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東雲と小春 Ⅱ
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「それでは、東雲様は小料理屋の女将のような女性がお好きなのですね!」
「そういうことだ。蓮花はよく分からないだろうが……」
俺がそう言うと、蓮花が立ち上がり、腰に両手を当ててドヤ顔で笑っていた。
「石神様! 実は学生時代にずっと小料理屋でアルバイトをしていたのです!」
「マジか!」
「はい! そのお店でいろいろと料理を教えていただきました!」
「蓮花・ゼロかぁ!」
「はい!」
驚いた。
蓮花の本格的な和食は、その店で教わったことが切っ掛けらしい。
料理の楽しさを知り、自分でも研究していったそうだ。
「石神様」
「なんだ?」
「わたくし、実はフレンチレストランでもアルバイトをしておりましたの!」
「すげぇな、蓮花!」
「オーホホホホホホ!」
蓮花が楽し気に笑い、俺とジェシカと二人で大笑いした。
「なら、「小料理屋の女将」は大丈夫そうだな!」
「はい、お任せ下さいませ!」
「性格は、さっき話した通りだ」
「はい、そちらも。ボディが出来ましたら、一度ご確認下さいませ」
「分かった!」
蓮花が俺に言った。
「ところで、お名前はどういたしましょうか?」
「ああ、「小春」なんてどうだ?」
「ぴったりでございます!」
蓮花が喜んだ。
ジェシカは分からいないだろうが、俺たちが意気投合しているので笑っていた。
「Little Spring」の意味だと話すと、素敵な名前だと言った。
蓮花とジェシカで、たちまちボディを創り上げ、俺は大満足で性格の設定を進めさせた。
ディディの原型があるので、性格の方向性の付与はそれほど難しくはない。
俺は大体のセッティングが済んだと聞いて、また蓮花の研究所へ行った。
「おお、いい感じだな!」
俺も実際に話してみて、満足の行く出来だった。
流石は蓮花とジェシカだ。
そうして、東雲の相棒「小春」が生まれた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
アラスカに小春を運び、東雲の家に連れて行った。
蓮花も同行する。
もちろんアポなど取ってはいない。
チャイムを鳴らすと、すぐに東雲がドアを開けた。
将官用の高級マンションだ。
「おーす!」
「旦那!」
「おい、邪魔するぞ!」
「え、いえ、まあどうぞ」
綺麗に片付いている部屋だった。
うちの家の増築を頼んでいた時からそういう男だった。
几帳面で、いつも部屋や現場を片付けていてくれた。
自分を律することが出来る男だ。
俺と蓮花に続いて、大きな荷物を持った着物姿の女がいるので驚いていた。
「あの、そちら様は?」
「まずは茶を出せぇ!」
「は、はい!」
東雲がすぐにキッチンへ行き、日本茶を持ってきた。
4人分ある。
「ああ、小春は飲まないんだ」
「はぁ、小春さんと言うんで?」
「そうだ。今日からお前と一緒に暮らすからな」
「なんですってぇ!」
東雲の驚きは尋常ではなかった。
まあ、そりゃそうだ。
「お前のために蓮花とジェシカが心を込めて作った。もちろん、俺の命令だ」
「旦那!」
「つべこべ言うな。まあ、とにかく一緒に暮らしてみろよ。お前がどうしてもって言うのなら引き取るからさ」
「いいえ、困りますって!」
俺は東雲を威圧した。
「俺、結構、今下出に出てるよなぁ?」
「ヒイッ!」
俺は小春に挨拶させた。
「東雲様、突然に申し訳ございません」
「い、いえ……」
「小春と申します。東雲様をお支えするために生まれました。是非お傍に置いていたければと」
「いや、それは、あの……」
俺が更に威圧して東雲を睨んだ。
「はい! 小春さん! よろしくお願いします!」
「おし!」
蓮花と笑った。
「こんな、小料理屋の女将しかしたことがないしがない私などを、申し訳ございません」
小春がヘンなことを喋った。
そういう裏設定はあったが、小春は研究所からまっすぐに来ただけだ。
俺がヘンな顔をしたので、蓮花が言った。
「石神様、必要かと思いまして、実際に小料理屋も経験させました」
「おい、どっかの店に入れたのか?」
「それは、機密の多い機体ですので。ですから、研究所の外に仮のお店を」
「なんだと?」
「私とジェシカ、シャドウさんとで、毎日通いました」
「お前なぁ」
俺は全然聞いてねぇ。
「研究所の人間も結構通いましたのよ? みんな喜んでいました」
「そうなのかよ」
「シャドウさんも、お料理が美味しいと喜んでいました」
「そっか」
まあ、そこはどうでもいいのだが。
とにかく、東雲は小春を受け入れ、一緒に暮らすことになった。
家事全般は何の問題も無い。
性格も、東雲であればたとえどんなものであっても何とかするだろう。
もちろん、小春は少々気が強い面もあるが、優しく男を大事にする女だ。
「蓮花、性能を話しておけよ」
「はい。東雲様、小春は家事全般に通じ、またマッサージから鍼灸まで相当の腕前です」
「はぁ」
「攻撃力はデュールゲリエの最高峰《SSSタイプ》と同じです。もちろん、今後ヴァージョンはアップしますし、必要であれば換装も行ないますので」
「はぁ、よろしくお願いします……」
東雲は圧倒されていて、よく話が通らない。
「おい、蓮花、そういうのは自然に分かるよ。そうじゃなくて、大事な性能だ」
「ああ! 申し訳ございません。東雲様、小春は超一流のソープ嬢のテクニックを全て習得いたしておりますので」
「はい?」
「後ほど、必要なマットなどの一式をお届けいたします。もちろんミミズ千匹三段俵締めで、オーラルテクニックも完璧です」
「……」
「後ろの方も、拡張の手続きは必要ございません。すぐにお使いいただけます。ああ、ローションは小春が自分で適宜準備いたしますので」
東雲が呆然と聞いていた。
蓮花が立ち上がって胸を叩いた。
「何しろ海千山千の酸いも辛いも経てきた女です。およそ、どのようなプレイでもきっと……」
「あの、虎の旦那……」
「あんだよ」
「自分、やっぱ……」
めんどくさいので、東雲の顎にフックを入れて脳震盪で気絶させた。
「小春!」
「はい!」
「幸せになってくれな!」
「はい!」
小春が甲斐甲斐しく東雲の身体をソファに横たえた。
小春もしばらくすれば目を覚ますことを分かっている。
俺と蓮花は部屋を出た。
「石神様、ようございましたね!」
「そうだな!」
俺たちは手を組んで、「タイガーファング」の発着場へ移動した。
俺たちは忙しい。
「おい、さっき出がけによ」
「はい?」
「小春が東雲の額にキスしてたぞ」
「えぇ! どうして教えて下さらなかったのですかぁ!」
「アハハハハハハ!」
「もう!」
「小春も東雲を気に入ったようだな」
「それでは、今晩にも早速!」
「モニター忘れるな!」
「もちろんでございます!」
二人で笑いながら、「タイガーファング」に乗り込んだ。
「そういうことだ。蓮花はよく分からないだろうが……」
俺がそう言うと、蓮花が立ち上がり、腰に両手を当ててドヤ顔で笑っていた。
「石神様! 実は学生時代にずっと小料理屋でアルバイトをしていたのです!」
「マジか!」
「はい! そのお店でいろいろと料理を教えていただきました!」
「蓮花・ゼロかぁ!」
「はい!」
驚いた。
蓮花の本格的な和食は、その店で教わったことが切っ掛けらしい。
料理の楽しさを知り、自分でも研究していったそうだ。
「石神様」
「なんだ?」
「わたくし、実はフレンチレストランでもアルバイトをしておりましたの!」
「すげぇな、蓮花!」
「オーホホホホホホ!」
蓮花が楽し気に笑い、俺とジェシカと二人で大笑いした。
「なら、「小料理屋の女将」は大丈夫そうだな!」
「はい、お任せ下さいませ!」
「性格は、さっき話した通りだ」
「はい、そちらも。ボディが出来ましたら、一度ご確認下さいませ」
「分かった!」
蓮花が俺に言った。
「ところで、お名前はどういたしましょうか?」
「ああ、「小春」なんてどうだ?」
「ぴったりでございます!」
蓮花が喜んだ。
ジェシカは分からいないだろうが、俺たちが意気投合しているので笑っていた。
「Little Spring」の意味だと話すと、素敵な名前だと言った。
蓮花とジェシカで、たちまちボディを創り上げ、俺は大満足で性格の設定を進めさせた。
ディディの原型があるので、性格の方向性の付与はそれほど難しくはない。
俺は大体のセッティングが済んだと聞いて、また蓮花の研究所へ行った。
「おお、いい感じだな!」
俺も実際に話してみて、満足の行く出来だった。
流石は蓮花とジェシカだ。
そうして、東雲の相棒「小春」が生まれた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
アラスカに小春を運び、東雲の家に連れて行った。
蓮花も同行する。
もちろんアポなど取ってはいない。
チャイムを鳴らすと、すぐに東雲がドアを開けた。
将官用の高級マンションだ。
「おーす!」
「旦那!」
「おい、邪魔するぞ!」
「え、いえ、まあどうぞ」
綺麗に片付いている部屋だった。
うちの家の増築を頼んでいた時からそういう男だった。
几帳面で、いつも部屋や現場を片付けていてくれた。
自分を律することが出来る男だ。
俺と蓮花に続いて、大きな荷物を持った着物姿の女がいるので驚いていた。
「あの、そちら様は?」
「まずは茶を出せぇ!」
「は、はい!」
東雲がすぐにキッチンへ行き、日本茶を持ってきた。
4人分ある。
「ああ、小春は飲まないんだ」
「はぁ、小春さんと言うんで?」
「そうだ。今日からお前と一緒に暮らすからな」
「なんですってぇ!」
東雲の驚きは尋常ではなかった。
まあ、そりゃそうだ。
「お前のために蓮花とジェシカが心を込めて作った。もちろん、俺の命令だ」
「旦那!」
「つべこべ言うな。まあ、とにかく一緒に暮らしてみろよ。お前がどうしてもって言うのなら引き取るからさ」
「いいえ、困りますって!」
俺は東雲を威圧した。
「俺、結構、今下出に出てるよなぁ?」
「ヒイッ!」
俺は小春に挨拶させた。
「東雲様、突然に申し訳ございません」
「い、いえ……」
「小春と申します。東雲様をお支えするために生まれました。是非お傍に置いていたければと」
「いや、それは、あの……」
俺が更に威圧して東雲を睨んだ。
「はい! 小春さん! よろしくお願いします!」
「おし!」
蓮花と笑った。
「こんな、小料理屋の女将しかしたことがないしがない私などを、申し訳ございません」
小春がヘンなことを喋った。
そういう裏設定はあったが、小春は研究所からまっすぐに来ただけだ。
俺がヘンな顔をしたので、蓮花が言った。
「石神様、必要かと思いまして、実際に小料理屋も経験させました」
「おい、どっかの店に入れたのか?」
「それは、機密の多い機体ですので。ですから、研究所の外に仮のお店を」
「なんだと?」
「私とジェシカ、シャドウさんとで、毎日通いました」
「お前なぁ」
俺は全然聞いてねぇ。
「研究所の人間も結構通いましたのよ? みんな喜んでいました」
「そうなのかよ」
「シャドウさんも、お料理が美味しいと喜んでいました」
「そっか」
まあ、そこはどうでもいいのだが。
とにかく、東雲は小春を受け入れ、一緒に暮らすことになった。
家事全般は何の問題も無い。
性格も、東雲であればたとえどんなものであっても何とかするだろう。
もちろん、小春は少々気が強い面もあるが、優しく男を大事にする女だ。
「蓮花、性能を話しておけよ」
「はい。東雲様、小春は家事全般に通じ、またマッサージから鍼灸まで相当の腕前です」
「はぁ」
「攻撃力はデュールゲリエの最高峰《SSSタイプ》と同じです。もちろん、今後ヴァージョンはアップしますし、必要であれば換装も行ないますので」
「はぁ、よろしくお願いします……」
東雲は圧倒されていて、よく話が通らない。
「おい、蓮花、そういうのは自然に分かるよ。そうじゃなくて、大事な性能だ」
「ああ! 申し訳ございません。東雲様、小春は超一流のソープ嬢のテクニックを全て習得いたしておりますので」
「はい?」
「後ほど、必要なマットなどの一式をお届けいたします。もちろんミミズ千匹三段俵締めで、オーラルテクニックも完璧です」
「……」
「後ろの方も、拡張の手続きは必要ございません。すぐにお使いいただけます。ああ、ローションは小春が自分で適宜準備いたしますので」
東雲が呆然と聞いていた。
蓮花が立ち上がって胸を叩いた。
「何しろ海千山千の酸いも辛いも経てきた女です。およそ、どのようなプレイでもきっと……」
「あの、虎の旦那……」
「あんだよ」
「自分、やっぱ……」
めんどくさいので、東雲の顎にフックを入れて脳震盪で気絶させた。
「小春!」
「はい!」
「幸せになってくれな!」
「はい!」
小春が甲斐甲斐しく東雲の身体をソファに横たえた。
小春もしばらくすれば目を覚ますことを分かっている。
俺と蓮花は部屋を出た。
「石神様、ようございましたね!」
「そうだな!」
俺たちは手を組んで、「タイガーファング」の発着場へ移動した。
俺たちは忙しい。
「おい、さっき出がけによ」
「はい?」
「小春が東雲の額にキスしてたぞ」
「えぇ! どうして教えて下さらなかったのですかぁ!」
「アハハハハハハ!」
「もう!」
「小春も東雲を気に入ったようだな」
「それでは、今晩にも早速!」
「モニター忘れるな!」
「もちろんでございます!」
二人で笑いながら、「タイガーファング」に乗り込んだ。
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