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双子のサーフィン Ⅱ

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 すぐに全員のサーフボードを購入した。
 どれでも良かったのだが、双子が使っていたサンタクルズのショートボードを買った。
 ボディペイント、特殊メイクの確認もした。
 水着は特注で、「RUH=HER」で作らせた。
 皇紀がシリコンで全員分のものを作る。

 「僕、結構忙しいんだけどなー」
 「皇紀ちゃん、お願い!」
 「素敵なの作って!」
 「まっかせなさーい!」

 双子に頼まれ、いつも通りだった。
 俺のものを型取りする。

 俺はハワイの空軍基地に「タイガー・ファング」の離着陸を手配した。
 双子のイベントなので、院長夫妻も誘った。

 「ハワイか!」
 「はい、特別機を用意するんで、すぐに行って帰って来れますよ」
 「なんだ? ああ! パスポートの期限はどうだったかな」
 「大丈夫です。いりませんから」
 「?」

 俺は笑って、気軽に日帰りをするのだと話した。
 よく分からないという感じだったが、とにかく金曜日の午後15時に出発すると言った。
 院長はすぐにスケジュールを調整すると言った。
 まあ、週末はあまり予定を入れない人だ。
 ワイキキビーチに土曜日の午前10時という予定にしている。

 各種準備が整った。

 



 金曜日。
 俺は午前中に仕事を上がり、子どもたちと一緒に準備をした。
 双子が全員の背中にペイントを入れた。
 みんなが爆笑した。
 念のため、皇紀が作ったシリコンを装着したマスクを被ってみる。
 また爆笑した。
 柳がちょっと引き攣っていた。

 「俺のだからな!」
 「は、はい……」

 院長夫妻が1時半に来た。
 俺たちはもうアロハシャツを着ている。

 「石神、来たぞ」
 「じゃあ、行きますか!」

 静子さんは特別機でハワイに行って双子のサーフィンを見るとだけ聴いているようだ。
 
 「あの、石神さん? 本当に何も持たなくていいの?」
 「はい! 10分で着きますからね!」
 「え?」

 俺は笑って全員で「花見の家」に移動した。
 もう青嵐たちが機体を準備して待っている。

 「おい、あれに乗るのか!」
 「はい、俺たちの極秘事項なんですけどね。もう院長たちはいいや」
 「なんだ?」

 ルーとハーがニコニコして院長たちをシートに座らせ、ベルトで固定する。
 二人はそのままシートの背中に抱き着いた。
 万一の場合はお二人を助けるためだ。
 ロボも静子さんの足元に臥せった。

 俺が青嵐に合図し、出発した。
 午後14時40分。
 ハワイ、金曜日の19時55分に着いた。
 空軍基地で俺たちの歓迎会が用意されており、みんなで飲み食いした。
 基地の司令官や将校たちが何人か俺に挨拶に来る。
 院長夫妻は終始驚いていた。

 「石神、お前は本当にとんでもないことになっているんだな」
 「まあ、大変ですよ」

 俺は笑ってお二人が食べれそうなものを皿に盛って出した。

 「今日はこのままお休み下さい。明日はちょっと観光もしましょう」
 「あ、ああ」

 俺は改めてお二人に日本サーファー協会との話をした。

 「ああ! 俺たちもルーちゃんとハーちゃんから教えられて観たよ!」
 「そうですか。まあ、小学校の修学旅行でやらかしましてね。それでどうしても協会に欲しいって言われて」
 「まあ! 素敵ですね!」
 「いいえ! そんなことやってる時間は無いですからねぇ。一度パフォーマンスを見せて、日本人のサーファーだと宣伝出来るようにということで納得してもらうんです」
 「それを明日?」
 「そうです。俺たちもやりますよ」
 「そうなの! でも、みんな映像に撮られて大丈夫なの?」
 
 俺は静子さんにニヤリと笑った。

 「まあ、そこは明日のお楽しみで」
 「また悪いことを考えてるんでしょう」
 「そうですよ。俺は悪人ですからね」

 院長と静子さんが笑った。
 やっと緊張も解けたようだ。

 



 翌朝。
 基地で朝食を食べ、8時半に出発した。
 俺たちは軍用トラックの荷台に乗り、院長夫妻は将校の持ち物のベンツに乗って頂いた。
 基地の連中も、俺たちがワイキキビーチでサーフィンをすると聞いて、大勢ついてきた。

 9時過ぎにビーチに着くと、大勢の人間が集まっていた。
 この有名なビーチを独占するために、日本サーファー協会は伝説となった双子がまたライディングするのだと宣伝したそうだ。
 だから他のサーファーには一時間ビーチを空けて欲しいと。
 上手い方法を考えたものだ。

 まあ、そのために世界中のサファーが見物に集まったわけだ。
 俺たちを見つけて協会長や平城氏が駆け寄って来る。

 「今日は本当にありがとうございました」
 「いいえ」

 でかいテレビカメラもあった。
 CSの放送局の人間だ。
 他にも膨大なカメラガ構えられている。
 個人的にも撮影しようと思っている連中だ。

 天候は晴れ、波もいい感じらしい。
 まあ、俺にはよく分からんが。

 「じゃあ、最初はルーさんとハーさんで、後から皆さんも加わる感じで」
 「はい」

 院長夫妻にはディレクターチェアに座って頂く。
 ロボも静子さんの隣のビーチチェアに横たわる。
 俺の指定で紅茶を用意してもらった。

 「じゃあ、そろそろやりますね」
 「ああ」

 お二人に挨拶し、俺たちは服を脱いで水着になった。

 「「!」」

 院長夫妻が驚いている。
 協会長たちも、他のサーファーや基地からの見物人たちも驚愕していた。

 俺たちの背中には巨大な怒張した男根が、血管を浮き出させて描かれている。
 皇紀が全員にマスクを配った。
 頭に被るタイプで、額に俺の型取りをした男根が聳えている。
 全員の水着の股間には、縮れた長い剛毛がこれでもかとはみ出て生えている。

 「石神さん!」

 平城氏が叫んだが、俺は無視してパフォーマンスを始めた。
 双子が見事なエアーなどを披露し、俺たちも加わってライディングする。
 浜辺から次々と歓声が起きた。
 
 「ゴールド! ホホジロザメだ!」

 俺が叫ぶと、沖合から物凄いスピードででかいサメの群れが来た。
 全員でサメに乗ってライディングする。
 大歓声が起きた。
 俺が「サメエアー」で200メートルジャンプした。

 「じゃあ、これで」
 「……」

 呆然としている協会長たちを置いて、俺たちは基地へ帰った。
 特殊な溶剤でペイントを落とし、全員でホノルルで食事をした。

 「石神、お前はまったく……」
 「ワハハハハハ!」

 院長は呆れていたが、静子さんが笑い出すと一緒に笑った。
 少し観光をし、夕飯も食べてから、日本には日曜日の午後3時に戻った。
 
 


 みんなでお茶にし、楽しく笑った。

 「楽しんでいただけました?」
 「お前、あれを笑えと言うのか」
 「え? 笑ってましたよね?」

 院長が難しい顔をしようとしたが、破顔した。

 「ワハハハハハ!」

 みんなで爆笑した。



 後日、日本サーファー協会から連絡が来て、映像を修正していいかと聞かれた。
 俺が断ると、諦めたようだった。
 結局CSではモザイクがかかった映像が放映された。
 だが、有名な動画サイトで誰かが撮影した無修正の動画が流れ、そっちの方が人気が出た。

 一ヶ月で300億PVを超える閲覧数になった。

 余談だが、皇紀が作った俺の型取りマスクは、六花が欲しがった。
 六花に2つやり、栞と鷹、麗星、あとは蓮花にも送った。
 六花以外は困っていた。
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