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聖、蓮花研究所へ Ⅱ

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 俺たちは「W塔」の地下の破壊測定の出来る場所へ移動した。
 聖に早速やってもらう。

 「いいか、あの的に向かって撃ってくれ」
 「あれか」
 「最初は「散華」からだ」
 「分かった」

 聖がでかいロングバレルの「散華」を構える。
 流石にサマになっている。

 「おい、セーフティはどうなってるんだ?」

 俺は聖が何の操作もしないので訝しがった。
 聖はプロだ。
 セーフティを掛けずにガンを持ち歩くなどあり得ない。

 「ああ、必要ねぇんだ」
 「なんだと?」
 「こいつにセーフティは無いんだよ。俺が撃つと決めた時に外れるっていうかな」
 「なんだそりゃ?」

 聖にも説明が付かないようだ。
 しかし、そのことを確信しているらしい。

 「まあ、見てろよ」
 「ああ」

 聖が50メートル先の的に向かって撃った。
 聖が撃てば、当然センターを抜く。
 的には物理的な破壊力と共に、霊素センサーもあり、妖魔に対する破壊力も測定できるようになっている。
 蓮花とジェシカが数値を計測して叫んだ。

 「石神様!」

 呼ばれて俺もモニターを見た。

 「!」

 これまで俺たちが苦労していた上級妖魔を簡単に撃破出来るだけの数値だった。
 ハンドガンでこの威力は驚異的だ。
 「レーヴァテイン」に換算すれば、数千本分の威力がある。
 聖に「聖光」を用意させる。

 「ジェシカ、センサーは最強度に設定しろ」
 「はい!」

 聖が構える。
 セーフティはともかく、サイトのゼロイン(照準調整)もしない。

 「おい、試射は済んでいるのか?」
 「いや、トラと撃った時だけだよ」
 「ゼロインはしないのか?」
 「ああ、それも必要ない。俺が構えれば、サイトは合ってる」
 「なんだ、そりゃ?」

 聖には感覚的に分かっていることなのだろうが、物理的な銃の構造だ。
 サイトが必要ないとはどういうことか。
 元々説明が下手な奴なので諦めた。

 「撃つべきものをちゃんと狙えるよ」
 「そうか」

 聖が言うので、そのまま撃たせた。
 ハンドガンとは違い、小銃はリーチが長い。
 だから感覚的な狙いでは無理なはずなのだが。
 しかし、聖はちゃんとセンターを撃ち抜いた。

 「石神様!」

 また蓮花たちが驚いている。
 今度は俺もモニターを見ていた。

 「こりゃスゲェな」

 シベリアで出現した「下級神」を斃せるレベルだった。
 
 「先日の「地獄の悪魔」にも、これがあれば十分でしたでしょう」
 
 蓮花が保証した。

 「トラ、これがあれば、お前を護れるぞ」
 「そうか!」

 聖が嬉しそうに笑っていた。
 こいつは数値など知らなくても、天才の感覚で分かったのだろう。






 俺は聖をバーチャル・システムの訓練ポッドを案内した。
 折角来たのだから、ここの最新の設備を体験させてやりたかった。

 「これは仮想現実での戦闘が出来るものなんだ」
 「なんだ?」
 「まあ、入れよ。きっと楽しんでもらえるよ」
 「ヘンな機械だな?」
 「いいから入れって」
 「おう」

 聖の服を脱がせ、全裸でポッドに入らせる。
 ヘッドマウントディスプレイを装着し、中に液体が満たされて行く。

 「時間まで楽しめ」

 聖が右手を上げ、親指を立てた。
 ヘッドマウントディスプレイに投影されていく映像で、大体のことが理解出来たようだ。
 俺はポッドの蓋を締めてやった。

 子どもたちとブランたちの訓練を見に行き、丁度一段落ついたところのようだった。

 「タカさーん!」

 子どもたちが俺の姿を見て喜び、ブランたちも集まって来た。

 「よう、どうだよ調子は?」
 「絶好調ですよ!」

 みんなでお茶にする。
 ブランたちがコーヒーを用意し、ケーキなども持って来た。
 ブランたちの食堂で一休みする。

 「今聖にポッドを使わせてるんだ」
 「そうなんですか!」
 「夕飯前には終わるよ」
 「へぇー!」

 亜紀ちゃんたちも、ここのポッドでのバーチャルの訓練が大好きだ。
 全力で暴れられるためだった。
 休憩を終わり、俺も訓練を観た。
 確かにいい仕上がりだった。
 ブランたちの攻撃の連携は多彩になっており、もうどんな戦場でも任せられるレベルだった。
 
 訓練を終えて、夕飯の支度を始める。
 蓮花に聖が和食を楽しみにしていると言うと、張り切っていた。
 俺はジェシカともう少し打ち合わせをしたかった。
 オムスク基地の攻撃作戦だ。

 「だったら、私が聖さんを迎えに行きますよ」
 「おお、じゃあ頼むな」

 亜紀ちゃんが「P塔」に走って行く。
 俺はジェシカと作戦室へ移動した。



 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■



 聖さんのポッドの表示を見た。
 もうすぐ終了する。
 服の入った籠を持って待っていた。

 小さなビープ音がして、ポッドの蓋が開いて行く。
 聖さんは自分でヘッドマウントディスプレイを外そうとしていた。
 私も近寄って手伝った。

 「おう、待ってたのか」
 「はい!」

 聖さんは全裸だった。
 まあ、私のことなど気にしない人だ。
 ただ、戦闘での興奮か、聖さんのオチンチンがちょっと立っていた。
 何となくソレを見た。

 「アァァァァーーーー!」
 「どうした!」

 聖さんのオチンチンの先に、信じられないものを見つけた。
 思わず握って確認してしまった。

 「おい!」
 「これ! タカさんとおんなじじゃないですかぁ!」
 「なに?」

 タカさんのオチンチンの先には、小さな黒い点が三つある。
 なんだか可愛らしい顔みたいで、大好きだ。

 「おい! 離せ!」
 「あ! なんかまたおっきくなった!」
 「てめぇが握ってるからだぁ!」
 「ヘンタイ!」
 「バカ!」

 慌てて手を離し、聖さんにタオルと下着を渡した。

 「早く着て下さいよ!」
 「おまえぇ!」
 「なんで私に欲情するんですか!」
 「うるせぇ!」
 
 背中を向け、聖さんが下着を履いて行く。

 「お前よ、一ヶ月も何もしなかったんだからしょうがねぇだろう!」  
 「あー!」

 石神家本家にいたんだっけ。
 なるほどー。

 服を着た聖さんを食堂へ連れて行った。

 「よう! 聖、どうだった?」
 「トラ! あれはスゲェよ! なんだよ、ありゃ!」
 「まあ、楽しんでもらえて良かったよ」

 タカさんと聖さんが楽しそうに話していた。
 私は蓮花さんを手伝いに行った。




 食事が始まり、聖さんが泣きそうな顔で感動していた。

 「どうだよ、聖! 蓮花の食事は最高だろう?」
 「ああ! こんな美味いものは喰ったことねぇ!」
 「オホホホホ!」

 蓮花さんも嬉しそうだ。

 「あ! タカさん! 聖さんのオチンチンに、タカさんと同じ三つの黒いのがあるんですよ!」
 「あ?」
 「ほら! あのカワイイ奴!」
 「ああ」

 タカさんはのってくれなかった。
 悔しくなって、聖さんをからかった。

 「タカさーん! それで聖さんが私の前で勃起させたんですよー!」
 「テメェ! ブサ!」
 「白いの出ちゃいましたよね?」
 「出してねぇよ!」

 タカさんが大笑いしていた。

 「虎白さんとこじゃ何も出来なかったか」
 「まあ、それどこじゃなかったしな。毎日必死だったぜ」
 「そっか」

 聖さんも笑った。

 


 食事を終え、聖さんは帰ることになった。

 「もう、流石にアンジーに会いたいぜ」
 「ワハハハハハ!」

 聖さんがアンジーさんに電話した。
 最初は嬉しそうに話していたが、そのうちに聖さんが困った顔になった。

 「トラ、ちょっと変わって」
 「なんだよ?」

 タカさんが電話を替わり、アンジーさんと話していた。

 「あー」

 タカさんが大笑いした。

 「聖、ジャンニーニに頼んでおくよ」
 「俺、アンジーと早く会いたいんだけど」
 「ぶっ壊れるから勘弁してくれってよ」
 「そんなー」
 「ちょっと身体を軽くしてから来いってさ」
 「なんだよー」

 意味が分かった。
 溜まり切った聖さんの相手は、アンジーさんもコワイのだろう。
 ルーとハーが「ギャハハハハハハハハハ」と笑っていた。

 聖さんが帰って行った。
 みんなで見送った。

 「前によ、2週間の作戦行動から帰ったらしんだよ」
 「はい」
 「アンジーが入院したんだってよ」
 「!」

 みんなで爆笑した。




 あー!
 でも、あのオチンチンの同じマークはなんなんだぁー!
 何でタカさんと聖さんがおんなじなんだぁー!

 「タカさん、あとでお風呂でオチンチンよく見せて下さいね」
 「お前、なんなんだよ!」
 
 頭を殴られた。 
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