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将棋と花火

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 別荘では、響子がロボと寝ていた。
 俺はそっとシャワーを浴びさせた六花を隣に寝かせる。
 吹雪は早乙女たちが預かっていてくれ、怜花と一緒にリヴィングに置いたベビーベッドで眠っていた。

 「六花さんは大丈夫か? 大分疲弊していたけど」
 「大丈夫だよ」

 聞いていた双子がまた「ギャハハハハハハ」と笑った。
 3時前だったが、みんなでお茶にした。
 子どもたちが作ったパンプキンプリンを食べる。

 「レイが好きだったんでな。ここでも食べたんで毎回作るようになったんだ」
 「そうか」

 「ここは何にもないからな。飲み食いすることが中心みたいでなぁ」
 「アハハハハハ!」

 あとどれだけの時間、こうしてのんびりとみんなで過ごせるのだろうか。
 
 「前に大鰻大会をしましたよね!」

 亜紀ちゃんが笑って言う。

 「やったよなぁ。俺が全部焼いたんだよな」
 「次は私たちも手伝いましたよ!」
 「お前ら、手伝った以上に喰うじゃん」
 「そんなことないですよー!」

 よく言えたもんだ。
 まあ、今となっては全部楽しい思い出だ。
 
 「ああ、そうだ。後から正式に頼むけどな、羽入と紅を借りることになるぞ」
 「そうなのか?」
 「ある場所から大勢の人間を救出する作戦があるんだ。うちの子どもたちも全員で出撃する。アラスカからも、米軍も応援に入る」
 「随分と大きな作戦なのか?」
 「そうだ。今はまだ詳しくは話せないけどな」
 「分かった。お前に出来るだけ協力するよ。俺や他の「アドヴェロス」も必要なら言ってくれ」
 「ありがとう。その時は頼むよ」

 早乙女達に少し寝たらどうかと言ったが、大丈夫だと言われた。
 早乙女を将棋に誘った。

 全然相手にならなかった。
 
 「私も宜しいですか?」

 雪野さんがやりたがるので、相手になった。
 結構強い。

 「子どもの頃に将棋会に入ってましたの」
 「道理で!」
 「久し振りなんですが」
 「いや、お強いですよ。旦那はダメダメですが」
 「ウフフフフ。仇を討たせていただきます」

 結局、俺が勝った。

 「まあ、負けるとは思いませんでした」
 「いや、次は自信がありませんね」

 早乙女がもうちょっとだったと言った。

 「お前に分かんのかよ!」
 「わ、分かるよ!」

 みんなが笑った。

 「そういえば、麻雀って出来るか?」
 「ああ、以前は上司によく付き合わされた」

 雪野さんも家族麻雀をよくしていたらしい。

 「響子にやらせようと思ってさ、前に麻雀台を買ってみんなでやったんだよ」
 「そうなのか?」
 「最高の機械を買ったんだけどな。一度しかやってないんだ」
 「もったいないな」

 亜紀ちゃんがその顛末を説明した。

 「タカさんが入ると、最初で上がっちゃうんですよ!」
 「ワハハハハハ!」
 「コクシムソウ? もう揃ってるんです。響子ちゃんが泣き出しちゃって」
 「カワイかったよな?」
 「もう!」

 今度俺の家でやろうということになった。

 「将棋は伯父が好きだったもので、私も興味を持って」
 「そうなんですか」
 「ああ、石神。西条さんには釣りに誘われているんだよ」
 「へぇー」
 「お前たちも一緒にどうだ?」
 「俺たちが?」
 
 早乙女が誘って来た。

 「うん。西条さんも、石神たちに会いたいって言ってるんだ。いつも「アドヴェロス」に協力してもらっているからな」
 「でも、釣りは子どもたちもほとんどやったことないぞ?」
 「大丈夫だよ。行ってみれば楽しいものだぞ?」

 早乙女は何度か行っているらしい。

 「まあ、機会があればな。俺たちも結構忙しいしな」
 「うん、いつでも言ってくれ」

 今後の早乙女の活動にも関わるかもしれない。
 前向きに考えることにした。

 


 夕飯は海鮮フレンチだ。
 これも恒例になって来ている。
 双子が中心となって作った。

 「石神さんと一緒にいると、絶対に太りますよね」

 雪野さんが笑って言った。
 早乙女が太っても構わないと言う。

 「あなたは良くても、私が嫌なんです!」
 「ごめん」

 みんなが笑った。

 「響子も太っていいぞ?」
 「タカトラが良くても、私が嫌なんです!」

 みんながまた笑った。

 「でも、お前、すげぇデブになったじゃん」
 「知らない」

 響子が使っていた菓子の隠し場所は、今は六花の育児室になっている。
 だから響子は隠れて菓子を食べられなくなった。
 まあ、そんな殊勝なタマではないことを、後に知ることになる。
 食事の後で、花火をやった。
 怜花と吹雪が不思議そうに見ていた。
 六花は響子と青い花火をやる。
 早乙女と雪野さんも楽しんでいた。
 自分で花火をするなど、しばらく無かっただろう。

 「石神! 花火っていいな!」
 「そうかよ。お前も家でやれよ」
 「うん!」

 場所は幾らでもある。
 子どもたちはいつも通りはしゃいでどんどん楽しんでいる。
 雪野さんが怜花を抱き、六花が吹雪を抱いて、それを見せている。
 花火を一部早乙女に渡した。
 嬉しそうに受け取っていた。





 順番に風呂に入り、「幻想空間」の準備をする。

 アサリの酒蒸し。
 大根のそぼろ煮。
 トリガイの天ぷら。
 身欠きにしん。
 牛カツ(ケダモノ用大量)。
 唐揚げ(ケダモノ用大量)。
 冷奴。
 酒は冷酒にした。
 皇紀と双子はファミマのメロンミルク(ちょっと高い)をドン・ペリのアイスペールに入れている。
 六花は梅酒のソーダ割りだ。

 「さて! 今日はどんなお話かなー!」

 亜紀ちゃんがニコニコして言った。

 「おい! たまにはお前らも話せよ!」
 「えー!」
 「ルー! なんか無いのか?」
 「じゃー」
 「え! あるの!」

 亜紀ちゃんが驚く。

 「こないだ、盛岡に行った時に虎白さんから聞いた話」
 「ん?」
 「タカさんは気絶してたじゃん。私とハーだけが聞いたの」
 「そうなのか」
 「タカさん、虎影さんのお話だけど、いい?」
 「あ? お、おう!」

 ルーが話し出した。
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