1,686 / 2,859
大銀河連合「天下一ぶ Ⅱ
しおりを挟む
控室で一旦待機となった。
まだ他の闘技場で予選が終わっていないためだ。
疲労は微塵もない。
そういう設定になっているのだろう。
これならば連戦も不都合が無い。
「やってみてどうだった?」
「全然余裕でしたね」
「一度も攻撃が当たってないよ」
「ちょっと速い奴もいたけど、私たちほどじゃないね」
「一発喰らってみましたけど、何ともありませんでした」
「戦闘力たったの5か…ゴミめ…」
「おい!」
柳が不穏なことを言うので辞めさせた。
子どもたちも自分たちの実力が測れ、肩の力が抜けたようだ。
《グランマザー》が入って来た。
「お待たせいたしました。時間を加速し、只今予選終了でございます。トーナメント大会に移行しますので、どうぞこちらへ」
案内されたのは、広大な四角い闘技場だった。
非常に広い。
一辺が1キロにもなる広さで、その周囲に観客席が設けられている。
大勢の生命体がひしめいて座っている。
「決勝トーナメントは観客がおります。格闘技の好きな種族がこの大会を楽しみにしております」
「おい、大会名は言うなよ!」
「かしこまりました」
既にトーナメントの順番は決まっていた。
《グランマザー》が公平にランダムに決定しているらしい。
最初の試合があった。
俺たちも選手控えの観客席で観覧する。
6名の集団戦のようだ。
結構激しいバトルで、流石は予選を勝ち抜いた連中だ。
「どんな激しい攻撃も、観客席には届きません」
「観客も本体は別な場所なんだろう?」
「はい。でも痛みは感じますので」
「なるほどな」
俺たちの番になった。
見て来た限りでは、通用すると感じた。
「パッコロ星人ですって」
「ちょっとヤバいな」
「そうですか?」
「いや、色々な」
「?」
緑色の硬そうな皮膚の身体で、顔に触角のようなものがある。
身長3メートルほどの逞しい連中だ。
試合開始と同時に、パッコロ星人の身体がブレた。
「気を付けろ! 速いぞ!」
俺たちも高速機動で攻撃した。
闘技場のあちこちで激突する音と粉砕されて飛び散る身体が振り撒かれる。
子どもたちのものではない。
1分後、撃破した俺たちだけが立っていた。
会場から割れんばかりの歓声が沸く。
実況中継のアナウンサーらしき奴が、パッコロ星人が優勝候補の一角であったことを叫び、俺たちの見事な勝利を称えた。
第一試合が全て終わり、25組のチームが残った。
中には負傷している者もいるが、交代要員は認められていないようだ。
非常にシンプルな大会だった。
最後に戦ったチームがシードになり、24チームで第二試合を始める。
「タカさん、次は大技、いいですか!」
「まだ出すな。次は分かりにくいように「震花」も出していい」
「わかりましたー」
「星はこわせても…たったひとりの人間はこわせないようだな……」
「柳、だから辞めろって」
「こないだ全巻読んだんで」
「やめとけよ」
第二試合。
俺たちの相手はネッパ星人。
大丈夫か?
全身をゴツゴツとしたメタルのようなもので覆われたタイプで、5メートルの筋骨たくましい連中だ。
試合開始となっても動かないで腕を組んで笑っていた。
先ほどの俺たちの戦いを見ているはずだ。
皇紀と柳が「槍雷」を放った。
体表でレジストされた。
「お前たちのような攻撃は知っている。体内の闘気を使う技だな」
「へぇー」
亜紀ちゃんが獰猛に笑い、特大の「震花」を撃った。
ネッパ星人たちが掻き消えた。
まあ、俺たちの技は「体内」じゃねぇからな。
また大歓声が沸いた。
「ネッパ星人は防御力に関しては大会一! それを呆気なく破壊しましたぁ!」
アナウンサーが熱狂している。
俺たちは他の試合も見学したが、幾つか気になるチームはあった。
「あのフリーザって連中は強そうですね」
「ハリーザだ! 絶対に間違えんじゃねぇ!」
「すいません」
「落ちこぼれだって必死に努力すりゃ、エリートを超えることがあるかもよ」
「だから柳、やめろって」
「すいません」
第三試合。
いよいよベスト8だ。
相当強い連中が上がって来ているはずだった。
「俺たちが実力を隠していたように、この連中もまだ本気を出していないはずだ!」
「「「「「はい!」」」」」
「ここからは大技を順番にぶちかます。まずは「ブリューナク」だ」
「「「「「はい!」」」」」
相手はハリーザ星人。
意外にも小さく、身長2メートル前後。
全身が鎧のような外骨格に覆われている。
人型だが、尻に太い尾があった。
試合開始と同時に、集団が散開して何かを撃ち込んで来た。
「皇紀!」
「はい!」
皇紀が前に出て、「大闇月」で攻撃を防いだ。
皇紀の構えた両腕が焼ける。
「大丈夫ですから!」
俺たちも散開し、それぞれ「ブリューナク」を撃った。
しかし超スピードでかわして行き、1体しか斃せない。
「トールハンマー!」
俺が特大の「トールハンマー」を放ち、敵の上に激しい雷撃を落とした。
一瞬で焼き焦がされて俺たちの勝利が決まった。
「なんという威力! ここまでの破壊力は大会史上でも幾つもありません!」
またアナウンサーが興奮していた。
「タカさん! 「ブリューナク」縛りだって言ってましたよね!」
「しょうがねぇだろう!」
「あーん! 私が撃ちたかったぁー!」
俺は皇紀の腕を診た。
一部に火傷はあるが、支障は無さそうだった。
「よく初撃からみんなを守ってくれたな」
「いいえ!」
「きさまといた数ヶ月、わるくなかったぜ……」
「死んでないよー!」
「……」
みんなで他の試合を見た。
やはりまだ実力を隠していたようだ。
特に二組のチームの力は圧倒的だった。
俺たちと同様に大技を持っていて、敵チームを瞬殺していた。
「あれは不味いな」
「セル星人と魔人ブウ星人ですね」
「サル星人と魔人ボウ星人だ! お前! わざと言ったかぁ!」
亜紀ちゃんの頭を引っぱたく。
「ねぇタカさん! 次は「最後の涙」を撃っていいでしょう!」
「分かったよ」
亜紀ちゃんがニコニコしていた。
まだ他の闘技場で予選が終わっていないためだ。
疲労は微塵もない。
そういう設定になっているのだろう。
これならば連戦も不都合が無い。
「やってみてどうだった?」
「全然余裕でしたね」
「一度も攻撃が当たってないよ」
「ちょっと速い奴もいたけど、私たちほどじゃないね」
「一発喰らってみましたけど、何ともありませんでした」
「戦闘力たったの5か…ゴミめ…」
「おい!」
柳が不穏なことを言うので辞めさせた。
子どもたちも自分たちの実力が測れ、肩の力が抜けたようだ。
《グランマザー》が入って来た。
「お待たせいたしました。時間を加速し、只今予選終了でございます。トーナメント大会に移行しますので、どうぞこちらへ」
案内されたのは、広大な四角い闘技場だった。
非常に広い。
一辺が1キロにもなる広さで、その周囲に観客席が設けられている。
大勢の生命体がひしめいて座っている。
「決勝トーナメントは観客がおります。格闘技の好きな種族がこの大会を楽しみにしております」
「おい、大会名は言うなよ!」
「かしこまりました」
既にトーナメントの順番は決まっていた。
《グランマザー》が公平にランダムに決定しているらしい。
最初の試合があった。
俺たちも選手控えの観客席で観覧する。
6名の集団戦のようだ。
結構激しいバトルで、流石は予選を勝ち抜いた連中だ。
「どんな激しい攻撃も、観客席には届きません」
「観客も本体は別な場所なんだろう?」
「はい。でも痛みは感じますので」
「なるほどな」
俺たちの番になった。
見て来た限りでは、通用すると感じた。
「パッコロ星人ですって」
「ちょっとヤバいな」
「そうですか?」
「いや、色々な」
「?」
緑色の硬そうな皮膚の身体で、顔に触角のようなものがある。
身長3メートルほどの逞しい連中だ。
試合開始と同時に、パッコロ星人の身体がブレた。
「気を付けろ! 速いぞ!」
俺たちも高速機動で攻撃した。
闘技場のあちこちで激突する音と粉砕されて飛び散る身体が振り撒かれる。
子どもたちのものではない。
1分後、撃破した俺たちだけが立っていた。
会場から割れんばかりの歓声が沸く。
実況中継のアナウンサーらしき奴が、パッコロ星人が優勝候補の一角であったことを叫び、俺たちの見事な勝利を称えた。
第一試合が全て終わり、25組のチームが残った。
中には負傷している者もいるが、交代要員は認められていないようだ。
非常にシンプルな大会だった。
最後に戦ったチームがシードになり、24チームで第二試合を始める。
「タカさん、次は大技、いいですか!」
「まだ出すな。次は分かりにくいように「震花」も出していい」
「わかりましたー」
「星はこわせても…たったひとりの人間はこわせないようだな……」
「柳、だから辞めろって」
「こないだ全巻読んだんで」
「やめとけよ」
第二試合。
俺たちの相手はネッパ星人。
大丈夫か?
全身をゴツゴツとしたメタルのようなもので覆われたタイプで、5メートルの筋骨たくましい連中だ。
試合開始となっても動かないで腕を組んで笑っていた。
先ほどの俺たちの戦いを見ているはずだ。
皇紀と柳が「槍雷」を放った。
体表でレジストされた。
「お前たちのような攻撃は知っている。体内の闘気を使う技だな」
「へぇー」
亜紀ちゃんが獰猛に笑い、特大の「震花」を撃った。
ネッパ星人たちが掻き消えた。
まあ、俺たちの技は「体内」じゃねぇからな。
また大歓声が沸いた。
「ネッパ星人は防御力に関しては大会一! それを呆気なく破壊しましたぁ!」
アナウンサーが熱狂している。
俺たちは他の試合も見学したが、幾つか気になるチームはあった。
「あのフリーザって連中は強そうですね」
「ハリーザだ! 絶対に間違えんじゃねぇ!」
「すいません」
「落ちこぼれだって必死に努力すりゃ、エリートを超えることがあるかもよ」
「だから柳、やめろって」
「すいません」
第三試合。
いよいよベスト8だ。
相当強い連中が上がって来ているはずだった。
「俺たちが実力を隠していたように、この連中もまだ本気を出していないはずだ!」
「「「「「はい!」」」」」
「ここからは大技を順番にぶちかます。まずは「ブリューナク」だ」
「「「「「はい!」」」」」
相手はハリーザ星人。
意外にも小さく、身長2メートル前後。
全身が鎧のような外骨格に覆われている。
人型だが、尻に太い尾があった。
試合開始と同時に、集団が散開して何かを撃ち込んで来た。
「皇紀!」
「はい!」
皇紀が前に出て、「大闇月」で攻撃を防いだ。
皇紀の構えた両腕が焼ける。
「大丈夫ですから!」
俺たちも散開し、それぞれ「ブリューナク」を撃った。
しかし超スピードでかわして行き、1体しか斃せない。
「トールハンマー!」
俺が特大の「トールハンマー」を放ち、敵の上に激しい雷撃を落とした。
一瞬で焼き焦がされて俺たちの勝利が決まった。
「なんという威力! ここまでの破壊力は大会史上でも幾つもありません!」
またアナウンサーが興奮していた。
「タカさん! 「ブリューナク」縛りだって言ってましたよね!」
「しょうがねぇだろう!」
「あーん! 私が撃ちたかったぁー!」
俺は皇紀の腕を診た。
一部に火傷はあるが、支障は無さそうだった。
「よく初撃からみんなを守ってくれたな」
「いいえ!」
「きさまといた数ヶ月、わるくなかったぜ……」
「死んでないよー!」
「……」
みんなで他の試合を見た。
やはりまだ実力を隠していたようだ。
特に二組のチームの力は圧倒的だった。
俺たちと同様に大技を持っていて、敵チームを瞬殺していた。
「あれは不味いな」
「セル星人と魔人ブウ星人ですね」
「サル星人と魔人ボウ星人だ! お前! わざと言ったかぁ!」
亜紀ちゃんの頭を引っぱたく。
「ねぇタカさん! 次は「最後の涙」を撃っていいでしょう!」
「分かったよ」
亜紀ちゃんがニコニコしていた。
1
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
毒小町、宮中にめぐり逢ふ
鈴木しぐれ
キャラ文芸
🌸完結しました🌸生まれつき体に毒を持つ、藤原氏の娘、菫子(すみこ)。毒に詳しいという理由で、宮中に出仕することとなり、帝の命を狙う毒の特定と、その首謀者を突き止めよ、と命じられる。
生まれつき毒が効かない体質の橘(たちばなの)俊元(としもと)と共に解決に挑む。
しかし、その調査の最中にも毒を巡る事件が次々と起こる。それは菫子自身の秘密にも関係していて、ある真実を知ることに……。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました
成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。
天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。
学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる