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「柱」さんもクリスマス

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 みんなが、俺の話にニコニコしている。
 良かった。

 「また素敵なお話だった!」

 響子の頭を撫でる。

 「響子ともな、いろんなクリスマスをして行こうな」
 「うん!」

 「石神先生、また剃りましょうか?」

 俺は六花の頭を引っぱたいた。
 前に六花の毛を剃って「おケケ日記」を書いたが。
 楽しかったが。
 みんなが笑う。
 亜紀ちゃんと双子が何か話しているので、やめろと言った。

 「石神は昔から動物にモテたんだな」
 「そうだなぁ」
 「ほら、うちの「柱」さんも」
 「あれは動物じゃねぇ!」

 雪野さんが大笑いした。

 「なんだよ、「柱」さん、いい人だぞ?」
 「人でもねぇよ!」
 「ねぇ、雪野さん?」
 「そうですよね」

 お前らどうかしてると言いたかったが、「柱」を持ってったのは俺だ。

 「「柱」さんって誰?」

 響子が聞く。

 「私もお話は聞きましたが、実物は見てないですね」
 「なんだ、鷹、見たいのか?」
 「ちょっと興味が」

 見なくてもいいのに。

 「じゃあ、ちょっとうちへ来ませんか? みんなが来ると「柱」さんも喜ぶし」
 「はい! 是非いらしてください!」

 早乙女と雪野さんが言った。

 「それじゃ、みんなで行って来いよ」
 「石神!」

 みんなに背中を押された。
 早乙女の家に歩いて行く。
 ロボも一緒だ。
 




 「おっきい!」

 響子が叫んだ。
 響子が歩くにはちょっと距離があるので、亜紀ちゃんと双子が騎馬戦の騎馬を組んで運ぶ。
 喜んだ。
 響子は身長170センチを超え、そろそろ俺が抱きかかえるのがおかしくなってきた。
 まあ、やるが。
 ロボは大勢で歩くので楽しそうだった。
 行き先も分かっているようで、ダッシュして俺たちを待ち、ダッシュで戻って来たりする。
 カワイイ。
 響子が手を伸ばすとジャンプして頭をこすりつけ、響子も喜んだ。

 早乙女が笑って門の前に立つ。
 それだけでAIが門を開く。
 コンマ数秒で顔認証、虹彩認識を行ない、更に表情を解析して脅されて他の人間を案内しているのかも判断する。
 もちろん、俺がいるので完全にAIも安心している。
 俺には特別な認識があり、俺がいれば全ての行動が許可される。

 全員で庭を歩き、玄関でランたちに出迎えられた。
 玄関のドアをみんなで潜る。
 響子はライトアップされた外観に感動し、また中の通路の見事さにまた感動した。

 「すごいね!」
 「石神が全部作ってくれたんだよ」
 「そうなの!」
 
 鷹はもちろんだが、六花も流石に圧倒されていた。
 エレベーターホールに着く。

 「柱」が俺に向かってカタカタと歩いて来た。

 「む、無理すんな!」

 「柱」が止まって、両手を拡げた。
 俺は仕方なく、「柱」をハグした。

 「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」
 「にゃ……」

 響子が呆然と見ている。

 「紹介するよ。俺のヨメの響子と、恋人の鷹、そして六花だ」
 
 「柱」が敬礼をした。
 どういうことだ?

 「柱」が小さな手を前に出す。

 「響子、握手してやれよ」
 「う、うん」

 響子が手を握ると、小さく上下させた。
 鷹と六花もやる。

 「お茶を淹れるよ」

 早乙女が俺たちを上に誘った。
 俺はすぐに帰りたかったが、付き合うしかなかった。

 家族用の3階のリヴィングで、紅茶を頂いた。
 人数が多いので、双子も手伝う。
 お茶請けは断った。

 「響子、大丈夫か?」
 「うん、びっくりした!」
 「そうだよなー。鷹は大丈夫か?」
 「はい、何か可愛らしい感じですね」
 「お前、マジかよ!」
 「私もカワイイと思いましたよ?」
 「お前はなー。チンコに似てれば何でも好きじゃん」

 六花が俺の肩をポコポコ叩く。
 雪野さんがミニアルバムを持って来た。

 「石神さんにご相談しようと主人と話していたんです」
 「はい?」

 「柱」の写真だった。

 「!」

 「石神、お前どう思う?」

 早乙女が聞く。

 「ど、どうって、お、お前、これ!」
 「お前は何に見えるよ?」
 「どう見たって天使だろう!」

 「「「「「「「「エェーーーーー!!!」」」」」」」」

 他の人間もミニアルバムを見に来る。
 みんな驚いていた。
 「柱」の周りに、幾つもの小さな光が写っている写真が最初の2枚。
 それをもっとアップで撮ったものが次のページにあり、それは紛れもなく翼の生えた人型のものだった。
 顔は光っていて分からない。
 ローブのような白い衣装を着ているように見えた。

 「写真には写らなかったんだけどな。優しい顔立ちだったよ」
 「お前! 何で俺に言わなかった!」
 「昨日なんだ! 俺も雪野さんもびっくりして。だから今日お前に話そうと思ってたんだよ」
 「すぐに言え!」

 言われても困るが。
 
 「それで、どうすればいいと思う?」
 「俺に分かるか!」
 「でも、石神しか相談できる人間がいなくて」
 「これは麗星さんの案件だろう!」
 「うん、電話したんだ」
 「おう、それで?」

 「バカもやすみやすみ言えって」
 「……」

 麗星は基本的に俺以外の人間には厳しい。
 俺が頼めば別だが。

 「まあ、これから寒いからよ。ストーブとか置いてやれば?」
 「なるほど!」

 適当に言った。
 
 早乙女は翌日に家電量販店でセラミックヒーターを買って来て、エレベーターホールに置いた。





 その翌日。
 俺がアヴェンタドールで帰ると、門の前に「柱」がいた。

 「おい!」

 俺に小さな両手を合わせて頭(?)を下げた。

 「なんだ!」

 そのままカツカツと歩いて去った。
 俺は家の中へ入り、早乙女に電話した。

 「おい! 今お前んとこの「柱」がうちの門の前にいたぞ!」
 「そうなのか。ああ! お礼を言いに行ったんだろう」
 「お礼ってなんだよ!」
 「ほら、一昨日お前がストーブを置いてあげろって言ったじゃないか」
 「あ?」
 「だから昨日置いたんだ。石神が寒そうだからと言っていたってね。だからじゃないのか?」
 「……」

 早乙女に、俺の名前を出すなと言っておいた。





 あいつ、寒かったのか。
 俺は玄関に迎えに来たロボを抱き上げ、ぬくぬくロボマフラーにして階段を上がった。
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