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《ハイヴ》襲撃 Ⅳ
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夕飯はトンカツにした。
双子が、虎白さんたちの験担ぎをしたかったようだ。
もちろんみんなでそうしようと言った。
俺は脂身が嫌いなので、ヒレカツだ。
他の子どもたちも自然とそっちが好きになった。
響子には薄めに作り、小麦粉にパセリやオレガノなどの香辛料を少し混ぜる。
ラードを精製した油で揚げるので、非常に香ばしい。
皇紀がラードの精製を担当し、亜紀ちゃんが肉のカットと下味、ルーが卵黄と衣、ハーがひたすらに揚げていく。
揚がったものは、一度オーブンで更に加熱しながら余分な油を落としていく。
そうすることで、表面がカリッといい感じに仕上がる。
六花はロボと一緒に見ているだけ。
吹雪は響子と同じく薄いカツレツを嬉しそうに食べていた。
「吹雪、美味しいか?」
「はい!」
「響子、美味しいか?」
「うん!」
「お前はもっとちゃんとどう美味いのか説明しろ!」
「もう!」
ソースは中濃、ウスター、みぞれポン酢、レモン塩、その他いろいろ作っている。
キャベツの千切りも大量にあり、子どもたちに無理矢理食わせる。
味噌汁はシジミの赤味噌だ。
子どもたちは大量のカツレツをどんどん食べて行く。
もちろん牛カツも大量にある。
揚げたてが美味いので、途中で俺が揚げて行く。
俺は人間なので、数枚食べればもういい。
子どもたちがニコニコしながら、俺が用意するのを見ていた。
「昔に戻ったみたいですね!」
「そんなに前じゃねぇ!」
みんなが笑っていた。
ロボは牛カツが好きで、衣の量を少し減らしたものを食べて喜んでいた。
デザートにミントチョコレートのジェラートをみんなで食べた。
庭で花火を少しやり、みんなでゆっくり風呂に入った。
響子と吹雪は、ロボと一緒に先に寝かせる。
他の人間は「Ωコンバットスーツ」を着ている。
リヴィングに集まった。
皇紀が80インチのディスプレイを用意し、皇紀通信の機械と接続している。
今日は酒を飲まない。
双子がコーヒーを淹れ、クッキーを配った。
いつ、虎白さんたちの所へ飛んで行かなければならないこともあるからだ。
万一を考え、蓮花にも「武神」の出動もあり得ると言っている。
「虎」の軍としても、重要な作戦だ。
初の《ハイヴ》攻撃は、どのような展開を見せるのか分からない。
状況は現地のデュールゲリエたちの映像でリアルタイムに観れる。
虎白さんたちは、今晩0時に出発する。
時差の関係で、現地には昼の12時過ぎの到着予定だ。
作戦を昼間に設定したのは、敵の未知の要因があるためだ。
明るい時間に作戦を遂行した方が、少しでも安全だと考えた。
0時になった。
10分後、「タイガーファング」が現地に到着し、虎白さんたちを降ろして飛び立った。
「いよいよですね」
亜紀ちゃんが真剣な眼差しでディスプレイを見ている。
虎白さんたちは「黒笛」と「レーヴァテイン」を腰に差している。
デュールゲリエたちによる攻撃が始まり、広大な建物がどんどん崩れていく。
周辺3キロに亘っても攻撃が拡がっている。
防衛しているライカンスロープや妖魔を殲滅するためだ。
やがて《ヨルムンガンド》が来て、空爆を開始した。
凄まじい爆撃で、建物の地下が超高熱で崩壊していくのが分かる。
ここまでは順調だ。
《ウラールⅡ》が来て、周囲の観測をしている。
異常な反応は無い。
「このまま終わりますかね?」
「分からん」
俺はそうではないと感じていた。
「シャンゴ」の攻撃は敵も予想外だったろうが、最重要拠点であるはずの《ハイヴ》が簡単に落とせるわけはないと思っていた。
それに俺の戦場の勘だ。
恐らく、聖も虎白さんたちも感じているだろう。
〈《ハイヴ》破壊 地下10キロ〉
ディスプレイに表示が出た。
「少ないですね」
皇紀が呟く。
その通りだった。
俺たちの計算では、20キロ近くに及んでいるはずだった。
それは、「何か」が攻撃を凌いでいたことを示している。
俺は聖に通信した。
「聖!」
「トラ、さっき虎白さんに呼ばれた! トラにも知らせようとしていたところだ」
「そうか! 嫌な予感だ」
「俺もだ! 多分虎白さんたちも感じて俺を呼んだんだろう」
「「シャンゴ」の攻撃が半分しか届いてねぇ。何かいるぞ」
「おう!」
拠点防衛装備のデュールゲリエ1000体が来た。
万一の場合は虎白さんたちの撤退を援護する者たちだ。
20万体の「スズメバチ」が上昇する。
アラスカから連絡が入る。
「タイガー! 《ヨルムンガンド》の第二波を送るか?」
「いや、必要ない。「シャンゴ」が通じない相手のようだ」
「なんだと!」
ターナー少将が驚いている。
それはそうだろう。
「シャンゴ」は核を超える、人類最強の爆弾だったはずだ。
プラズマの超高熱が、全ての物質を蒸発させるはずだった。
広範囲を焦土に変えることも出来るが、今回は指向性を持たせて地下へ超高熱が向かうようにしていた。
それが防がれたようだ。
どのような方法かは、皆目分からない。
まだ何も起きてはいない。
《ハイヴ》の底では、まだプラズマの嵐が巻き起こり、数億度の温度のままのようだ。
「皇紀、《ウラールⅡ》に連絡。耐熱の観測機を降下させろ」
「はい!」
皇紀がすぐに通信し、《ウラールⅡ》が《ハイヴ》の直上に来て、球形の観測機を落とした。
自由落下で落ちて行く。
「観測機、消滅!」
「何があった!」
「分かりません! 突然機能を停止しました!」
「高熱のせいじゃないな?」
「最後の計測値は外気温2000度です! 全然能力に余裕がありました!」
攻撃の瞬間の映像や感知したセンサーは無い。
ただ、突然に機能停止をしたのだ。
分からないが、攻撃されたのは確かだろう。
猛烈に嫌な予感がした。
「俺は現地に向かう!」
「タカさん、私も行きます!」
「ダメだ! お前たちはここに残って、俺の指示を待て!」
「タカさん!」
亜紀ちゃんが泣きそうな顔をした。
亜紀ちゃんにも尋常ではない予感があるのだろう。
「心配するな。俺と聖、虎白さんたちがいるんだ。何が起きても大丈夫だ」
「……」
亜紀ちゃんの頭を撫でて、待つように言った。
俺は「虎王」を左右に挿して飛んだ。
そして、アイツが現われた。
双子が、虎白さんたちの験担ぎをしたかったようだ。
もちろんみんなでそうしようと言った。
俺は脂身が嫌いなので、ヒレカツだ。
他の子どもたちも自然とそっちが好きになった。
響子には薄めに作り、小麦粉にパセリやオレガノなどの香辛料を少し混ぜる。
ラードを精製した油で揚げるので、非常に香ばしい。
皇紀がラードの精製を担当し、亜紀ちゃんが肉のカットと下味、ルーが卵黄と衣、ハーがひたすらに揚げていく。
揚がったものは、一度オーブンで更に加熱しながら余分な油を落としていく。
そうすることで、表面がカリッといい感じに仕上がる。
六花はロボと一緒に見ているだけ。
吹雪は響子と同じく薄いカツレツを嬉しそうに食べていた。
「吹雪、美味しいか?」
「はい!」
「響子、美味しいか?」
「うん!」
「お前はもっとちゃんとどう美味いのか説明しろ!」
「もう!」
ソースは中濃、ウスター、みぞれポン酢、レモン塩、その他いろいろ作っている。
キャベツの千切りも大量にあり、子どもたちに無理矢理食わせる。
味噌汁はシジミの赤味噌だ。
子どもたちは大量のカツレツをどんどん食べて行く。
もちろん牛カツも大量にある。
揚げたてが美味いので、途中で俺が揚げて行く。
俺は人間なので、数枚食べればもういい。
子どもたちがニコニコしながら、俺が用意するのを見ていた。
「昔に戻ったみたいですね!」
「そんなに前じゃねぇ!」
みんなが笑っていた。
ロボは牛カツが好きで、衣の量を少し減らしたものを食べて喜んでいた。
デザートにミントチョコレートのジェラートをみんなで食べた。
庭で花火を少しやり、みんなでゆっくり風呂に入った。
響子と吹雪は、ロボと一緒に先に寝かせる。
他の人間は「Ωコンバットスーツ」を着ている。
リヴィングに集まった。
皇紀が80インチのディスプレイを用意し、皇紀通信の機械と接続している。
今日は酒を飲まない。
双子がコーヒーを淹れ、クッキーを配った。
いつ、虎白さんたちの所へ飛んで行かなければならないこともあるからだ。
万一を考え、蓮花にも「武神」の出動もあり得ると言っている。
「虎」の軍としても、重要な作戦だ。
初の《ハイヴ》攻撃は、どのような展開を見せるのか分からない。
状況は現地のデュールゲリエたちの映像でリアルタイムに観れる。
虎白さんたちは、今晩0時に出発する。
時差の関係で、現地には昼の12時過ぎの到着予定だ。
作戦を昼間に設定したのは、敵の未知の要因があるためだ。
明るい時間に作戦を遂行した方が、少しでも安全だと考えた。
0時になった。
10分後、「タイガーファング」が現地に到着し、虎白さんたちを降ろして飛び立った。
「いよいよですね」
亜紀ちゃんが真剣な眼差しでディスプレイを見ている。
虎白さんたちは「黒笛」と「レーヴァテイン」を腰に差している。
デュールゲリエたちによる攻撃が始まり、広大な建物がどんどん崩れていく。
周辺3キロに亘っても攻撃が拡がっている。
防衛しているライカンスロープや妖魔を殲滅するためだ。
やがて《ヨルムンガンド》が来て、空爆を開始した。
凄まじい爆撃で、建物の地下が超高熱で崩壊していくのが分かる。
ここまでは順調だ。
《ウラールⅡ》が来て、周囲の観測をしている。
異常な反応は無い。
「このまま終わりますかね?」
「分からん」
俺はそうではないと感じていた。
「シャンゴ」の攻撃は敵も予想外だったろうが、最重要拠点であるはずの《ハイヴ》が簡単に落とせるわけはないと思っていた。
それに俺の戦場の勘だ。
恐らく、聖も虎白さんたちも感じているだろう。
〈《ハイヴ》破壊 地下10キロ〉
ディスプレイに表示が出た。
「少ないですね」
皇紀が呟く。
その通りだった。
俺たちの計算では、20キロ近くに及んでいるはずだった。
それは、「何か」が攻撃を凌いでいたことを示している。
俺は聖に通信した。
「聖!」
「トラ、さっき虎白さんに呼ばれた! トラにも知らせようとしていたところだ」
「そうか! 嫌な予感だ」
「俺もだ! 多分虎白さんたちも感じて俺を呼んだんだろう」
「「シャンゴ」の攻撃が半分しか届いてねぇ。何かいるぞ」
「おう!」
拠点防衛装備のデュールゲリエ1000体が来た。
万一の場合は虎白さんたちの撤退を援護する者たちだ。
20万体の「スズメバチ」が上昇する。
アラスカから連絡が入る。
「タイガー! 《ヨルムンガンド》の第二波を送るか?」
「いや、必要ない。「シャンゴ」が通じない相手のようだ」
「なんだと!」
ターナー少将が驚いている。
それはそうだろう。
「シャンゴ」は核を超える、人類最強の爆弾だったはずだ。
プラズマの超高熱が、全ての物質を蒸発させるはずだった。
広範囲を焦土に変えることも出来るが、今回は指向性を持たせて地下へ超高熱が向かうようにしていた。
それが防がれたようだ。
どのような方法かは、皆目分からない。
まだ何も起きてはいない。
《ハイヴ》の底では、まだプラズマの嵐が巻き起こり、数億度の温度のままのようだ。
「皇紀、《ウラールⅡ》に連絡。耐熱の観測機を降下させろ」
「はい!」
皇紀がすぐに通信し、《ウラールⅡ》が《ハイヴ》の直上に来て、球形の観測機を落とした。
自由落下で落ちて行く。
「観測機、消滅!」
「何があった!」
「分かりません! 突然機能を停止しました!」
「高熱のせいじゃないな?」
「最後の計測値は外気温2000度です! 全然能力に余裕がありました!」
攻撃の瞬間の映像や感知したセンサーは無い。
ただ、突然に機能停止をしたのだ。
分からないが、攻撃されたのは確かだろう。
猛烈に嫌な予感がした。
「俺は現地に向かう!」
「タカさん、私も行きます!」
「ダメだ! お前たちはここに残って、俺の指示を待て!」
「タカさん!」
亜紀ちゃんが泣きそうな顔をした。
亜紀ちゃんにも尋常ではない予感があるのだろう。
「心配するな。俺と聖、虎白さんたちがいるんだ。何が起きても大丈夫だ」
「……」
亜紀ちゃんの頭を撫でて、待つように言った。
俺は「虎王」を左右に挿して飛んだ。
そして、アイツが現われた。
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