2,458 / 2,840
愛する者の帰還 Ⅷ 柳のブレイクスルー 2
しおりを挟む
「柳さん!」
「柳ちゃん! 何があったの!」
「とんでもない威力だよぉー!」
亜紀ちゃんとルーちゃんたちが駆け寄って来る。
幸い、私が技を撃った前方には誰もいなかった。
ふぅー。
でも、直後に警報が鳴った!
研究所の量子コンピューター《ロータス》が全館にアナウンスする。
《脅威度A級の破壊威力を確認! 直ちに研究所全体にレベル5の警戒態勢を敷きます。各自レベル5の対処に従って下さい。繰り返します。レベル5の警戒体制。各自レベル5の……》
《ロータス》がアナウンスを繰り返す。
サイレンの音が大きく恐ろしい。
えーと、脅威度Aっていうのは確か《地獄の悪魔》級の襲撃で、この研究所の防衛システムでも危ないっていう……
た、大変だぁー!
「あ、あ、あ、あ、亜紀ちゃん!」
「り、柳さん!」
「慌てないで! すぐに蓮花さんに連絡しよ!」
ハーちゃんが建物に向かおうとした。
大勢のデュールゲリエがハンガーから出て来る。
なんか、物凄いゴツい装備だぁ!
ブランのみなさんは私たちの所へ走って来た。
ミユキさんが私たちの前に駆け寄る。
研究所の端末を持って見ながら言った。
「皆様、とにかく、一度避難を!」
「え!」
「あのデュールゲリエは「バーサーカー・モード」です! 「サーチ・アンド・デストロイ」ですので、今研究所内で不用意に動く者は全て攻撃されます!」
「そんなぁ!」
「さあ、こちらへ! 逃げ遅れた場合に避難する場所がありますから!」
「柳さん! とにかくそっちへ!」
本館の正面玄関で物凄い破壊音がした。
ハーちゃんが逃げ帰って来た。
本館は全て出入り口が閉鎖されており、どこからも入れないようだ。
それに出入り口付近にはモードSの殲滅装備になったデュールゲリエがいるらしい。
「攻撃されるよー!」
「ハーさんも早くこちらへ!」
「うん!」
えーと、これ、私のせいだよね?
みんなでミユキさんたちに付いて行った。
走りながらルーちゃんがミユキさんに話す。
「早く蓮花さんに知らせないと!」
「今は無理です。脅威度B級以上の攻撃があった場合、蓮花様は真っ先に隔離されます」
「えぇ!」
「最高度の絶対防衛施設に入り、しばらくは石神様以外の誰とも接触出来ません。精神攻撃の妖魔もいますから、無暗と誰とも話せないのです! だから襲撃者が撃破されるか、事態が完全に安全と把握されるまでは」
「ブランのみなさんは迎撃に入らないの?」
「本来は蓮花様の護衛に着きたいのですが。しかし訓練中の場合、十分な武器を所持していないため、一旦避難施設に入ります。《ロータス》の判断によって、そこから武装を許可されれば移動できますが。でも、無防備に外にいた場合はやはり精神侵食の可能性もありますから、一旦は《ロータス》の判断によります」
「今日の場合は?」
「分かりません。敵勢力の確認が出来ないことから、時間が掛かると思われます」
「じゃあ、どうなるの!」
「とにかく、しばらく待ちましょう」
「うん!」
本当に大変なことになった。
《ロータス》は突然あの外壁が破壊されたことから、未知の攻撃を受けたと判断したのだろう。
私が「オロチブレイカー」を撃ち損ねたことが分かるだろうか?
避難施設に入ると、施設の建物ごと地中に移動して行った。
下に移動してから、上方で隔壁が閉じ、更に横方向へ進んでいく。
10分程移動し、部屋の移動が止まった。
ミユキさんの話によると、ここが避難所兼隔離場所になるらしい。
隔離というのは、私たちが妖魔の精神侵食を受けていないかがこれから判断されるということだ。
薄暗い空間に、ディスプレイの赤いアラートの表示が明滅している。
外の状況は一切分からない。
精神を乗っ取られていた場合に、防衛の状況を知らせないためだ。
もうミユキさんの端末も沈黙してブラックアウトしていた。
この部屋の状況は全て《ロータス》が監視しているはず。
「亜紀ちゃん! 私のせいだよ!」
「落ち着いて下さい、柳さん!」
「でも!」
アナイアレイターの何人かが私に言ってきた。
「柳様! あの時、柳様の足元に小さな女の子がいましたが!」
「え?」
「あの女の子は誰でしょうか! 突然現われて、また消えてしまいました!」
「なんのこと!」
「あれは敵だったのでしょうか?」
「え……」
分からない。
何、小さな女の子って!
私は誰も見てないよー!
「《ロータス》に確認してはいかがでしょうか?」
「え、うん! でも、どうやって!」
「音声で通じるはずです」
「え、分かった! 《ロータス》さん! 聞こえますか!」
《なんでしょうか柳様》
「今の会話は聞いてましたか?」
《はい、小さな女の子がいたという》
「そうです! 確認できますか? 私が「オロチブレイカー」を撃とうとした時です!」
《分かりました……解析しました。確かに0.03秒ほど、身長90センチの女性の姿が確認できました》
「ほんとに!」
《その直後に柳様が撃ったエネルギーが外壁を破壊しましたのですね》
「そ、そうです!」
《……》
《ロータス》が少し沈黙した。
《このクサレモノが》
「はい?」
《ロータス》が突然コワイ声で言った。
《全員に指示! クソ女を即座に拘束せよ! 抵抗すれば殺傷も厭いません。指示に従わない場合、全員が妖魔の浸食を受けたと判断します!》
「なんでぇぇぇぇーーーーー!」
「柳さんゴメン!」
「今は大人しくしてて!」
みんなに拘束された。
なんでよぉー!
「柳ちゃん! 何があったの!」
「とんでもない威力だよぉー!」
亜紀ちゃんとルーちゃんたちが駆け寄って来る。
幸い、私が技を撃った前方には誰もいなかった。
ふぅー。
でも、直後に警報が鳴った!
研究所の量子コンピューター《ロータス》が全館にアナウンスする。
《脅威度A級の破壊威力を確認! 直ちに研究所全体にレベル5の警戒態勢を敷きます。各自レベル5の対処に従って下さい。繰り返します。レベル5の警戒体制。各自レベル5の……》
《ロータス》がアナウンスを繰り返す。
サイレンの音が大きく恐ろしい。
えーと、脅威度Aっていうのは確か《地獄の悪魔》級の襲撃で、この研究所の防衛システムでも危ないっていう……
た、大変だぁー!
「あ、あ、あ、あ、亜紀ちゃん!」
「り、柳さん!」
「慌てないで! すぐに蓮花さんに連絡しよ!」
ハーちゃんが建物に向かおうとした。
大勢のデュールゲリエがハンガーから出て来る。
なんか、物凄いゴツい装備だぁ!
ブランのみなさんは私たちの所へ走って来た。
ミユキさんが私たちの前に駆け寄る。
研究所の端末を持って見ながら言った。
「皆様、とにかく、一度避難を!」
「え!」
「あのデュールゲリエは「バーサーカー・モード」です! 「サーチ・アンド・デストロイ」ですので、今研究所内で不用意に動く者は全て攻撃されます!」
「そんなぁ!」
「さあ、こちらへ! 逃げ遅れた場合に避難する場所がありますから!」
「柳さん! とにかくそっちへ!」
本館の正面玄関で物凄い破壊音がした。
ハーちゃんが逃げ帰って来た。
本館は全て出入り口が閉鎖されており、どこからも入れないようだ。
それに出入り口付近にはモードSの殲滅装備になったデュールゲリエがいるらしい。
「攻撃されるよー!」
「ハーさんも早くこちらへ!」
「うん!」
えーと、これ、私のせいだよね?
みんなでミユキさんたちに付いて行った。
走りながらルーちゃんがミユキさんに話す。
「早く蓮花さんに知らせないと!」
「今は無理です。脅威度B級以上の攻撃があった場合、蓮花様は真っ先に隔離されます」
「えぇ!」
「最高度の絶対防衛施設に入り、しばらくは石神様以外の誰とも接触出来ません。精神攻撃の妖魔もいますから、無暗と誰とも話せないのです! だから襲撃者が撃破されるか、事態が完全に安全と把握されるまでは」
「ブランのみなさんは迎撃に入らないの?」
「本来は蓮花様の護衛に着きたいのですが。しかし訓練中の場合、十分な武器を所持していないため、一旦避難施設に入ります。《ロータス》の判断によって、そこから武装を許可されれば移動できますが。でも、無防備に外にいた場合はやはり精神侵食の可能性もありますから、一旦は《ロータス》の判断によります」
「今日の場合は?」
「分かりません。敵勢力の確認が出来ないことから、時間が掛かると思われます」
「じゃあ、どうなるの!」
「とにかく、しばらく待ちましょう」
「うん!」
本当に大変なことになった。
《ロータス》は突然あの外壁が破壊されたことから、未知の攻撃を受けたと判断したのだろう。
私が「オロチブレイカー」を撃ち損ねたことが分かるだろうか?
避難施設に入ると、施設の建物ごと地中に移動して行った。
下に移動してから、上方で隔壁が閉じ、更に横方向へ進んでいく。
10分程移動し、部屋の移動が止まった。
ミユキさんの話によると、ここが避難所兼隔離場所になるらしい。
隔離というのは、私たちが妖魔の精神侵食を受けていないかがこれから判断されるということだ。
薄暗い空間に、ディスプレイの赤いアラートの表示が明滅している。
外の状況は一切分からない。
精神を乗っ取られていた場合に、防衛の状況を知らせないためだ。
もうミユキさんの端末も沈黙してブラックアウトしていた。
この部屋の状況は全て《ロータス》が監視しているはず。
「亜紀ちゃん! 私のせいだよ!」
「落ち着いて下さい、柳さん!」
「でも!」
アナイアレイターの何人かが私に言ってきた。
「柳様! あの時、柳様の足元に小さな女の子がいましたが!」
「え?」
「あの女の子は誰でしょうか! 突然現われて、また消えてしまいました!」
「なんのこと!」
「あれは敵だったのでしょうか?」
「え……」
分からない。
何、小さな女の子って!
私は誰も見てないよー!
「《ロータス》に確認してはいかがでしょうか?」
「え、うん! でも、どうやって!」
「音声で通じるはずです」
「え、分かった! 《ロータス》さん! 聞こえますか!」
《なんでしょうか柳様》
「今の会話は聞いてましたか?」
《はい、小さな女の子がいたという》
「そうです! 確認できますか? 私が「オロチブレイカー」を撃とうとした時です!」
《分かりました……解析しました。確かに0.03秒ほど、身長90センチの女性の姿が確認できました》
「ほんとに!」
《その直後に柳様が撃ったエネルギーが外壁を破壊しましたのですね》
「そ、そうです!」
《……》
《ロータス》が少し沈黙した。
《このクサレモノが》
「はい?」
《ロータス》が突然コワイ声で言った。
《全員に指示! クソ女を即座に拘束せよ! 抵抗すれば殺傷も厭いません。指示に従わない場合、全員が妖魔の浸食を受けたと判断します!》
「なんでぇぇぇぇーーーーー!」
「柳さんゴメン!」
「今は大人しくしてて!」
みんなに拘束された。
なんでよぉー!
0
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
こずえと梢
気奇一星
キャラ文芸
時は1900年代後期。まだ、全国をレディースたちが駆けていた頃。
いつもと同じ時間に起き、同じ時間に学校に行き、同じ時間に帰宅して、同じ時間に寝る。そんな日々を退屈に感じていた、高校生のこずえ。
『大阪 龍斬院』に所属して、喧嘩に明け暮れている、レディースで17歳の梢。
ある日、オートバイに乗っていた梢がこずえに衝突して、事故を起こしてしまう。
幸いにも軽傷で済んだ二人は、病院で目を覚ます。だが、妙なことに、お互いの中身が入れ替わっていた。
※レディース・・・女性の暴走族
※この物語はフィクションです。
~後宮のやり直し巫女~私が本当の巫女ですが、無実の罪で処刑されたので後宮で人生をやり直すことにしました
深水えいな
キャラ文芸
無実の罪で巫女の座を奪われ処刑された明琳。死の淵で、このままだと国が乱れると謎の美青年・天翼に言われ人生をやり直すことに。しかし巫女としてのやり直しはまたしてもうまくいかず、次の人生では女官として後宮入りすることに。そこで待っていたのは怪事件の数々で――。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる