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カクテル・ナイト
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全員が揃って、しばらく休みながら自由にコースを走った。
みんな「レッドオーガ」の操縦に慣れ、コースを楽しく回っている。
俺はミカが淹れてくれたアイスコーヒーを飲みながら眺めていた。
六花がニコニコ顔で寄って来る。
「楽しい!」
「そうか」
「こんな凄いマシンでも、操縦は慣れると本当に快適で」
「まあ、お前の場合大抵のマシンは乗りこなすよな」
俺がそう言うと、六花が嬉しそうに笑った。
ロボが俺に寄って来る。
俺に振り向き、「レッドオーガ」の方へ行く。
また俺に振り向く。
「なんだ、また乗りたいのか?」
「にゃ」
俺は笑ってロボを抱き上げて一緒に乗った。
六花が響子を抱いて乗る。
ゆっくりと走り出した。
俺たちがゆっくりなので、他の連中のマシンが追い越していく。
ロボが俺に振り向いて俺の腕を叩く。
「なんだよ、抜かされるのが嫌なのか」
「にゃ!」
俺はアクセルを開いた。
ギアはオートマチックだ。
みるみるスピードが上がる。
まあ、ロボは「レッドオーガ」のスピードで怖がるはずもない。
俺の「レッドオーガ」はどんどん前のマシンを抜いて行く。
「ニャー!」
ロボが喜んでいる。
だからますますスピードを上げた。
コーナーではアクセルを戻してタックインで旋回力を増して曲がる。
この「レッドオーガ」が2輪駆動であることで、そういうことが出来る。
他の連中は2輪駆動のバイクなど乗ったことはないから、知らない。
コーナーを曲がる度に、どんどん後続を引き離して行った。
六花が後ろで見ていて、響子を1周で降ろした。
俺の「走り」を見たからだ。
響子が文句を言う。
「もっと乗りたーい!」
「ちょっと後で!」
六花が俺の後ろに付いて、俺のコーナーリングを観察した。
六花もタックインを覚えた。
二人でどんどん追い抜き、引き離して行く。
だが、俺の方がマシンのことに熟知しているので、六花も引き離されて行った。
何周かして、俺はピットに戻った。
ロボが大満足で俺の顔を舐めた。
六花も戻って来る。
「全然追いつけませんでした!」
「まーなー」
響子が乗せろとうるさいので、俺がまた乗せてやった。
他のマシンが追い抜いていく。
「タカトラ! やっちゃって!」
「お前、死んじゃうだろう!」
俺は笑って、スピードを出さずに走った。
響子にもハンドルを持たせ、一緒に操縦した。
響子が喜んだ。
「楽しかった!」
「おう!」
夕方まで、みんなで楽しんだ。
「弱肉強食」に戻り、着替えて「虎酔花」に向かう。
今日は「紅六花」全員ではなく、自由参加だ。
酒を飲まない奴らがマイクロバスを運転する。
亜蘭も参加で、1台を運転してくれた。
50名ほどの人間が集まった。
ヒロミたちが出迎えてくれる。
今日はゴールデンウィークの稼ぎ時なので、貸切にはしていない。
4分の1程度を俺たちが占有しているだけだ。
料理はあらかじめ用意されているので、どんどん運んで来る。
全員が手伝っている。
他の客に顔見知りがいると、みんな挨拶していった。
「リッカランド」や「紅バギー」などの観光で来ている人たちもおり、地元の人間も多い。
「虎酔花」は非常に好調だった。
「大勢入っているな」
「はい! 今日はゴールデンウィークですので多いですが、いつもも結構来てもらってますよ」
「地元の人も多いんだな」
「そうです。何しろ料理も酒も美味いですし、雰囲気も最高ですからね」
「お安いしな!」
「ワハハハハハハ!」
そんなに安くはないが、飲み食いの仕方だ。
東京ならばバカ高い土地代が上乗せされるので、このグレードのレストランであれば随分とここは安いのだが。
ヒロミ、ミカ、キッチ、ラクは通常の店の仕事をしながら俺たちに付き合い、俺たちは自分たちで自由に飲み食いしている。
俺もサービスのつもりでカウンターに入った。
「おい、カクテルを飲みたい奴は俺に言え!」
すぐに六花が来て、マティーニを飲みたいと言った。
俺は笑って素早く作ってやる。
「石神さん、上手いですね!」
「まーなー」
六花が嬉しそうに口を付けた。
他の連中もカウンターに来てカクテルが飲みたいと言う。
「いいから、何が飲みたいんだよ?」
「あの、自分ら、そういうの知らないんで」
「バカ!」
俺は笑って適当にどんどん作り、好きな物を飲めと言った。
ダイキリ、ジントニック、ブラッディマリー、ソルティドッグ、名前の知られたものからヨコハマなどの珍しいものを。
「よしこはレモンサワーでいいか?」
「自分も是非カクテルをー!」
俺は笑ってミリオンダラーを作ってやった。
「お前は金持ちだからな!」
「ありがとうございます!」
赤い美しいカクテルだ。
よしこは喜んだ。
他の連中も綺麗な色に歓声を上げていたので、アズールやシーブリーズ、ストローハット、セントラルパークなどを作ってやる。
「石神さん! ほんとにスゴイですね!」
「お前らも作れるだろう?」
「いいえ! まあ、レシピを見ながら何とかやってますが」
「お前ら! こんないい店なんだから勉強しろ!」
「すいません!」
ヒロミやミカが恐縮する。
俺は4人に指導しながらカクテルを作らせた。
「もっとシェイクしろ!」
「ステアはゆっくり回せ!」
「きちんと計れ!」
「石神さんは適当でしたよね?」
「ばかやろう! 慣れないうちはちゃんと計れ!」
「すいません!」
頭をはたきながら、4人は一生懸命に作る。
その間にも注文が入るので、俺が全部対応した。
亜紀ちゃんと柳が来る。
「わたしもー」
「いしがみさーん」
「お前らはカクテルなんか早い!」
泣き真似をするので、俺は笑ってハイライフを二人に作ってやった。
「「やったぁー!」」
他の客もカウンターに来て、俺に注文し始めた。
「あの、この方はお客さんなんで」
ヒロミが説明するが、俺が笑って「良かったら作りますよ」と言った。
幾つか作ると、客も喜んだ。
響子にシンデレラを持って行った。
「なにこれ!」
「シンデレラというカクテルだ。お前も毛が生えたから、ちょっと飲んでみろよ」
「うん!」
響子は美味しいと言って喜んだ。
アルコールは入っていない。
「ちょっとずつ飲むんだぞ」
「うん! 分かった!」
小鉄と亜蘭にもヴァージン・チチを持って行ってやる。
「アルコールは入ってないからな。気分だけでも味わえよ」
「「ありがとうございます!」」
10時を過ぎて、最初に来られなかった「紅六花」の連中もやって来た。
先にいる連中が俺の作ったカクテルが美味いと教える。
俺はそろそろ飲みたかったのだが、笑って遅れて来た連中にも作ってやる。
みんな大喜びで飲んでくれた。
楽しく夜は更けて行った。
みんな「レッドオーガ」の操縦に慣れ、コースを楽しく回っている。
俺はミカが淹れてくれたアイスコーヒーを飲みながら眺めていた。
六花がニコニコ顔で寄って来る。
「楽しい!」
「そうか」
「こんな凄いマシンでも、操縦は慣れると本当に快適で」
「まあ、お前の場合大抵のマシンは乗りこなすよな」
俺がそう言うと、六花が嬉しそうに笑った。
ロボが俺に寄って来る。
俺に振り向き、「レッドオーガ」の方へ行く。
また俺に振り向く。
「なんだ、また乗りたいのか?」
「にゃ」
俺は笑ってロボを抱き上げて一緒に乗った。
六花が響子を抱いて乗る。
ゆっくりと走り出した。
俺たちがゆっくりなので、他の連中のマシンが追い越していく。
ロボが俺に振り向いて俺の腕を叩く。
「なんだよ、抜かされるのが嫌なのか」
「にゃ!」
俺はアクセルを開いた。
ギアはオートマチックだ。
みるみるスピードが上がる。
まあ、ロボは「レッドオーガ」のスピードで怖がるはずもない。
俺の「レッドオーガ」はどんどん前のマシンを抜いて行く。
「ニャー!」
ロボが喜んでいる。
だからますますスピードを上げた。
コーナーではアクセルを戻してタックインで旋回力を増して曲がる。
この「レッドオーガ」が2輪駆動であることで、そういうことが出来る。
他の連中は2輪駆動のバイクなど乗ったことはないから、知らない。
コーナーを曲がる度に、どんどん後続を引き離して行った。
六花が後ろで見ていて、響子を1周で降ろした。
俺の「走り」を見たからだ。
響子が文句を言う。
「もっと乗りたーい!」
「ちょっと後で!」
六花が俺の後ろに付いて、俺のコーナーリングを観察した。
六花もタックインを覚えた。
二人でどんどん追い抜き、引き離して行く。
だが、俺の方がマシンのことに熟知しているので、六花も引き離されて行った。
何周かして、俺はピットに戻った。
ロボが大満足で俺の顔を舐めた。
六花も戻って来る。
「全然追いつけませんでした!」
「まーなー」
響子が乗せろとうるさいので、俺がまた乗せてやった。
他のマシンが追い抜いていく。
「タカトラ! やっちゃって!」
「お前、死んじゃうだろう!」
俺は笑って、スピードを出さずに走った。
響子にもハンドルを持たせ、一緒に操縦した。
響子が喜んだ。
「楽しかった!」
「おう!」
夕方まで、みんなで楽しんだ。
「弱肉強食」に戻り、着替えて「虎酔花」に向かう。
今日は「紅六花」全員ではなく、自由参加だ。
酒を飲まない奴らがマイクロバスを運転する。
亜蘭も参加で、1台を運転してくれた。
50名ほどの人間が集まった。
ヒロミたちが出迎えてくれる。
今日はゴールデンウィークの稼ぎ時なので、貸切にはしていない。
4分の1程度を俺たちが占有しているだけだ。
料理はあらかじめ用意されているので、どんどん運んで来る。
全員が手伝っている。
他の客に顔見知りがいると、みんな挨拶していった。
「リッカランド」や「紅バギー」などの観光で来ている人たちもおり、地元の人間も多い。
「虎酔花」は非常に好調だった。
「大勢入っているな」
「はい! 今日はゴールデンウィークですので多いですが、いつもも結構来てもらってますよ」
「地元の人も多いんだな」
「そうです。何しろ料理も酒も美味いですし、雰囲気も最高ですからね」
「お安いしな!」
「ワハハハハハハ!」
そんなに安くはないが、飲み食いの仕方だ。
東京ならばバカ高い土地代が上乗せされるので、このグレードのレストランであれば随分とここは安いのだが。
ヒロミ、ミカ、キッチ、ラクは通常の店の仕事をしながら俺たちに付き合い、俺たちは自分たちで自由に飲み食いしている。
俺もサービスのつもりでカウンターに入った。
「おい、カクテルを飲みたい奴は俺に言え!」
すぐに六花が来て、マティーニを飲みたいと言った。
俺は笑って素早く作ってやる。
「石神さん、上手いですね!」
「まーなー」
六花が嬉しそうに口を付けた。
他の連中もカウンターに来てカクテルが飲みたいと言う。
「いいから、何が飲みたいんだよ?」
「あの、自分ら、そういうの知らないんで」
「バカ!」
俺は笑って適当にどんどん作り、好きな物を飲めと言った。
ダイキリ、ジントニック、ブラッディマリー、ソルティドッグ、名前の知られたものからヨコハマなどの珍しいものを。
「よしこはレモンサワーでいいか?」
「自分も是非カクテルをー!」
俺は笑ってミリオンダラーを作ってやった。
「お前は金持ちだからな!」
「ありがとうございます!」
赤い美しいカクテルだ。
よしこは喜んだ。
他の連中も綺麗な色に歓声を上げていたので、アズールやシーブリーズ、ストローハット、セントラルパークなどを作ってやる。
「石神さん! ほんとにスゴイですね!」
「お前らも作れるだろう?」
「いいえ! まあ、レシピを見ながら何とかやってますが」
「お前ら! こんないい店なんだから勉強しろ!」
「すいません!」
ヒロミやミカが恐縮する。
俺は4人に指導しながらカクテルを作らせた。
「もっとシェイクしろ!」
「ステアはゆっくり回せ!」
「きちんと計れ!」
「石神さんは適当でしたよね?」
「ばかやろう! 慣れないうちはちゃんと計れ!」
「すいません!」
頭をはたきながら、4人は一生懸命に作る。
その間にも注文が入るので、俺が全部対応した。
亜紀ちゃんと柳が来る。
「わたしもー」
「いしがみさーん」
「お前らはカクテルなんか早い!」
泣き真似をするので、俺は笑ってハイライフを二人に作ってやった。
「「やったぁー!」」
他の客もカウンターに来て、俺に注文し始めた。
「あの、この方はお客さんなんで」
ヒロミが説明するが、俺が笑って「良かったら作りますよ」と言った。
幾つか作ると、客も喜んだ。
響子にシンデレラを持って行った。
「なにこれ!」
「シンデレラというカクテルだ。お前も毛が生えたから、ちょっと飲んでみろよ」
「うん!」
響子は美味しいと言って喜んだ。
アルコールは入っていない。
「ちょっとずつ飲むんだぞ」
「うん! 分かった!」
小鉄と亜蘭にもヴァージン・チチを持って行ってやる。
「アルコールは入ってないからな。気分だけでも味わえよ」
「「ありがとうございます!」」
10時を過ぎて、最初に来られなかった「紅六花」の連中もやって来た。
先にいる連中が俺の作ったカクテルが美味いと教える。
俺はそろそろ飲みたかったのだが、笑って遅れて来た連中にも作ってやる。
みんな大喜びで飲んでくれた。
楽しく夜は更けて行った。
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