富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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リカチャン忍者を探せ!

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 顕さんから嬉しい連絡を頂いた翌週の月曜日。
 一江からいつものように報告を聞いた。

 「相変わらずうちの部は問題らしい問題がねぇな」
 「部長は遊び回ってばかりですのにね」
 「あんだと?」
 「部長がいらっしゃらないと平和なのでは」

 一江が笑っている。
 もちろん、冗談だ。
 俺もちゃんと仕事をしているし、難手術はいつも俺がこなしている。
 一江は俺に「別なこと」をどんどんやって欲しいと、暗に訴えているだけだ。

 「ありがとうな」
 「いいえ」
 「お前がいてくれて助かる」
 「そうですね」

 「おい」
 「はい」
 「ちょっとはへりくだれ」
 「ははは」

 一江が自分のデスクからノートパソコンを持って来た。

 「どうした?」
 「ちょっとお見せしたいものが」

 俺は窓のロールスクリーンを降ろした。

 「お前のオナニー・シーンじゃねぇだろうな」

 一江に引っぱたかれた。
 一江は有名な動画サイトを画面に出した。

 「おお、六花の動画じゃねぇか」
 「はい。「リカチャン忍者」。もう1000万PVを超えてます」
 「そうなのか! しばらく見て無かったから知らなかったぜ」
 「六花が顔出しするようになってからですね。それから急激に増えました」
 「あいつ、自分の顔のインパクトを自覚してねぇからなぁ」
 
 六花がヘルメットを脱ぎ、様々な場所の解説をしている。
 前はサングラスを掛けていたが、いちいち撮影時に掛けたりするのが面倒になったのだろう。
 別にいかがわしいことをしているわけでもないので、顔を隠さなくなった。
 その結果、世界最高峰の美しい顔とスタイルに、膨大な人間が集まって来た。
 もちろん男が多いのだろうが、女性らしいファンも多い。
 美しい顔と抜群のスタイルでモンスター・バイクを操り、時々解説しながら思い出に耽って見せる笑顔が最高だ。

 忙しい人間なので、それほど遠くまでは行っていない。
 今は静岡の鰻屋くらいか。
 一人で外で食べるのが苦手な女だが、あそこだけはその美味さで克服したようだ。
 店の大将と奥さんも、六花を大歓迎しているのが良く分かる。

 「このお店は彼氏、ア! に教えてもらい、何度か一緒に来ました。ハァ! 日本一美味しい鰻屋さんです」

 解説しながら、何か催しているような恍惚とした笑顔を見せる。
 
 「わたしのぉー! かれしはぁー! うちゅうさいこうだぁー!」
 「「……」」

 レディースの気合の入った話し方で叫んでいる。
 一江と複雑な顔で一緒に見た。
 まあ、このギャップが萌えになっているのかもしれない。
 世界一美しい女が、途轍もなく純情で可憐なのがよく分かる。
 30分ほどの動画だったが、一江が途中を飛ばして大体の内容が分かるように案内してくれた。
 俺のことは流石に個人的に特定できるようなことは話さない。
 六花自身も、都内に住んでいることは予想できても、特定は出来ないように考えられていた。
 
 「一応六花も気を付けてはいるようですが、何しろあの素顔を晒してますからね」
 「そうだなぁ」
 「それに自宅のマンションと思しき場所も映ってますし」
 「うん」
 「それではこちらを」

 一江が別なサイトを俺に見せる。

 《リカチャン忍者を探せ!》

 六花の動画のファンたちが、六花を探そうとしているようだ。
 既に六花のマンション辺りが特定されている。
 まだ、その近くに住んでいるとは確信していないようだが。
 だが、走行の映像から、出発点がそこであることを考えている人間もいる。

 「よくねぇな」
 「そうですよね」
 「まあ、六花なら、どんな奴が来ても大丈夫だけどな」
 「でも、面倒なことにならなきゃいいんですが」
 「まーなー」

 一江から六花に話すと言っていた。
 一江が監修すれば大丈夫だろう。
 俺は六花の強さを信頼し、あまり心配はしていなかった。




 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■




 「リカチャン!」

 仕事の帰りにマンションへ戻ろうとした六花は、突然呼び止められた。
 50代くらいの男だった。
 身長は170センチ以下だが、身体が逞しい。

 「やっと見つけた!」
 「はい?」
 
 男が近付いて来た。

 「も、もうダメだ! リカチャーン!」

 いきなり両手を拡げて抱き着こうとした。

 《ドスン バキン グシュ》

 男の鳩尾に拳を入れ、アッパーで顎を割り、股間を蹴った。 
 
 「てめぇ! 敵かぁ!」
 「……」

 六花は石神に電話した。
 まだ病院にいた石神がすぐに駆けつけて来る。

 「石神先生!」
 「誰だ、こいつは?」
 「さぁ。敵ですかね?」
 「それはねぇだろうが」

 あまりにもショボ過ぎる。
 石神は六花のマンションの駐車場に男を運び、頬を叩いて覚醒させた。
 
 「誰だよ、お前は?」
 「へ?」

 顎を割られた激痛で上手く喋れなかったが、男はようやく自分がトラックの運転手で、六花の動画の大ファンなのだと話した。

 「俺、この辺をよく通るんで、すぐにリカチャンがいるんだって分かって」
 「ほう」
 「時間があればこの辺を張ってて。ついに今日……」
 「忘れろ」
 「……」
 「次は死ぬぞ?」
 「!」

 石神と六花は男の免許証を確認し、近くの駐車場に停めたトラックまでついていった。
 
 「二度と来るな」
 「は、はい!」

 石神は六花のマンションに行き、「痴漢撃退祝い」を二人でした。

 「おい、大人しくしろ」
 「やめてください!」
 「他の人間に見られてもいいのか?」
 「そんな! パンツから手を抜いてください」
 「口じゃ嫌がっても、お前のここは正直だな」
 「ハウッ!」

 「ほらほら、もうヌルヌルで指が簡単に入っちゃうじゃないか!」
 「ああ、もう!」

 電車痴漢ごっこをした。




 翌日。 
 制服を着た高校生3人に六花は囲まれた。

 「本物のリカチャンだ!」
 「な、俺の言った通りだったろ?」
 「おい、俺、もうダメだ!」
 「落ち着け!」
 「犯罪者になってもいい!」
 「おい、俺もダメだぁ!」
 「ばかやろう! 俺が最初だぁ!」

 《トスン、ドスン、ドスン バキン、バキン、バキン グシュ、グシュ、グシュ》

 石神に電話した。

 「……」

 石神は学生証を奪い、三人で各々に口を使って欲望を果たさせた。
 その様子を写真に撮った。

 「二度と来るな」
 「「「はい」」」

 石神は六花のマンションに行き、「4P撃退祝い」を二人でした。

 「エヘヘヘヘ、これが夢にまで見た六花ちゃんのあそこかぁー!」
 「やめて、見ないでぇ!」
 「おい、オッパイをしゃぶってやれ!」
 「やめてぇー」
 「俺は下をしゃぶるからな!」
 「あぁー!」

 4Pレイプごっこをした。



 翌日。
 ヤクザ者30人に囲まれた。
 
 「早く車に乗せろ!」
 「本物は一段といいな!」
 「もう、俺、パンパンになってるぜ!」

 「「轟雷」!」

 《バリバリバリバリ パタパタパタパタ……》

 石神に電話した。

 「あんだ、こりゃ」

 死屍累々だった。
 まあ、全員加減されて生きてはいるが。
 石神は早乙女に連絡し、全員を回収させた。
 石神は六花のマンションに行き、「集団レイプ撃退祝い」を二人でした。

 「あぁ! お尻の穴なんてやめてくださいー!」
 「ばかやろう、これだけの人数が待ってんだぁ! こっちも使わないと間に合わないぜぇ!」
 「そんな所は!」
 「ゲヘヘヘヘヘ!」

 集団レイプごっこをした。




 「おい、これじゃきりがねぇぞ」
 「そうですね、すみません」
 「まあ、お前は綺麗過ぎるからなぁ」
 「まあ!」

 石神は六花を連れ、「佐藤家」を自分の家だと紹介する動画を撮った。
 
 「中野の〇〇に引っ越しました! 今度は一軒家です!」

 さり気なく、表札と家の全体が映り込むようにする。




 石神が散歩に出ると、よく佐藤家の前や近くで車やバイクが停まっているのを見掛けるようになった。
 警察に「よく乗り捨てが多い」と伝え、時々回収されるようになった。
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