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「カタ研」親睦合宿 Ⅱ

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 夕方まで、勉強会を開いた。
 ルーとハーが大型のディスプレイを運んできて、柳さんが映像を流す。
 今日は「太陽界」の同時多発テロだ。
 サンシャイン通りでの惨状が映って行く。
 激しく破壊された遺体にはモザイクが掛かっているが、陽菜と茜は気分が悪くなったようだ。
 私たちの顔と身体にもモザイクがかかっている。
 
 「あ! あれは!」

 鬼の顔をした体長5メートルの怪物5体。
 瞬時に私が斃した。
 続いてハーの行った原宿竹下通りの映像。
 赤い鱗で覆われた四本腕の怪物たち。
 それも「一葉」で斃す。
 ルーの行った都庁展望での攻撃も簡単に終わった。

 「今、警察の公安でこういった怪物を相手にする特殊部隊があるの。そこから入手した映像よ」

 ジョナサンが立ち上がって拍手をしていた。
 
 「素晴らしい! 特殊能力を持つ人間は、悪と戦わなければならない!」
 
 みんながジョナサンを見ている。

 「どうして石神さんたちはこの映像を?」

 坂上さんが聞いた。

 「タカさんが特殊部隊のトップと知り合いなの。タカさんも「業」との戦いに無関係ではいられないと言ってる。特殊部隊に協力もしているのね」
 「それは!」
 「私もそう。この「カタ研」で出来るだけのことをしたいと思ってる。どういうことが出来るのかはわからないけどね」
 「「業」のテロリスト集団が、世界を滅ぼすということかな?」
 「それはあり得ることだと思う。この映像を見て下さい」

 ルーがジェヴォーダンとの海上戦での映像を流した。
 
 「柳さんの実家が襲われたものは「陸戦タイプ」だったけど、最初はこの「海戦タイプ」だったの。誰もこんな怪物がいるなんて想像もしていなかった」

 米軍の艦砲や戦闘機のミサイル攻撃が無効だったことが分かる。
 映像はそこで終わっていた。

 「こんな巨大な怪物をどうやって斃したんだ?」
 「「虎」の軍ですよ。強大な戦力で、一気に斃したそうです」
 「そうなのか!」

 映像を観終わって、みんなでディスカッションした。
 
 「核ミサイルはどうなのかな」
 「多分、当たれば有効。でも、ミサイルが飛んで来るまでじっとしてないと思う」
 「「海戦型」のジェヴォーダンは海上を時速500キロで移動してたそうです」
 「じゃあ、核爆弾を準備した土地へ誘導すれば」
 「1メガトンの核爆弾の場合、半径2.5キロの範囲でビルの倒壊が起きます。その範囲内にジェヴォーダンがいれば効果はあるかと思います」
 「でも、どうやって誘導するの?」
 「多分、その使い方は都市部での最後の手段になるかと思います」
 「どういうこと?」
 「ジェヴォーダンに蹂躙される前に、自決するということです」
 「!」
 「その他の武器は?」
 「「虎」の軍はレールガンでの撃破も出来るようです」
 「それだ!」
 「でも、その技術は非常に高度で、公開されていません」
 「何故だろう? レールガンがあれば一緒に戦えるのに」
 「それは、超兵器がその後の戦争に多大な影響を与えるからです」
 「そんな! 話し合って使わないようにすればいいじゃないか!」
 「坂上さん。それは今の核兵器でも同じことですよ。出来てませんよね?」
 「うぅ……」

 様々な意見がディスカッションされた。
 もちろん有効なものはまだ出ない。
 それでも、問題意識を確認するという点では有用なものとなった。

 「じゃあ、一服してから、そろそろ夕飯の準備をしましょうか」

 全員で紅茶を飲んだ。
 ルーとハーが小さな和三盆の菓子を配った。
 さっきのケーキもそうだが、パレボレのものは双子が自分たちで食べた。

 「……」

 


 私、ルーとハーが中心になって食材のカットをしていく。
 特に肉だ。
 柳さんと真夜には、野菜類のカットを頼んだ。
 上坂さんと陽菜、茜でご飯とスープの準備、他の男性たちにはバーベキュー台と椅子やテーブルを運んでもらった。
 凄まじいスピードで肉をカットしていく私たちを、他の女性たちが驚いて見ていた。

 「はい! 手を動かしてね!」
 「「「はい!」」」

 スープは溶き卵と山中さんたちが置いて行ってくれたヒラタケだ。
 出汁は鶏ガラで採る。
 ルーが最後の味の調整をした。
 
 三人が味見をし、絶賛してルーを喜ばせた。
 柳さんがロボに先に肉を焼いて食べさせた。

 「食事が始まったら、上坂さん、お願いできますか?」
 「え! 私があげてもいいの?」
 「お願いします。塩コショウとか調味料は使わないで、生のものを焼いて下さい。別に用意しますから」
 「ええ、でも私なんかがあげても食べてくれるかな?」
 「大丈夫ですよ。それに、私たちは余裕が無いですし」
 「え?」
 「見れば分かります」
 「はい?」

 私とルーとハーは肉のカットと下ごしらえが終わり、他の野菜のカットや少し買い足した魚介類の準備をした。
 6時頃にバーベキューを始めた。
 石神家方式の串に刺さない形だ。
 銘々にトンを手に、好きな食材を焼いて行く。
 私たちは、もちろん別なバーベキュー台だ。

 いつものように「元気」に食べて行く。

 「どうしてバーベキュー台が二台必要だったか分かったよ」
 「そうね……」

 「真夜さんは、あっちじゃないの?」
 「死んじゃいますって!」

 「あの子たちなら、ジェヴォーダンともやり合えるんじゃないか?」
 「アハハハハ!」

 その通りですけど?

 私たちも一人10キロを食べて落ち着いて来たので、みんなと一緒に食べる。
 ルーとハーがホタテのバター醤油を作り、みんなに絶賛された。
 柳さんもタラや野菜を入れたホイル焼きを作り、褒められていた。
 私はどんどん肉を焼いた。

 「いや、亜紀さん、もう喰えないから」

 大丈夫。
 私たちが食べた。

 食事の後でみんなで花火をした。
 私たちとパレボレで後片付けをした。

 「みんなで後でやろうよ」
 「すぐに終わりますから」

 10分程で終わった。
 みんなに拍手された。

 「でも、よくこんなに花火があったね」

 私が前にタカさんがスーパーの花火を買い占めて、子どもたちの花火大会が出来なくなった話をした」

 「私たちも大分残しちゃって。だから全部寄付して、花火大会が出来たんです」

 みんなが爆笑した。






 みんなで一度風呂に入り、男女交代で大浴場に入った。
 その前にパレボレを庭に呼び出した。

 「お前ちょっと臭ぇから、ここで一度身体を洗っとけ」

 私とルーとハーで服を脱がせ、ホースで水を浴びさせた。

 「冷たいです!」
 「嘘つけ! 早く石鹸で洗え!」

 パレボレが地球人スーツを洗う。
  
 「チンチンはよく洗っとけ!」

 「「「ギャハハハハハ!」」」

 「……」

 みんなで楽しく風呂に入った。
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