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大銀河連合「天下一ぶ Ⅱ

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 控室で一旦待機となった。
 まだ他の闘技場で予選が終わっていないためだ。
 疲労は微塵もない。
 そういう設定になっているのだろう。
 これならば連戦も不都合が無い。

 「やってみてどうだった?」
 「全然余裕でしたね」
 「一度も攻撃が当たってないよ」
 「ちょっと速い奴もいたけど、私たちほどじゃないね」
 「一発喰らってみましたけど、何ともありませんでした」
 「戦闘力たったの5か…ゴミめ…」
 「おい!」

 柳が不穏なことを言うので辞めさせた。
 子どもたちも自分たちの実力が測れ、肩の力が抜けたようだ。

 《グランマザー》が入って来た。

 「お待たせいたしました。時間を加速し、只今予選終了でございます。トーナメント大会に移行しますので、どうぞこちらへ」

 案内されたのは、広大な四角い闘技場だった。
 非常に広い。
 一辺が1キロにもなる広さで、その周囲に観客席が設けられている。
 大勢の生命体がひしめいて座っている。

 「決勝トーナメントは観客がおります。格闘技の好きな種族がこの大会を楽しみにしております」
 「おい、大会名は言うなよ!」
 「かしこまりました」

 既にトーナメントの順番は決まっていた。
 《グランマザー》が公平にランダムに決定しているらしい。

 最初の試合があった。
 俺たちも選手控えの観客席で観覧する。
 6名の集団戦のようだ。
 結構激しいバトルで、流石は予選を勝ち抜いた連中だ。

 「どんな激しい攻撃も、観客席には届きません」
 「観客も本体は別な場所なんだろう?」
 「はい。でも痛みは感じますので」
 「なるほどな」

 俺たちの番になった。
 見て来た限りでは、通用すると感じた。

 「パッコロ星人ですって」
 「ちょっとヤバいな」
 「そうですか?」
 「いや、色々な」
 「?」

 緑色の硬そうな皮膚の身体で、顔に触角のようなものがある。
 身長3メートルほどの逞しい連中だ。

 試合開始と同時に、パッコロ星人の身体がブレた。

 「気を付けろ! 速いぞ!」

 俺たちも高速機動で攻撃した。
 闘技場のあちこちで激突する音と粉砕されて飛び散る身体が振り撒かれる。
 子どもたちのものではない。
 1分後、撃破した俺たちだけが立っていた。
 会場から割れんばかりの歓声が沸く。
 実況中継のアナウンサーらしき奴が、パッコロ星人が優勝候補の一角であったことを叫び、俺たちの見事な勝利を称えた。

 第一試合が全て終わり、25組のチームが残った。
 中には負傷している者もいるが、交代要員は認められていないようだ。
 非常にシンプルな大会だった。

 最後に戦ったチームがシードになり、24チームで第二試合を始める。

 「タカさん、次は大技、いいですか!」
 「まだ出すな。次は分かりにくいように「震花」も出していい」
 「わかりましたー」
 「星はこわせても…たったひとりの人間はこわせないようだな……」
 「柳、だから辞めろって」
 「こないだ全巻読んだんで」
 「やめとけよ」

 


 第二試合。
 俺たちの相手はネッパ星人。
 大丈夫か?
 全身をゴツゴツとしたメタルのようなもので覆われたタイプで、5メートルの筋骨たくましい連中だ。

 試合開始となっても動かないで腕を組んで笑っていた。
 先ほどの俺たちの戦いを見ているはずだ。

 皇紀と柳が「槍雷」を放った。
 体表でレジストされた。

 「お前たちのような攻撃は知っている。体内の闘気を使う技だな」
 「へぇー」

 亜紀ちゃんが獰猛に笑い、特大の「震花」を撃った。
 ネッパ星人たちが掻き消えた。
 まあ、俺たちの技は「体内」じゃねぇからな。

 また大歓声が沸いた。

 「ネッパ星人は防御力に関しては大会一! それを呆気なく破壊しましたぁ!」

 アナウンサーが熱狂している。

 俺たちは他の試合も見学したが、幾つか気になるチームはあった。

 「あのフリーザって連中は強そうですね」
 「ハリーザだ! 絶対に間違えんじゃねぇ!」
 「すいません」
 「落ちこぼれだって必死に努力すりゃ、エリートを超えることがあるかもよ」
 「だから柳、やめろって」
 「すいません」




 第三試合。
 いよいよベスト8だ。
 相当強い連中が上がって来ているはずだった。

 「俺たちが実力を隠していたように、この連中もまだ本気を出していないはずだ!」
 「「「「「はい!」」」」」
 「ここからは大技を順番にぶちかます。まずは「ブリューナク」だ」
 「「「「「はい!」」」」」

 相手はハリーザ星人。
 意外にも小さく、身長2メートル前後。
 全身が鎧のような外骨格に覆われている。
 人型だが、尻に太い尾があった。

 試合開始と同時に、集団が散開して何かを撃ち込んで来た。

 「皇紀!」
 「はい!」

 皇紀が前に出て、「大闇月」で攻撃を防いだ。
 皇紀の構えた両腕が焼ける。

 「大丈夫ですから!」

 俺たちも散開し、それぞれ「ブリューナク」を撃った。
 しかし超スピードでかわして行き、1体しか斃せない。

 「トールハンマー!」

 俺が特大の「トールハンマー」を放ち、敵の上に激しい雷撃を落とした。
 一瞬で焼き焦がされて俺たちの勝利が決まった。

 「なんという威力! ここまでの破壊力は大会史上でも幾つもありません!」

 またアナウンサーが興奮していた。

 「タカさん! 「ブリューナク」縛りだって言ってましたよね!」
 「しょうがねぇだろう!」
 「あーん! 私が撃ちたかったぁー!」

 俺は皇紀の腕を診た。
 一部に火傷はあるが、支障は無さそうだった。
 
 「よく初撃からみんなを守ってくれたな」
 「いいえ!」
 「きさまといた数ヶ月、わるくなかったぜ……」
 「死んでないよー!」
 「……」

 みんなで他の試合を見た。
 やはりまだ実力を隠していたようだ。
 特に二組のチームの力は圧倒的だった。
 俺たちと同様に大技を持っていて、敵チームを瞬殺していた。

 「あれは不味いな」
 「セル星人と魔人ブウ星人ですね」
 「サル星人と魔人ボウ星人だ! お前! わざと言ったかぁ!」

 亜紀ちゃんの頭を引っぱたく。

 「ねぇタカさん! 次は「最後の涙」を撃っていいでしょう!」
 「分かったよ」




 亜紀ちゃんがニコニコしていた。
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