1,758 / 2,859
記念写真
しおりを挟む
中庭は皇紀が中心となってライトや椅子などを用意していた。
あらかじめ俺の指示で準備していた。
俺が全員を連れて行くと、椅子が9脚並んでいる。
院長夫妻を中心に、右の院長側に士王を抱いた栞、吹雪を抱いた六花、鷹。
左の静子さん側にロボを抱いた俺、天狼を抱いた麗星、早乙女夫婦。
後ろに子どもたち5人と桜花たち3人が並ぶ。
院長が俺を真ん中にしようとしたが、お二人に座って頂いた。
「石神、これで3人の子どもたちが全員揃ったんだな」
「はい。感無量ですよ。まさかこんな俺にこういう日が来るとはね」
「石神さん、ニジンスキーたちもいれば良かったですね」
また柳が空気を読まない発言をする。
「お、おう」
まったく無理なことを言いやがる。
「あ! タカさん!」
亜紀ちゃんが叫んだ。
「あんだよ!」
「野薔薇ちゃん!」
「!」
鬼娘が乗っかって余計なことを言いやがった。
まずはこのまま撮らせた。
念のために3枚撮る。
「タヌ吉! 野薔薇!」
庭を回って嬉しそうにタヌ吉と野薔薇が来た。
院長夫妻が驚いている。
「おい! 石神!」
「アハハハハハ!」
「お呼び頂きまして!」
「父上さまー!」
着物姿の美しいタヌ吉と、ゴスロリファッションの可愛らしい野薔薇が笑顔で俺の傍に来た。
俺は子どもたちに椅子をあと2脚用意させた。
早乙女達の隣に並べて置くと、早乙女と雪野さんが内側へ座れと誘導した。
タヌ吉と野薔薇が嬉しそうに礼を言う。
もう3枚撮った。
「ハイファ! いるんだろう! お前も入れ!」
ハイファが来た。
「レイ! お前も一緒だ! 響子、レイはどこだ?」
「タカトラの前に寝そべった」
「おし! ハスハ!」
俺の膝の間に、綺麗なドレス姿の童女が座った。
他の人間には見えないようだ。
写るかどうかは知らん。
俺も自棄になって呼んでみただけだ。
「じゃあ、写真を撮るぞ! 皇紀!」
「はい!」
皇紀がタイマーをセットした。
また3枚撮る。
「タヌ吉、野薔薇、ありがとうな! 引き続き蓮花と風花を頼むな!」
二人は笑ってまた庭を歩いて行った。
「ハイファもハスハも御苦労!」
二人が笑顔で会釈して消えた。
庭の向こうで、タヌ吉と野薔薇の「良かったね」と嬉しそうに話す声が聞こえた。
院長と静子さんが目を丸くしている。
その後も、それぞれの写真を撮った。
俺と栞、六花、麗星。
俺と士王、吹雪、天狼。
士王たち3人。
俺と個別に士王たち。
院長夫妻。
院長と栞、
院長夫妻と双子。
俺と栞と士王。
俺と六花と吹雪。
俺と麗星と天狼。
また一人ずつとツーショットを撮った。
様々な組み合わせで、あとは好きなように撮った。
数百枚にもなった。
「ああ、俺とこの壁の虎を撮ってくれ」
諸見の鏝絵の虎と撮った。
諸見に送ってやろう。
3人の子どもたちと一緒にも撮った。
諸見が喜ぶだろう。
「レイ! 一緒に撮ろう!」
俺はレイを呼んだ。
どこにいるのか分からん。
皇紀がシャッターを切った。
「あ!」
響子が叫んだ。
途端に口に手を充てた。
「ん?」
その後もみんながはしゃいでそれぞれ撮った。
俺は寒いので、院長夫妻と先に上に上がった。
紅茶を淹れる。
「楽しいな、石神」
「そうですね。みんなが揃いましたからね」
「ああ。もうこの家は寂しくないな」
「ちょっとうるさいですよ」
お二人が笑った。
先に風呂へ入って頂く。
内風呂だ。
俺は下へ降りて、みんなを「虎温泉」に誘った。
悪いが皇紀には院長夫妻を相手してもらう。
流石にこの人数では風呂も一杯になった。
余裕はあるが。
双子がかき氷を作って配った。
小さな子どもたちは、先に家に入れた。
俺がみんなから言われて、また『ペールギュント』の《ソルヴェイグの歌》を歌った。
全員が黙って聴いていた。
六花が『ともしび』を歌った。
みんなに上手くなったと言われて六花が喜んだ。
子どもたちがまた様々に歌い、みんなで楽しんだ。
全員で「ヒモダンス」を踊った。
院長たちが気になるので、一足早く俺だけ先に上がった。
寝間着に着替えて、家に戻る。
身体はホカホカだ。
冷たい夜風が気持ちいいくらいだった。
やはり「虎温泉」はいい。
リヴィングに戻ると、皇紀がさっきの写真をPCに出して院長たちと見ていた。
「おお、さっきのか」
「タカさん!」
皇紀が俺を見て慌てている。
院長たちも、様子がおかしい。
「どうした?」
皇紀が全員の集合写真を俺に見せた。
驚いた。
俺の前に大きな虎が寝そべっている。
レイがサイズを小さくしたようで、俺の足元しか隠していない。
「おい! レイが写ったのか!」
「それだけじゃないですよ!」
皇紀が指で示す。
ハイファやタヌ吉と野薔薇も写っている。
そして、普段は俺以外に見えないハスハまでちゃんと写っていた。
「僕、初めて見ましたよ!」
「おう」
レイは俺も観たことが無かった。
俺の思い出の記憶通りのあのレイだった。
本当に懐かしい。
しかし、ハスハまで写るとは。
「タカさん、一番は別にあるんです」
「なんだ?」
皇紀が諸見の鏝絵の前で撮った写真を見せた。
皇紀は順番に流して行く。
最初は俺一人。
士王、吹雪、天狼と。
そして……
「おい!」
レイが、あのレイチェル・コシノが俺の隣で微笑んでいた。
「タカさん!」
「石神!」
「石神さん!」
俺が泣き崩れたので、三人が叫んだ。
もう言葉が出なかった。
レイが、俺の隣で笑っていた。
あらかじめ俺の指示で準備していた。
俺が全員を連れて行くと、椅子が9脚並んでいる。
院長夫妻を中心に、右の院長側に士王を抱いた栞、吹雪を抱いた六花、鷹。
左の静子さん側にロボを抱いた俺、天狼を抱いた麗星、早乙女夫婦。
後ろに子どもたち5人と桜花たち3人が並ぶ。
院長が俺を真ん中にしようとしたが、お二人に座って頂いた。
「石神、これで3人の子どもたちが全員揃ったんだな」
「はい。感無量ですよ。まさかこんな俺にこういう日が来るとはね」
「石神さん、ニジンスキーたちもいれば良かったですね」
また柳が空気を読まない発言をする。
「お、おう」
まったく無理なことを言いやがる。
「あ! タカさん!」
亜紀ちゃんが叫んだ。
「あんだよ!」
「野薔薇ちゃん!」
「!」
鬼娘が乗っかって余計なことを言いやがった。
まずはこのまま撮らせた。
念のために3枚撮る。
「タヌ吉! 野薔薇!」
庭を回って嬉しそうにタヌ吉と野薔薇が来た。
院長夫妻が驚いている。
「おい! 石神!」
「アハハハハハ!」
「お呼び頂きまして!」
「父上さまー!」
着物姿の美しいタヌ吉と、ゴスロリファッションの可愛らしい野薔薇が笑顔で俺の傍に来た。
俺は子どもたちに椅子をあと2脚用意させた。
早乙女達の隣に並べて置くと、早乙女と雪野さんが内側へ座れと誘導した。
タヌ吉と野薔薇が嬉しそうに礼を言う。
もう3枚撮った。
「ハイファ! いるんだろう! お前も入れ!」
ハイファが来た。
「レイ! お前も一緒だ! 響子、レイはどこだ?」
「タカトラの前に寝そべった」
「おし! ハスハ!」
俺の膝の間に、綺麗なドレス姿の童女が座った。
他の人間には見えないようだ。
写るかどうかは知らん。
俺も自棄になって呼んでみただけだ。
「じゃあ、写真を撮るぞ! 皇紀!」
「はい!」
皇紀がタイマーをセットした。
また3枚撮る。
「タヌ吉、野薔薇、ありがとうな! 引き続き蓮花と風花を頼むな!」
二人は笑ってまた庭を歩いて行った。
「ハイファもハスハも御苦労!」
二人が笑顔で会釈して消えた。
庭の向こうで、タヌ吉と野薔薇の「良かったね」と嬉しそうに話す声が聞こえた。
院長と静子さんが目を丸くしている。
その後も、それぞれの写真を撮った。
俺と栞、六花、麗星。
俺と士王、吹雪、天狼。
士王たち3人。
俺と個別に士王たち。
院長夫妻。
院長と栞、
院長夫妻と双子。
俺と栞と士王。
俺と六花と吹雪。
俺と麗星と天狼。
また一人ずつとツーショットを撮った。
様々な組み合わせで、あとは好きなように撮った。
数百枚にもなった。
「ああ、俺とこの壁の虎を撮ってくれ」
諸見の鏝絵の虎と撮った。
諸見に送ってやろう。
3人の子どもたちと一緒にも撮った。
諸見が喜ぶだろう。
「レイ! 一緒に撮ろう!」
俺はレイを呼んだ。
どこにいるのか分からん。
皇紀がシャッターを切った。
「あ!」
響子が叫んだ。
途端に口に手を充てた。
「ん?」
その後もみんながはしゃいでそれぞれ撮った。
俺は寒いので、院長夫妻と先に上に上がった。
紅茶を淹れる。
「楽しいな、石神」
「そうですね。みんなが揃いましたからね」
「ああ。もうこの家は寂しくないな」
「ちょっとうるさいですよ」
お二人が笑った。
先に風呂へ入って頂く。
内風呂だ。
俺は下へ降りて、みんなを「虎温泉」に誘った。
悪いが皇紀には院長夫妻を相手してもらう。
流石にこの人数では風呂も一杯になった。
余裕はあるが。
双子がかき氷を作って配った。
小さな子どもたちは、先に家に入れた。
俺がみんなから言われて、また『ペールギュント』の《ソルヴェイグの歌》を歌った。
全員が黙って聴いていた。
六花が『ともしび』を歌った。
みんなに上手くなったと言われて六花が喜んだ。
子どもたちがまた様々に歌い、みんなで楽しんだ。
全員で「ヒモダンス」を踊った。
院長たちが気になるので、一足早く俺だけ先に上がった。
寝間着に着替えて、家に戻る。
身体はホカホカだ。
冷たい夜風が気持ちいいくらいだった。
やはり「虎温泉」はいい。
リヴィングに戻ると、皇紀がさっきの写真をPCに出して院長たちと見ていた。
「おお、さっきのか」
「タカさん!」
皇紀が俺を見て慌てている。
院長たちも、様子がおかしい。
「どうした?」
皇紀が全員の集合写真を俺に見せた。
驚いた。
俺の前に大きな虎が寝そべっている。
レイがサイズを小さくしたようで、俺の足元しか隠していない。
「おい! レイが写ったのか!」
「それだけじゃないですよ!」
皇紀が指で示す。
ハイファやタヌ吉と野薔薇も写っている。
そして、普段は俺以外に見えないハスハまでちゃんと写っていた。
「僕、初めて見ましたよ!」
「おう」
レイは俺も観たことが無かった。
俺の思い出の記憶通りのあのレイだった。
本当に懐かしい。
しかし、ハスハまで写るとは。
「タカさん、一番は別にあるんです」
「なんだ?」
皇紀が諸見の鏝絵の前で撮った写真を見せた。
皇紀は順番に流して行く。
最初は俺一人。
士王、吹雪、天狼と。
そして……
「おい!」
レイが、あのレイチェル・コシノが俺の隣で微笑んでいた。
「タカさん!」
「石神!」
「石神さん!」
俺が泣き崩れたので、三人が叫んだ。
もう言葉が出なかった。
レイが、俺の隣で笑っていた。
1
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
甘灯の思いつき短編集
甘灯
キャラ文芸
作者の思いつきで書き上げている短編集です。 (現在16作品を掲載しております)
※本編は現実世界が舞台になっていることがありますが、あくまで架空のお話です。フィクションとして楽しんでくださると幸いです。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
紹嘉後宮百花譚 鬼神と天女の花の庭
響 蒼華
キャラ文芸
始まりの皇帝が四人の天仙の助力を得て開いたとされる、その威光は遍く大陸を照らすと言われる紹嘉帝国。
当代の皇帝は血も涙もない、冷酷非情な『鬼神』と畏怖されていた。
ある時、辺境の小国である瑞の王女が後宮に妃嬪として迎えられた。
しかし、麗しき天女と称される王女に突きつけられたのは、寵愛は期待するなという拒絶の言葉。
人々が騒めく中、王女は心の中でこう思っていた――ああ、よかった、と……。
鬼神と恐れられた皇帝と、天女と讃えられた妃嬪が、花の庭で紡ぐ物語。
毒小町、宮中にめぐり逢ふ
鈴木しぐれ
キャラ文芸
🌸完結しました🌸生まれつき体に毒を持つ、藤原氏の娘、菫子(すみこ)。毒に詳しいという理由で、宮中に出仕することとなり、帝の命を狙う毒の特定と、その首謀者を突き止めよ、と命じられる。
生まれつき毒が効かない体質の橘(たちばなの)俊元(としもと)と共に解決に挑む。
しかし、その調査の最中にも毒を巡る事件が次々と起こる。それは菫子自身の秘密にも関係していて、ある真実を知ることに……。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる