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石神家 歓待
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最後に橘弥生と徳川さんに挨拶に行った。
「石神さん、今日の演奏も良かったわ」
「ありがとうございます。こんな遅い時間までお付き合い下さいまして」
「本当に良かった。あなたは最高ね」
「そんな! でも俺も楽しかったですよ」
「トラ、私もお礼を言うわ。今日はありがとう」
「恋人の頼みですからね」
「トラ!」
徳川さんが笑った。
「あなたたち、本当にお付き合いするのね」
「まあ、橘さんには逆らえないですからね」
「あなた!」
「今後ともお願いします。でも、ギタリストじゃないんで、手加減して下さいね」
「あなたは本当に!」
俺も笑った。
ほとんどの人間が告白の話はジョークだと思っていることは、橘弥生も分かっている。
一緒にいた古賀さんと西木野さんはドギマギしているが。
その西木野さんから言われた。
「石神さん、僕も感動した。本当に素晴らしいコンサートだった」
「ありがとうございます。でも俺なんてちょっと毛色が変わっているだけですよ」
「そんなことはない。サイヘーさんの跡を継ぐ人間だ。僕はまた確信したよ」
「大袈裟ですよ。貢さんは俺の永遠の憧れです」
「僕も頑張るよ。今になってこんな気持ちになるなんて思わなかった」
「頑張って下さい」
古賀さんからも褒められ、照れ臭かった。
「今日のコンサートのことも記事にするからね」
「お任せします。貢さんと門土のことをメインにして下さい」
「アハハハハ! うん、そこもちゃんと書くよ。門土君も来てくれてたと思うよ」
「そうですか」
『虎は孤高に』で、門土が俺にデビューコンサートで呼び掛けたシーンが出て来る。
俺の最後の呼び掛けは、大勢の人間が分かったことだろう。
俺は門土に礼が言いたかったのが、このコンサートの大きな目的の一つだった。
橘弥生が門土と同じサントリーホールを押さえてくれた気持ちが分かったからだ。
時間となり、解散した。
俺は出口で一人一人に礼を言い、挨拶した。
俺の運転で、ロールスロイスに聖とアンジー、聖雅を乗せた。
ジャンニーニたちは柳の運転でアルファード。
他の連中は便利屋の運転でリムジンに乗り込む。
家に着いて、すぐに風呂に入った。
「虎温泉」に最初は女性陣から案内した。
全員の浴衣を用意している。
栞、麗星、アンジー、マリアとシルヴィア、エミー、それと亜紀ちゃん、柳、双子だ。
少しきついが、まあ余裕はある。
俺はその間に食事を摂った。
次に俺と聖、ジャンニーニ、五平所、皇紀、マリオ、それに士王と天狼、聖雅。
チビたちは早めに上げた。
ジャンニーニが大喜びだった。
前回うちに来た時には、風呂には入れなかった。
「おい、こりゃいいもんだな!」
「そうだろう」
聖と一緒に笑った。
「じゃあ、今日はスペシャルを喰わせてやる」
「なんだ?」
内線で双子を呼び、かき氷を作らせた。
五平所が喜び、ジャンニーニが狂喜した。
「おい、なんだこれは!」
「かき氷って言うんだ。日本の夏の食い物だ」
「俺は将来日本に住むぜ!」
慌てて喰うなと言ったのに、ジャンニーニが頭痛を起こして文句を垂れた。
風呂から上がり、リヴィングで酒を飲んだ。
エミーを隣に座らせる。
今日はいろいろな人間がいて、エミーとは全然話せなかった。
「エミー、わざわざお前まで来てくれるなんてな!」
「トラ! 感動したよ! あのギターだよね?」
「ああ、お前のせいでこんなことになっちまった」
「えぇー!」
みんなが笑った。
経緯を知らない人間もいるので、簡単にエミーの店でジョン・ウェラーのギターをもらい受けることになった話をした。
亜紀ちゃんが英語で通訳する。
「不思議なんですよ! ウェラーさんが弾くと、音が抜けちゃうんです!」
亜紀ちゃんがウェラー氏の所でのことを話した。
「トラ、うちじゃしょっちゅうお前のCDを掛けてるんだ」
「聖が音楽なんか聴くとはなぁ」
「トラのだからだよ。でも、俺も音楽が好きになった」
「マジか!」
「私も毎日聴いてるよ!」
シルヴィアも言った。
エミーも店で時々掛けていると言った。
「でも、うちってクラシックって感じじゃないから」
客の少ない時らしい。
「ねぇ、トラ。モンドって誰なの?」
エミーが聞くので、俺がかいつまんで話してやった。
知らない人間たちが泣く。
「聖とはこんな仲だけどな。門土とはガキの頃から本当に仲良しだったんだ。あいつはピアニストとしても最高だった。ずっと母親の橘弥生を追い掛けてな」
最後の呼びかけは門土がデビューの時に俺にしてくれたことだと話した。
「俺はステージに行けなかった。俺なんかがあんな素晴らしくなった門土に顔を出せなかったよ。でも、俺も呼び掛けて分かった。あいつに、本当に来て欲しかった。門土の顔が見たかった」
みんな黙っている。
「俺がその時座ってた席を、橘さんが調べ直してくれた。円城寺さんというサントリーホールの偉い人も過去の記録を辿ってくれてな。その席に門土の遺影を置いた。あいつ、来てくれたかな」
「きっと来ましたよ、タカさん!」
亜紀ちゃんが言った。
「みんなが出て行ってからな、橘さんと遺影を一緒に取りに行った。もう一度あの席に座ってさ。懐かしく思い出したよ」
「そうだったんですか」
雰囲気を変えるために、俺は麗星と一緒に篠笛とギターで演奏しようと言った。
「あなた様、申し訳ありません。今日は持って来ておらずに」
「大丈夫だ!」
俺は地下から篠笛を持って来た。
麗星がうちに来たら演奏出来るように用意していた。
麗星に手渡す。
「これは! まさか「龍砲」ではございませんか!」
麗星が叫ぶ。
「ああ、確かそんな名前。小島将軍がくれたんだ」
「「!!!!」」
麗星と五平所が驚いている。
前に会った時に、俺の子を産んだ道間家の女が篠笛が上手いと言った。
そうしたら、出産祝いだと俺にくれたのだ。
「これは国宝級のものですよ!」
「え、そうなの?」
「あなた様!」
「いやー」
空気を変えるつもりが、とんでもない騒ぎになった。
まあ、あの小島将軍がくれたものだから、高級品だとは思っていたが。
「俺も篠笛のことって知らなくてさ」
「……」
「まあ、それ、お前のものだから」
「あなた様……」
「良かったね!」
「……」
なんか、金額の付かないものらしい。
数億でも無理だって。
へぇー。
麗星の背中をバンバン叩いて、やろうぜと言った。
麗星はヘンな顔をして立ち上がり、「龍砲」を口に当てた。
ひとしきり音を試して、吹き始める。
俺も静かに合わせて行った。
次第に麗星も気が乗って来る。
流麗で華麗で美しい旋律になっていった。
みんな聴き入っていた。
突然、大音量が響く。
「おい!」
「すみません! 鳴り過ぎました!」
麗星が口から離し、大きく息を吸っていた。
「あなた様、これは少々練習をいたしませんと」
「そっかー」
俺も驚いた。
「龍砲」の名の通り、とんでもない大音量が出るようだ。
「伝説では、木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)が使っていたと」
「マジか」
「はい。龍笛の時代に作られたものとされております」
「え、篠笛じゃないの?」
「まあ、厳密には」
「そっかー」
知らないよー。
俺もよく分からないことになったので、一旦解散にした。
俺と聖とジャンニーニとで飲むことにし、「幻想空間」に移動した。
他の人間は飲みたければリヴィングで続けて飲むことにする。
桜花に、栞に気を付けろと言った。
亜紀ちゃんに、今日は客を歓待しろと言っておく。
まあ、楽しく飲んで欲しい。
「石神さん、今日の演奏も良かったわ」
「ありがとうございます。こんな遅い時間までお付き合い下さいまして」
「本当に良かった。あなたは最高ね」
「そんな! でも俺も楽しかったですよ」
「トラ、私もお礼を言うわ。今日はありがとう」
「恋人の頼みですからね」
「トラ!」
徳川さんが笑った。
「あなたたち、本当にお付き合いするのね」
「まあ、橘さんには逆らえないですからね」
「あなた!」
「今後ともお願いします。でも、ギタリストじゃないんで、手加減して下さいね」
「あなたは本当に!」
俺も笑った。
ほとんどの人間が告白の話はジョークだと思っていることは、橘弥生も分かっている。
一緒にいた古賀さんと西木野さんはドギマギしているが。
その西木野さんから言われた。
「石神さん、僕も感動した。本当に素晴らしいコンサートだった」
「ありがとうございます。でも俺なんてちょっと毛色が変わっているだけですよ」
「そんなことはない。サイヘーさんの跡を継ぐ人間だ。僕はまた確信したよ」
「大袈裟ですよ。貢さんは俺の永遠の憧れです」
「僕も頑張るよ。今になってこんな気持ちになるなんて思わなかった」
「頑張って下さい」
古賀さんからも褒められ、照れ臭かった。
「今日のコンサートのことも記事にするからね」
「お任せします。貢さんと門土のことをメインにして下さい」
「アハハハハ! うん、そこもちゃんと書くよ。門土君も来てくれてたと思うよ」
「そうですか」
『虎は孤高に』で、門土が俺にデビューコンサートで呼び掛けたシーンが出て来る。
俺の最後の呼び掛けは、大勢の人間が分かったことだろう。
俺は門土に礼が言いたかったのが、このコンサートの大きな目的の一つだった。
橘弥生が門土と同じサントリーホールを押さえてくれた気持ちが分かったからだ。
時間となり、解散した。
俺は出口で一人一人に礼を言い、挨拶した。
俺の運転で、ロールスロイスに聖とアンジー、聖雅を乗せた。
ジャンニーニたちは柳の運転でアルファード。
他の連中は便利屋の運転でリムジンに乗り込む。
家に着いて、すぐに風呂に入った。
「虎温泉」に最初は女性陣から案内した。
全員の浴衣を用意している。
栞、麗星、アンジー、マリアとシルヴィア、エミー、それと亜紀ちゃん、柳、双子だ。
少しきついが、まあ余裕はある。
俺はその間に食事を摂った。
次に俺と聖、ジャンニーニ、五平所、皇紀、マリオ、それに士王と天狼、聖雅。
チビたちは早めに上げた。
ジャンニーニが大喜びだった。
前回うちに来た時には、風呂には入れなかった。
「おい、こりゃいいもんだな!」
「そうだろう」
聖と一緒に笑った。
「じゃあ、今日はスペシャルを喰わせてやる」
「なんだ?」
内線で双子を呼び、かき氷を作らせた。
五平所が喜び、ジャンニーニが狂喜した。
「おい、なんだこれは!」
「かき氷って言うんだ。日本の夏の食い物だ」
「俺は将来日本に住むぜ!」
慌てて喰うなと言ったのに、ジャンニーニが頭痛を起こして文句を垂れた。
風呂から上がり、リヴィングで酒を飲んだ。
エミーを隣に座らせる。
今日はいろいろな人間がいて、エミーとは全然話せなかった。
「エミー、わざわざお前まで来てくれるなんてな!」
「トラ! 感動したよ! あのギターだよね?」
「ああ、お前のせいでこんなことになっちまった」
「えぇー!」
みんなが笑った。
経緯を知らない人間もいるので、簡単にエミーの店でジョン・ウェラーのギターをもらい受けることになった話をした。
亜紀ちゃんが英語で通訳する。
「不思議なんですよ! ウェラーさんが弾くと、音が抜けちゃうんです!」
亜紀ちゃんがウェラー氏の所でのことを話した。
「トラ、うちじゃしょっちゅうお前のCDを掛けてるんだ」
「聖が音楽なんか聴くとはなぁ」
「トラのだからだよ。でも、俺も音楽が好きになった」
「マジか!」
「私も毎日聴いてるよ!」
シルヴィアも言った。
エミーも店で時々掛けていると言った。
「でも、うちってクラシックって感じじゃないから」
客の少ない時らしい。
「ねぇ、トラ。モンドって誰なの?」
エミーが聞くので、俺がかいつまんで話してやった。
知らない人間たちが泣く。
「聖とはこんな仲だけどな。門土とはガキの頃から本当に仲良しだったんだ。あいつはピアニストとしても最高だった。ずっと母親の橘弥生を追い掛けてな」
最後の呼びかけは門土がデビューの時に俺にしてくれたことだと話した。
「俺はステージに行けなかった。俺なんかがあんな素晴らしくなった門土に顔を出せなかったよ。でも、俺も呼び掛けて分かった。あいつに、本当に来て欲しかった。門土の顔が見たかった」
みんな黙っている。
「俺がその時座ってた席を、橘さんが調べ直してくれた。円城寺さんというサントリーホールの偉い人も過去の記録を辿ってくれてな。その席に門土の遺影を置いた。あいつ、来てくれたかな」
「きっと来ましたよ、タカさん!」
亜紀ちゃんが言った。
「みんなが出て行ってからな、橘さんと遺影を一緒に取りに行った。もう一度あの席に座ってさ。懐かしく思い出したよ」
「そうだったんですか」
雰囲気を変えるために、俺は麗星と一緒に篠笛とギターで演奏しようと言った。
「あなた様、申し訳ありません。今日は持って来ておらずに」
「大丈夫だ!」
俺は地下から篠笛を持って来た。
麗星がうちに来たら演奏出来るように用意していた。
麗星に手渡す。
「これは! まさか「龍砲」ではございませんか!」
麗星が叫ぶ。
「ああ、確かそんな名前。小島将軍がくれたんだ」
「「!!!!」」
麗星と五平所が驚いている。
前に会った時に、俺の子を産んだ道間家の女が篠笛が上手いと言った。
そうしたら、出産祝いだと俺にくれたのだ。
「これは国宝級のものですよ!」
「え、そうなの?」
「あなた様!」
「いやー」
空気を変えるつもりが、とんでもない騒ぎになった。
まあ、あの小島将軍がくれたものだから、高級品だとは思っていたが。
「俺も篠笛のことって知らなくてさ」
「……」
「まあ、それ、お前のものだから」
「あなた様……」
「良かったね!」
「……」
なんか、金額の付かないものらしい。
数億でも無理だって。
へぇー。
麗星の背中をバンバン叩いて、やろうぜと言った。
麗星はヘンな顔をして立ち上がり、「龍砲」を口に当てた。
ひとしきり音を試して、吹き始める。
俺も静かに合わせて行った。
次第に麗星も気が乗って来る。
流麗で華麗で美しい旋律になっていった。
みんな聴き入っていた。
突然、大音量が響く。
「おい!」
「すみません! 鳴り過ぎました!」
麗星が口から離し、大きく息を吸っていた。
「あなた様、これは少々練習をいたしませんと」
「そっかー」
俺も驚いた。
「龍砲」の名の通り、とんでもない大音量が出るようだ。
「伝説では、木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)が使っていたと」
「マジか」
「はい。龍笛の時代に作られたものとされております」
「え、篠笛じゃないの?」
「まあ、厳密には」
「そっかー」
知らないよー。
俺もよく分からないことになったので、一旦解散にした。
俺と聖とジャンニーニとで飲むことにし、「幻想空間」に移動した。
他の人間は飲みたければリヴィングで続けて飲むことにする。
桜花に、栞に気を付けろと言った。
亜紀ちゃんに、今日は客を歓待しろと言っておく。
まあ、楽しく飲んで欲しい。
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