも話し掛けることはない。
時々厨房に入るので、料理を手伝っているんだろう。
たまにお客さんのテーブルに行ってニコニコしていることがある。
あとは女将さんの傍に立っている。
私もすっかりお店の生活に馴れて、近所の人たちとも親しくなっていった。
日曜日はお店も休みなので、外に食事に行く。
最初はコンビニで弁当を買っていたが、鉄さんの味に慣れると物足りなくなった。
だから他の食事のお店に行くことが増えた。
なぜだか、私が定食屋で働いていると分かると、みんな優しくしてくれた。
うちのお店は路地のどん詰まりにあり、右が銭湯で左が保育所になっていた。
保育所では主にホステスさんたちの子どもたちを預かっていると聞いた。
ホステスさんたちも、時々お店に来る。
ヤクザ以外に唯一のまともな人たちだ。
店内のヤクザたちはみんなホステスさんたちを見るが、何もしない。
一度ヤジを飛ばした人がいたが、みんなに店の外へ連れられボコられていた。
そういう約束みたいなものもあるらしい。
ヤクザのお客たちは口が悪くサイテーな人間たちだが、約束事は絶対に守る人たちだった。
それに優しい人が多いのが段々分かって来た。
口はサイテーだが。
私はこのお店が好きになってきた。
給料は安いのかもしれないが、お母ちゃんに仕送りが出来て、住む場所もあって、美味しいご飯を食べさせてくれる。
私は別に欲しい物も無いから、全然不満はない。
頂いたお給料は休日の食事代とちょっとの日用品の他は全部貯金した。
いつか大型免許を取って、でかいダンプかトラックを買う。
いつになるのかは分からないけど。
ある休日の日。
女将さんが夕飯に誘ってくれた。
割烹のいいお店だった。
「女将さん」
「なんだい」
「真岡さんに挨拶に行きたいんですけど」
「あ?」
「あの、お怪我の具合とか知りたいし」
「いいんだよ、そんなことは」
「でも」
「じゃあ伝えとくよ、あんたが心配してたって」
「はい、お願いします!」
女将さんが私を見て言った。
「あんた、ここを辞めたらどうすんだい?」
「え? ああ、真岡さんのお詫びが終わったら、大型免許を取ってでかいトラックを転がしたいですね」
「そうなのかい? あんたみたいなちっちゃいのが?」
私は高校時代についにバイクの中免を取れなかった話をした。
そして保奈美さんやトラさんたちの話をした。
女将さんは大笑いでトラさんの話を聞いてくれた。
「ああ、面白かったぁ!」
「まだまだありますよ!」
「そうかい。でも今日はお腹一杯だよ。また是非聴かせておくれ」
「はい! トラさんがね、私の身体がちっちゃいことは気にするなって」
「へぇ」
「大型免許を取って、いつかでかいトラックを転がしてみんなを驚かせろって」
「ああ、そういうわけかい」
「私の夢になったんですよ! トラさん、スゴイですよね!」
「まったくだ。いつか会ってみたいもんだ」
「はい!」
その後で、いきなり給料が上がった。
月に20万円ももらえることになって、びっくりした。
「女将さん! これ、貰い過ぎですよ!」
「なに言ってんだい。今時、どこに勤めたって、これじゃ少ないだろうよ」
「でも、あたし、真岡さんへのお詫びに」
「いいんだよ。あんたはよく働いてる。だからもらっときな」
「でも!」
「うるさいよ! そのかわり、どっかで安い給料でこき使われてるなんて言うんじゃないよ!」
「絶対に言いません!」
もっと一生懸命に働くようになった。
そういうことでしか、バカな私は恩を返せない。
女将さんが時々私の部屋へ来るようになった。
また保奈美さんとかトラさんの話を聞かせて欲しいと。
私は喜んで話した。
「あんた、随分と綺麗に部屋を使ってるね」
「はい! こんな素敵な場所を頂いたんですから!」
「こんな部屋がねぇ。まあいいや」
女将さんが嬉しそうに笑う。
食事に誘われることが多くなり、外のお店も連れてってくれたが、女将さんの部屋で手料理も頂いた。
私は幸せだった。
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それが一番嬉しかった。
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